第2話 霊帝崩御
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2024.7.28改訂
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呂布は転生して再び呂布として生を受けた。前世とは異なり人の話をよく聞き、言葉遣いは少々乱暴なところを除いて礼節を弁えていたので周囲から神童と称されていた。
勇猛果敢な性格と周囲を圧倒する力は前世と変わらず成人する頃にはあらゆる武器を扱えるようになっていた。前世と同じく一兵卒として仕官した後、幷州刺史の丁原に見出されて出世を重ねた。
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呂布は兵営で将兵の訓練を見ている最中に丁原から呼び出された。政庁に入ると丁原配下の主だった者が顔を揃えていた。
「何進大将軍から上洛を命じられた」
「理由は?」
「陛下の大葬に参列せよとの事だが、実際は劉弁様擁立に協力しろという意味だろう」
「州刺史様、劉弁様は長男なので後を継ぐのが当然では?」
「魏続将軍、世間一般とは異なる事情があるのですよ」
「別駕従事殿(薛蘭)、どういう事ですか?」
霊帝劉宏が洛陽で崩御したが、突然の事だったので長男劉弁を推す勢力と次男劉協を推す勢力が主導権争いを始めていた。
何皇后が母親である劉弁を推す大将軍何進(何皇后の兄)はこれを利用して劉協を推す十常侍の粛清を画策して各州の州牧や州刺史に上洛を要請した。
一方、側室の王美人が母親である劉協を推す蹇碩が筆頭を務める十常侍は何進の失脚を狙って各州の州牧や州刺史に上洛を要請した。
「ややこしい話ですね」
「州刺史様には黄門侍郎の蹇碩からも上洛を促す手紙が届いている」
「蹇碩は劉協様付きの宦官で十常侍の筆頭格と言われる男だ」
「どちらに付くか腹を決めてから動いた方が良いと思いますがね」
「呂布の言う通りだな。どっち付かずで双方から恨みを買えば拙い事になる」
丁原は判断に迷った。筋を通すなら何進に協力して劉弁を擁立しなければならない。そうすると朝廷を事実上支配している十常侍に歯向かう事になる。かと言って十常侍に味方すれば大将軍として軍権を握る何進と対立する事になる。
「簡単に言えば肉屋に味方するか、玉無しに味方するかじゃないですか?」
「ぷっ」
「ハハハ」
「呂布将軍、面白い例え方ですな」
「別駕従事殿、事実を言っただけですよ」
「確かに何進は肉屋で宦官は玉無しです」
「儂の腹は決まった。背景はどうであれ劉弁様が後を継ぐべきだろう」
丁原は何進に味方する事を決めて上洛する為の準備を始めた。呂布・高順・張遼・魏越・魏続が丁原に同行、薛蘭が留守居を任され侯成・成廉・宋憲・郝萌らが残る事になった。
*****
洛陽に到着した丁原軍は城外に軍を留めて丁原と張遼が城内に入り大将軍府に向かった。何進との面会を終えて帰陣した丁原は呂布以下待機していた者を集めた。
「大将軍府はどうでした?」
「蹇碩を除く西園八校尉と袁術が居たぞ」
「中々の面々が揃っているようで」
「一つ気になる事があってな。西涼の董卓が姿を見せていない。協力すると真っ先に返事を送ったにも関わらずだ」
「美味しいとこ取りを画策しているのが丸分かり」
「権力奪取を狙っていると云うのか?」
「そうとしか思えませんがね」
呂布は前世の記憶があるので董卓が途中で進軍を止めて洛陽に入る機会を伺っている事を知っていた。董卓は何進の暗殺から始まった十常侍の乱が終結したのを見計らって洛陽に入り、混乱を鎮める名目で権力を掌握した。
「呂布、お前ならどのように動く?」
「何進に護衛を付けて十常侍による暗殺を防ぎますね。本人が拒んでも強引にやる必要があるでしょう」
「その上で十常侍粛清の機会を狙うのだな」
「十常侍については何進や八校尉が主体となって動くと思われるので我々は助勢に留めるべきでは?」
「分かった。明日にでも何進に申し入れしてみよう」
丁原は何進に護衛の必要性を説明、武芸に優れた者を近くに置くようにと進言した。何進は宮中には何皇后が居るので誰も手を出せないと安易な考えを持っていたが、丁原の他に袁紹や曹操からも申し入れされた事から渋々ながら受け入れる事にした。
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