第2話 長城の戦い①
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呂布は転生して再び呂布として生を受けた。
前世とは異なり人の話をよく聞き、礼節を弁えていたので周囲から神童と称されていた。
勇猛果敢な性格と周囲を圧倒する力は前世と変わらず成人する頃にはあらゆる武器を扱えるようになっていた。
前世と同じく一兵卒として仕官した後、幷州刺史の丁原に見出されて出世を重ねた。
【187年 幷州・太原郡晋陽】
北方民族の鮮卑族が長城を越えて五原郡に侵入して略奪を始めたと知らせが届いた。
丁原は晋陽に居る幕僚を召集して緊急会議を開いた。
「討伐軍を編成して対応に当たらせるが…」
「今回は敵本拠地を目標に定めるべきです」
「本拠地を叩く事で我々が本気だと分からせてやれば幷州に目を向けなくなるでしょう」
薛蘭と候成が越境攻撃を提案した。
「上手く行けば長城の修復も進める事が出来るな」
「その為にも今回は徹底的にやるべきです」
秦の時代に築かれた長城は経年劣化が進んで崩れている箇所があり、鮮卑族はそこから侵入して五原郡で略奪を行っていた。
丁原は刺史就任後に長城の修復を始めたが、鮮卑族に邪魔されて中断を余儀なくされている。
「呂布、討伐軍の指揮を任せる」
「お任せ下さい」
「成廉と魏続は補佐役とする」
「「承知致しました」」
呂布は丁原から軍令を受け取ると騎兵を中心に討伐軍を編成して五原郡に向かった。
*****
【187年 幷州・五原郡九原】
討伐軍を率いて五原郡に入った呂布は郡都九原で軍議を開いた。
討伐軍の三人の他に太守魏越も軍議に加わった。
「敵の動きは?」
「何度か小競り合いを行った後は長城付近に留まっている」
「我々の出方を伺っているな」
「攻めてくれば長城の外に逃げる。攻めてこなければ略奪を続ける。これの繰り返しだ」
魏越は鮮卑族のしつこさにウンザリしており呆れ気味に答えた。
「誰でも嫌になるだろう」
「取り敢えず五原郡に残っているであろう敵の掃討が先決だと思われます」
「敵主力と当たるのはその後だな」
「背後や側面を突かれたら損害も大きくなるからな」
成廉の言う通り五原郡には鮮卑族の別働隊が留まっており、好き勝手に動いていた。
それをどうにかしなければ長城を越えるのは困難だった。
「魏越は敵主力の監視を任せる。必要に応じて動いてくれ」
「承知した」
「成廉は騎兵と共に九原で待機」
「承知致しました」
「魏続は歩兵の半数を率いて東部方面の敵を掃討」
「心得ました」
「俺は歩兵の残りを率いて西部方面の掃討を行う。掃討が終わり次第、全軍で長城に向かう事にする」
呂布はその日の内に軍を再編成して魏続と共に歩兵を率いて九原を離れた。
*****
【187年 幷州・五原郡長城付近】
成廉の予想通り五原郡の各地に連絡役の敵兵が残っていた。
呂布と魏続は集落を見つけると虱潰しに捜索して敵兵を拘束した。
目処が付いた段階で九原に知らせて三方向から長城に向かい、長城付近に居座る鮮卑族と対峙した。
「騎兵は俺と成廉が指揮を執る。俺が率いていた歩兵は魏越に任せる」
「承知した。因みに敵は騎兵を前面に押し出しているぞ」
「歩兵の姿が見えないのが気になります」
「長城外部に伏兵を配しているのではないか?」
成廉の懸念に対して魏越が伏兵の存在を懸念した。
「ならば俺と成廉が前に出る。魏越と魏続は伏兵を警戒してくれ。明日の朝から攻撃を始める」
「承知した」
「「承知致しました」」
鮮卑族による略奪で長年苦しめられた借りを今回の戦いで返してもらうべく呂布たちは準備を始めた。
呂布が行く あひるさん @GE-AHIRU
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