第15話 肉弾戦と奥の手

「ヤタ!カバーは頼む」


この剣もどきがどこまでこの戦いについていけるかが問題だよな。

魔力の塊みたいな剣の形をしている何か、俺は賭けに勝った。


「このまま押し切る!」


ミノタウロスに最大スピードで肉迫する。

狙うは腕が動かない右側、風を纏い肉を穿つ。

槍の如くミノタウロスの右脇腹を削る。


「っち!思ったより浅い!」


「避けろ!練!」


ミノタウロスの左腕が目の前まで迫る。

当たれば良くて致命傷、悪くて即死の一撃。

魔力を左手に集めた必殺の一撃。


「黒門」


黒いモヤの中にミノタウロスの左手が入るとその左手が穿った右脇腹に出現し

必殺の一撃が怪我を負った場所に直撃する。


「ブラァァァァァァァァァァ」


「さぞ痛いだろうよ。俺があのまま当たってたら死んでるね」


「そういうのがあるなら焦らせるなよ練!」


「練習してたのは見てただろうよ。」


これは解説が必要ですね〜ここからは解説の翡翠 練が請け負いました!

まず今のは察している人もいるかもしれないですが、闇魔法ですね。


「そうですね〜闇魔法と魔眼のなせる技ですね。

来る場所さえわかれば一方的に相手を攻撃できる技ですね。

空間と空間を繋げるようなものがこの”黒門”というものですね。」


魔眼によってわかる、魔力が左手に集まってることを知り

抉った右脇腹に空間をつなげたということですね。いや〜えげつないですね。

猛荒が反応できる速さの肉迫にも関わらず、

大きく避けるそぶりも反撃する初動も見られなかったため、

隙の大きい突き攻撃で相手の攻撃を誘い、最大火力の攻撃をさせた。

相手の得意分野は練度の高い身体強化、こちらを殺す最大のチャンスには魔力を一点に貯めた残った左腕による殴打。全てが計算ずくであるようです。


「そうですね〜恐ろしい戦闘IQですね。

肉を切らせて骨を断つをわざと誘い、最大限の攻撃をする。

惜しむ楽は、黒門自体を攻撃に転用できない点ですね」


そのようですね、完全なカウンター技であり魔眼の併用が必要なため

相手による不意打ちには弱いですからね。

しかもこちらからの魔法攻撃を黒門で相手の近くに飛ばすこともできないのですよね。魔力が干渉し合い霧散してしまうのが難点でしょうかね。

ではそろそろ戦いの場に戻りましょう。またお会いしましょう!


「くっそ。流石に決定打にはならないか。」


「なんで、追い打ちしないんだ。今がチャンスだろ」


「バカ言え。手負いの獣ほど怖いものはないんだよ。

しかも、黒門でカウンター狙いで反撃しようものなら

タックルでもかまされてそのまま死んじまうよ。

同じ攻撃が二度も通じるほどバカな敵じゃないだろ」


ゲームでお馴染みH P削った後の行動変化からの強化の第二形態が来るか?

魔法具現化ができたところで致命傷を負わせる攻撃をするにはためが必要だ。

不完全なこの急造の剣じゃ最大に魔力をためて放てるのは一回が限界だろう。

結局崖っぷちじゃね〜か。


「やっぱ楽しいな命のやり取りは!

まだできるだろう猛荒!もっと俺を楽しませてくれよ!」


「は〜相棒を間違えたか?」


「合図であいつの顔面に雷魔法だ。手傷を負わせなくてもいいから頼む。

付き合えよ相棒最終ラウンドだ!」


「はいはい。最大限仕事はしてやるよ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る