暗殺組織幹部最下位の僕は辞めたい 〜他の幹部達とボスが離してくれません〜

ふおか

暗殺組織やめます

世界には、表と裏が存在する。

表――それは、極一部を除き全ての人が歩く道。

裏――それは、極一部の人が歩く道。


そして、裏には、色々な組織がある。

その一つ。僕が所属している組織を紹介しよう。

僕が所属しているのは、暗殺組織――別名【アサシンズ・オーガニゼーション】

日本語を直訳したような名前だが、その実力は本物だ。

そして、この暗殺組織には幹部という役職がある。

それは、ボスという頂点に君臨する者によって、実績を認め、選ばれた人達のことを指す。

そんボスに選ばれた幹部の一人が僕だ―――



僕は現在人生の終わりを迎えようとしている。

いや、実際には裏世界を歩いてきた人生だけど。

僕は、圧を感じる扉の前に立っていた。

僕は気を落ち着かせ、扉をノックした。


「―――入っていいよ」


扉越しにそう声が聞こえた。

僕は扉のドアノブに手をかけた。


「失礼します」


中に入りに、お辞儀をし、扉を閉めた。


「何用かな―――新世くん」


扉越しでは聴こえなかった声色が、綺麗な透き通るような声をしている。

僕の視界に映ったのは、白髪の長い髪に、無表情な顔、そこにキリッとした目付きでルビーのような宝石の瞳。

だけどその瞳には黒い何かが宿っている。

そして、その雰囲気は、まるで頂点に君臨する君主のようだ。

いや、これは比喩ではない、事実だ。

そう、彼女こそが暗殺組織のリーダー。

僕達は、彼女をボスと呼んでいる。

そして――――――


「………テンス です」


この組織では、幹部にそれぞれ名称がある。

その名称は幹部の位の名前で呼ばれる。

理由としては、色々あるが、そのうちの一つでは、幹部の人はそれぞれ本当の名前があると、ないがあるなど。

そして、僕の名前、テンスは数字に直すと〃10〃になる。

つまり、僕の位は10番目ということになる。

幹部は全部で10人。

僕は最下位だ。

そんな名前がある中、ボスは僕のことを毎回、


「新世くん」


僕の本名を言う。

何がだめかは察してくれ。


「テンスで――」

「新世くん」

「…ボスっ! 僕は新世くんではなく、テンスですっ!」

「なんで? 君は新世くんでしょ?」

「いやまぁ、そうですけど…ですが、ここではです」

「はぁ。しょうがないね。テンス、それで、何用かな?」

「率直に言いますね、ボス」

「改まってどうしたの?」


俺は、その言葉を口にだす。

この結果で、吉とでるか凶とでるか。


「ボス、僕は―――暗殺組織を辞めます」


僕がそう言葉を零すと、ボスの眉がピクリと動いた。

だが、僕はそれに気づいていなかった。


「一応どうしてか聞こう」

「はい。まず一つは、何故僕が幹部に選ばれたかです」

「それは、前にも言ったと思うけど」

「そうですね…… ですが、納得はしていません」

「それで?他には?」

「これが一番の理由ですが――そろそろ、足を洗いたいと思います」

「足を洗いたい。つまり、この組織を辞めて、表を歩くということだね」

「はい。そうです。」


僕は真剣な眼差しをボスにおくった。


「……わかっているの? 暗殺組織を辞めるということを。しかも幹部で」


そうだ。普通、暗殺組織を抜けることは、その組織から追われるということだ。

幹部は、普通の暗殺者が持っているのは情報よりも組織に関する情報が沢山持っている。

そんな人物を逃すわけない。

だが、追われない。つまり表を安全に歩む方法がある。

情報。それを持ってさえいなければいい。


「しかし、あれを使えば」

「そうだね。あれを使えば―――実験で作られたを、ね。」


記憶消去装置。名の通り、指定した記憶を消す装置。

もともとは、記憶を改竄するために作られたが、失敗し、記憶を消去する装置になってしまった。


「…………おっと、大事な紙を落としてしまったね。テンス、拾って」

「はい…? ボスがミスするなんて珍しいですね」


僕は落ちた紙を拾うべく、膝を折り、それを拾った。


「――――――――それで、頼む」


拾っている最中に声が聞こえた。

僕は落ちていた紙をボスの机の上に戻しながら、


「ボス、なにか言いました?」

「いや、なんでもないよ」

「そうですか。それで話を戻しますが、記憶消去装置を使い、僕の幹部として与えられた組織の情報を全部消せば、組織を安全にやめれますよね?」

「そうだね。情報を一つも持っていないのなら、暗殺する意味がないからね」

「ですので、その装置を使ってこの組織を辞めます」

「……わかった。でも、その装置が無かったら抜けれないよね?」

「え? ボス自身が言っていたではありませんか。ある、と――――――――」


僕がそう発言すると、後にあった扉からノック音が聞こえた。


「入っていいよ」


そうボスが入室許可をすると、扉からは、見知った顔が出できた。



――――――――――――――――――――


2話ずつ色んな作品を投稿してますが、特に意味はありません。

ちゃんと更新はします。

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