第79話 オル・ファウスト
その鎧は黒く暗く、星を飲み込まんとする冥府の鎧
その身からでる気は悍ましく、人ならざる何かへと変貌する。
「なんだ...その鎧は....
目視でもわかる魔力濃度、魔封じの効果がないのか」
「........」
「喋ることもできなくなるとは...
人を辞めたか!翡翠練!!」
ぼんやりとだが、自我が浮上する。
体に満ちる魔力を感知し、それは死を恐れるかのように
目の前の脅威を排除しようと動き出す。
魔力を纏うアスラをただ粗暴に振るう。
死を纏い魂を喰らうような斬撃を放つ。
覆っていた結界にぶつかり最初からなかったかのように
結界が消滅する。結界が解かれ幻影のみが残る
「くそ....なんだその威力は!
ここは一時撤退するしかないか」
チリィーーーーーーン
場にそぐわない清らかな鐘の音が響く
その音で黒いゲートが開かれる。
「残念だ翡翠練、また会おうじゃないか。」
ゲートは閉じ、その場には倒れ伏す名も無き幹部が5人と
脅威が消えたのを感知したのか糸が切れたかのように
動かなくなった翡翠練のみ。
役目が終わったかのように魔力が霧散し、
その禍々しく悍ましい鎧は体に吸い込まれていき
胸元に三重の円にそれに絡まるような鎖が描かれた
アザが刻まれる。
「おい練!おい!意識がない。
こんなの久しぶりだな。見た感じ怪我もないし
なんでこんな服に風穴開いているんだ?魔力もあるし直に目覚めるか」
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うっ眩しい
あれ?なんで寝てたんだ?
「お!起きたか練、なんか結界壊してたけど
一応まだ幻影は継続しておいたぞ」
そうだ!龍宮院の野郎は!
い...ないか、くそっ逃したか
他の奴らはまだ気絶しているな
「服着替えろよ練、前衛的なファッションになっているぞ。
それにお前が気絶してから30分くらい経つぞ。
斎藤に連絡しなくていいのか?」
まじかそんなに経っているのか。
まずはこの寝ている5人に手錠をしないとな
........よし、これで起きても逃げられないな。
「斎藤さん、終わりましたが。
龍宮院には逃げられました。闘技場の方に来てくれると助かります。」
『翡翠君!無事だったか、連絡がなかったからどうしようかと....
わかった。すぐにそちらに向かう。
差し当たってこの幻影を消してくれるとありがたいんだが』
そうか忘れていた。
「ヤタもう幻影を消してくれ」
「はいよ、それと結界の魔法具は跡形もなく壊れたぞ。
お前が暴走してすげ〜威力で破壊したのはびっくりしたぜ。
あれはなんだったんだ?それにその胸元のアザ」
アザ?なんだこれ。
どんどんアザだらけになってきたな。
まあ十中八九オルフェだろ
その時の意識はなんとなくだけど覚えてるんだよな
誰かと話してた気がしたし、まああとで考えよう。
ライトに研究結果を聞きながら話すかな
「翡翠君!大丈夫かい」
「ええ、こいつらをお願いします」
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