終幕

果ての戦場


 黎闇が明けて、激戦が終わった。鎖された天からは赤色の光線がポツポツと漏れて、戦場をわずかに明るく照らしていく。

 その光が、照らす先。燻る火と、仲間の死体と、魔群の竜の死体が転がる戦場。大地は砕け、地には死の色ばかりが満たしている。

 やっとの思いで勝ったのに、まるでそんな感情はなく。兵士達の顔はいっそうに暗い。

 男はそれを見て、天を仰ぐ。

 この世を創った神という存在がいるのなら。あるのなら。

 ソイツはきっと、残酷な世界が好きなのだろう。そしてこの世界を、やに下がったゲスな顔で、嗤いながら眺めているのだろう。


 ──死に晒せよ。クソブタが。

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