第2話:え?クラスの女子から告られる。

たこ焼き屋の前のベンチで空から降って来た女性モノのパンツを家に

持ち帰ったことで、超絶可愛い天使が僕のアパートに訪ねてきた。

それだけでお近づきになりたくなるよね。


彼女の名前は「キューティクルちゃん」って言う。


僕はその子のパンツを持って帰ったことで、彼女からご奉仕を受けること

になった。


天使は自分の持ち物を誰かが保護してくれた時点で、保護してくれた人に

ご奉仕しなくちゃいけないんだって。

まあ、恩返しみたいなもんかな?


そんなこんなで天使のキューティクルちゃんは俺のアパートで俺のために、

ご飯を作って掃除して洗濯して甲斐甲斐しくお世話をしてくれている。


けど、僕にベッタリってわけじゃない。

僕は彼女を束縛してるわけじゃないからね、彼女はいつでも自由だし。

だから彼女は時々、天国へも帰ったりする・・・向こうでの生活もあるんだろう。

僕はそんな棚ぼたみたいな幸せな日々を送っていた。


ところがある日のこと、家にキューティクルちゃんを残して学校へ登校して

いた時のこと、僕はクラスの女子「愛川 未来利あいかわ みくり」から

付き合ってほしいって告られた。


およよな出来事・・・。

世の中は皮肉なもんだ・・・高校に入学して以来、僕は誰からも告られたこと

もないし、ましてや彼女なんていなかったのに・・・。


愛川 未来利あいかわ みくり音」って言えば、成績優秀な上にビジュアル

だってクラスでも五本の指に入る。

愛川は男子にだってモテる・・・そんな子がなんで僕なんか・・・。


だから聞いてみるよね。


「僕のどこがいいの?」


って・・・。


「他に僕よりいい男いくらでもいるでしょ?」


って・・・。


そしたら、僕は愛川のタイプなんだそうだ。

じゃ〜なんでもっと早く、告白してくれなかったの?って聞いたら。

今まで告る勇気が出なかったんだってよ。


まあ女子から好きですって言われてイヤな気はしないし、せっかくの

チャンスを棒にふるバカもいないだろう。

だから僕は愛川の「付き合って」って申し出を断らなかった。


あ、だけどキューティクルちゃんがいるじゃん。

キューティクルちゃんのことが脳裏に浮かんだけど、もう遅い。


まあ愛川を家にさえ呼ばなければいいだけの話か・・・だいいち

キューティクルちゃんとは今のところ彼女でも恋人でもない。

彼女が僕の世話をしてくれてるだけ?


僕に彼女ができたってキューティクルちゃんとは関係ないことだろ?

って言うか僕はなにをビビってるんだ?


僕の後ろでキューティクルちゃんが包丁を持って立ってる?ってか?


実は僕はキューティクルちゃんの僕に対する気持ちにとっくに気付いてるんだ。

普段の彼女の言動を見てたらバカでも分かる。


僕がちゃんと意思表示してないだけで僕の気持ちを彼女に、恋人になってって

打ち明けたら即、おっけ〜してくれるだろう。

だいいち、いくらご奉仕って言ったって好きでもない男といるって、それは

無理があるだろう?

好きだから、一緒にいるんだろ?


いい機会じゃん。

キューティクルちゃんの僕に対する気持ち、確かめてみるってのも・・・。

学校から帰った僕はさっそく彼女に聞いてみた。


「あのさ、キューティクルちゃん・・・君、僕のことどう思ってる?」


「どう思うもなにも私、バンちゃんのこと大好きだよ」


「は?・・・へ?」


「あのね、バンちゃんが私のパンツ持って帰った時点で、ご奉仕が

はじまったけど、それは私がバンちゃんを好きになったってことと同じこと

なんだよ」


「パンツ持って帰ったってだけで?」


「パンツはひとつのきっかけにすぎないの」

「だって好きでもない人にご奉仕なんてできないでしょ?」


「理屈だな・・・ごもっとも」


「私の気持ちはっきりバンちゃんに言ってなかったけど、気付いてくれ

てると思ってたけど・・・」


「うん、それは気づいてたよ、とっくにね」


僕は内心飛び上がるほど嬉しかった。

好きじゃないって言われてたらショックだったけど、これってマジで本物の

愛じゃん。


でも、それってぬか喜び?


どうすんだよ愛川のこと。

マズいじゃん・・・今さら愛川にごめんなんて言えないし・・・。

付き合ってもいいよって彼女に言った時の嬉しそうな顔を思い出したら

断るなんてそんな可哀想なことできないし・・・」


困ったな〜・・・どうしよう?

僕って不器用だから、いずれ愛川のことはキューティクルちゃんにバレるよな。

二股なんかかけられないし、ましてや浮気なんて・・・。


断ろう・・・明日、愛川にはごめんって言おう。

だって二兎を追うものは一兎も得ずって言うじゃん・・・。

愛川はまあ、しかたないとしてもキューティクルちゃんは絶対失いたくない。


パンツの重みがここに来て効いてきた。

パンツのぶんだけキューティクルちゃんに軍配があがっちゃうよね。


とぅ〜び〜こんて乳。










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