女装男子は迷走中

いろは

第1話

人間という生き物は誰しも大なり小なり秘密を持っているものだ。あの子が好きとか、実はこんな悪いことをしているとかそれは人によってまちまちだ。そんな俺にももちろん誰にも言えない秘密がある。え?それは何かって?それは…。





ここは東京にある青秀学園高等学校。そこに通う俺の名前は青葉 遥(あおば はるか)。学業は優秀、運動はそこそこできるタイプの目立たない生徒。クラスに友達はおらず、教室ではいつも本ばっか読んで過ごしている。どちらかといえば陰キャな部類だ。





どうして勉強もできて運動そこそこできるのに陰キャなのかって?それはな…俺が毀滅的に人と話すのが苦手だからだよ。最初のほうこそ「青葉は普段どんなことしてるんだ?」とか「青葉君いつも何読んでるの?」とかって話しかけてくれていたけど、毎回「いや、別に、、何も…」「え、あ、、ラノベなんだけど…」なんて返してたらその内誰からも話しかけてくれなくなっちゃたんだよ。





そんな俺にも読書以外に別の趣味があるんだよね。それは…“女装”することだ!!俺は土日になると毎日女装をして散歩をすることが日課だ。そしてみんなの目線を奪うことで優越感に浸るのだ。なぜみんなが俺のことを注目するのかって?それはな…俺の女装は物凄くかわいいからだ!!自分で言うのもなんだけど俺の女装は物凄くかわいい。街を歩けば2、3人の男子たちにナンパされちゃうくらいにはかわいいのだ。

最初のほうはナンパしてくる相手にはどすの入った男声で撃退していたが、今となっては女子声を出すことすら可能になった。そう、見た目は完璧美少女でこえもかわいい。俺はもはや無敵の存在になったのだ。いくら俺が学校では陰キャだのなんだの呼ばれようが女装した俺にはかなう奴なんていない。そう思っていた…。





今日は日曜日。いつもの日課のお散歩の日だ。もちろん女装してだけどね。俺はいつものように化粧をすまし服を着替え終わると鏡の前に立つ。そこに映るのはいつ見ても完璧美少女の自分の姿。


「うん、今日もかわいい」


鏡に向かってそんなことを言い俺は今日も出かけるのであった。





街に出ると日曜日ということもありかなりの人で賑わっている。俺はいつものように目的もなくただぶらぶらとそのあたりをうろつく。すれ違う男たちからは「おい、見ろよあの美人」なんて声がしたり、彼女ずれの男さえ俺の姿に見とれてしまい横の彼女に怒られている。


(あー、なんて楽しいんだ。男たちの視線を釘付けにしてしまうなんて俺はなんて罪なやつなんだ...)


そんなことを考えながらショッピングモールの中をうろついているとどこかから


「ちょっと、やめてください。警察呼びますよ!」


なんて声が聞こえてきた。俺がその声がした方向を向くとそこでは3、4人程の男たちに絡まれる1人の女の子の姿があった。


(おいおい、物騒だな。女の子も嫌がってるし、ここは男として助けてやるか)


俺は今かなり気分がよかった。そのせいかその女の子を助けてやろうなんて考えていた。

父親が格闘技をやっていたこともあり俺は幼いころから護身術を鍛えあげられてきた。そのため正直その辺の不良なんかには負けない自信があった。


「ちょっと、この子嫌がってますよね?」


俺が男たちと女の子の間に入ってそんな風に声をかけると少し違和感があった。


(なんで俺今女声出してるんだ?そうだ俺今女装してるじゃん!!)


なんか声が変だと思ったら俺は今女装した状態でいるのをすっかり忘れていた。女装する時は女声を出すことを心掛けているため女装している今無意識に女声を出していた。


「おいおいなんだお嬢ちゃん」


「君もなかなか可愛いね。俺たちといいことしない?」


なんてどこかで聞いたことのあるようなセリフを言いながら男の一人が俺の腕をつかむ。正直ここから蹴り倒してやりたかったがスカートをはいている今そう簡単にはいかない。なんせスカートが破れたりしたらいやだからね。

どうしたものかと考えていたら横にいた女の子が俺をつかむ男の腕と襟首をつかむと勢い良く背負い投げしたのだ。

そんな状況に残りの男たちも俺も啞然としていると


「走るよ!」


と言いながら今度は俺の腕をつかんで走り始めた。男たちは啞然としたまま反応出来ずその場に取り残されていった。





「さっきは助けてくれてありがとう」


そう言ってその女の子はつかんでいた俺の腕を離す。


「おr…わたしのほうこそありがと。出しゃばったのに何もできなくてごめんね」


「ううん、助けてくれたの凄く嬉しかった。私の名前は長谷部 春奈(はせべ はるな)っていうの。あなたの名前は?」


俺はその名前に聞き覚えがあった。


(長谷部 春奈って同じクラスの奴じゃねーか!!おいおい噓だろこのままだと俺が女装してるのがばれる。そしたら俺は…)


ばれたときの想像をするだけで震えが止まらなくなる。


「わ、わたしはユナ。さっきは逆に助けてくれてありがとね」


俺はとっさにうそをついた。


(ここはやばいばれる前に早く離れよう)


「それじゃあわたしもう行くね」


俺はその場を離れようとしたが、そんな俺の服の裾をつかむと


「この後暇?よかったら少しお茶でもしない?」


「へ?」


その言葉に俺は間抜けな声が出た。





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本日より小説のほうを書こうと思い書かせていただきました。

初めて試みですので温かい目で見守ってください。

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