第3話:妹って誰?

で、次の日、学校で愛川に「ごめんね、付き合えない」って断ろうと思った。

けど、彼女に「おはよう」って言われたら言えなくなった。


向こうは僕と付き合えるって喜んでるのに、付き合えないなんてそんな可哀想な

こと言えるわけないだろ?

ましてや愛川だぞ・・・クラスの男どもの憧れだったりする子だぞ。

愛川の告白を断ったなんて知れたらなんて言われるか・・・。

僕は明日から最低男に成り下がるよ。


まあいいんだ、最初に思ったように絶対、愛川をアパートには連れて行か

なきゃいいだけのことだろ?

それで行こう。

そんな訳で学校からの帰りは途中まで愛川と帰ることにした。


でも隠し事やウソはつけないもんだって僕はその後実感することになる。


ある日、僕は体調を崩して学校を休んだ。

たぶん風邪だと思うんだけど・・・。

学校へも病院へ行くのも面倒で家でおとなしく寝てたら治るだろう

って思ってた。


キューティクルちゃんの、美味しいお粥さんと献身的ヒーリングに

よって熱は下がったけど、それでもまだ学校へ復帰できるほど回復する

にはまだ、一日二日くらいはかかりそうだった。


で、その日の夕方のこと。

僕の部屋の玄関ドアのチャイムが鳴った。

今頃誰って思っていたらキューティクルちゃんが訪問者に対応してくれた。


「こんにちは・・・あの、次野君いらっしゃいますか?」


「はい、おりますけど・・」


誰って聞くまえに声で誰か分かった。

まじでか?・・・めっちゃマズいじゃん。


「バンちゃん・・・同級生の子かな?・・・訪ねて来てるけど?」


「あ、たぶんクラスの女子だと思うけど・・・」

「僕が学校休んだから先生にでも言われて様子を見に来たんじゃないかな」


「部屋にお通ししていいの?」


「あ、いい・・・僕が玄関に出て行くから・・・」

「キューティクルちゃんは気にしなくていいからね、台所にでも行っててくれる?」

「すぐ帰ってもらうから」


だから僕は、ふらつきながら玄関にいる愛川のところまで行った。


「ごめん愛川・・・悪い・・・わざわざ来てくれたんだ?」


僕は彼女に手を合わせた。


「うん・・・次野君、学校休んだから、心配で?」

「大丈夫なの?」


「うん、大丈夫・・・心配いらないから、もう良くなってるから」


「あの・・・さっきの人は?」


「え?、さっきの・・・」

「あ〜あれは、その〜僕がこんなだから妹が田舎から出て来てくれてるんだ」


「妹?・・・妹さんなの?」


「うん・・・妹」


「あの・・・金髪の妹さん?・・・日本人じゃないみたいだけど?」


「髪は染めてるんだよ・・・普通でしょそんなの」

「それに妹とは腹違いだから・・・似てないだろ?」


「本当に妹さん?」


「本当だって・・・」

「悪い、僕まだ本調子じゃないから・・・悪いけど今日は帰ってくれる?」


「今さっき、よくなってるって言ったじゃない?」


「え?そうだっけ?・・・とにかく今日は帰って、ね?」

「ごめんね、元気になったら休みの日にデートしよう」


「うん・・・分かった」

「じゃ〜大丈夫ね・・・私、帰るね・・・なにかあったら連絡して」

「じゃ〜ね、またね、バイバイ」


そう言って愛川は帰って行った。

あ〜ヤバいヤバい・・・まさか愛川が訪ねて来るとは・・・。

よく考えたらありえることだった。

一応付き合ってる仲なんだから・・・。


「誰が妹って?」


後ろを見たら腰に手を当てて僕を見てるキューティクルちゃんがいた。


「え?聞こえてた?」


「私、いつからバンちゃんの妹になったの?」


「あ〜いやさ、そうでも言っとかないと女の子と同棲してるなんて

今の子やクラスや学校に知れたら、なにかとマズいだろ?」

「まだ未成年だし・・・」

「だから妹だってことにしたんだよ、身内なら大丈夫だからね」


「バンちゃん誤魔化すの下手だね」


「な、なにも誤魔化してなんかないし・・・」


「同級生の女の子が心配だからってだけで、わざわざお見舞いに来る?」

「今の子とどういう関係なの?」


「どうもこうも・・・同級生の女子・・・それだけ、神に誓って」


「まあバンちゃんの人生はバンちゃんのものだから、私が口出しする

ようなことじゃないって思うけど・・・だけど、もし誤魔化されてたり

ウソつかれてたらとっても残念だし、とっても悲しい」


そう言うとキューティクルちゃんは泣き出した。


「いや、いや、いや・・・泣かなくても・・・」

「そうじゃないから・・・泣かないでよ、お願いだから・・・」


「言い訳したりウソついたりしたら余計墓穴ほっちゃうよ」

「正直に話して・・・」


「分かった・・・話すよ・・・」


いけないことすると必ず神様は、ちゃんと見てるんだ。

で、言い訳して結局つじつまが合わなくなる・・・。

愛川とのことをキューティクルちゃんに話したら僕を許してくれないだろうな。

もうおしまいかな・・・自業自得だよな・・・。


とぅ〜び〜こんて乳。



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