進路~朔~1

「ただいま!」

「ただいま~」

陸人りくと羽海うみお帰り」

「わ!めっちゃ人いるじゃん!」

「何かあるの?」

(真ん中組が帰ってきたから賑やかになったな)

「ねぇ京くん。あの女の人誰」

「誰?」

「あぁ…渚のお母さんだよ」

「「へぇ~」」

(誰か分かったらもう興味ないのか…)

「ただいま」

(上の子達も帰ってきたな)

・・・

「邪魔になっちゃうから稽古場とかにでも行こうか」

「わかった!」

「俺も行く」

「さっくんも?」

「うん。俺には話す相手なんかいないし」

「そうなの?じゃあ勝負だ!」

「羽海残念だけど俺が朔をいただくよ」

「!?四季くん!」

(このやろう…)

「いっ痛い痛い!京ちょい緩くしろ」

「普通に入ってこい…その前にインターホン鳴らせ」

「またおこられてる」

「心早く行こ!」

「さくと勝負できると思ったのに…」

・・・

俺とさく、そして四季しき

(この沈黙辛いな…)

「四季さん。何の用?」

「他の3人の中学決めをすると聞いて」

「俺の親じゃないよね」

「そうだね」

「じゃあなんで」

「朔のお前のやろうとしてることを見やすくするためだ」

「帰れ」

(なんでこいつはど直球なんだよ…)

「帰らないよ」

「話なんてする必要ない」

「あるよ…陸人隠れてないで出ておいで」

「バレた…」

「陸人こっち座りな」

「京くんありがとう」

「俺は出るから」

「朔。俺はお前のやろうとしていることを止めるつもりはない。お前がそれを成し遂げるための手助けをするつもりだ」

「は…四季くんが悪いことに関わって良いわけ?」

「駄目だけど」

「意味分かんないから」

「お前が間違った方向に転ばないように手助けをする」

「いらない」

「朔。俺は君が何をやろうとしているかは知らない。でも悪い方向に行くのは阻止する。そのうえで君のやりたいことを叶えてあげたいと思う。だから四季の話を聞いてほしい。」

「京さん…」

「お前はまだ子どもだ。成し遂げるための道を必死に突き進む時だ。それを止めるつもりはないし俺には止める権利は無い。でも怪我をしないよう道を整備すること、踏み外しかけた時に助けるのは俺らの仕事だ」

「俺と四季で君の…やりたいことを叶えるための道をいくつか紹介するだけだよ。話だけでも聞いてほしいな」

「…」

「さっくん…」

「わかった」

(良かった…)


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