異端児

進路～奏音～

なんか一対一で向かい合うの久々な気がする

「どうするんだ」

「中学？」

「その前にここに残るか家に帰ってくるか」

「…俺はまだあの言葉の意味を理解できてない」

"人に聴かせるには他人を知れ"

"１人だけの感情ではなく誰かと共有する感情を知れ"

「家には帰らないでいいんだな」

「うん…でもこのままここにいて解るかどうかは…」

「そうか…今楽しいか？」

「え？楽しいけど」

「退屈してないか」

「？してないよ」

「共有する感情はもう知ってるんじゃないか？」

「どういうこと？」

「楽しい、辛い、悲しい、嬉しいとか」

(みんなと同じタイミングで笑ったり、怖がったり、強がったり…)

「…知ってるかも」

「音楽に当てはめれないだけだな」

「うん」

「ここどうだ」

「へ？」

とある中高一貫校のパンフレット

「ここの周りは楽器屋やCDショップ、音楽スタジオなど音楽にありふれている」

「だからこの中学？」

「そうだ」

「ここからだと通えないよ？」

「寮がある。そこに入ればいい」

「なるほど…周辺環境以外に推す理由はないの？」

「行けばわかるとしか言えないな。まぁ吹奏楽がある。高校からは軽音もあったはずだ」

(言えない何かがある…)

「わかったここにする」

「決まったな。まずは受験があるから対策をしなさい」

「わかってる。どこに行っても良いように勉強してるから」

「偉いな」

「そんなことないよ」