滅却のクロニクス 〜最強の英雄になろうとしたが、彼女だけの英雄ではダメでしょうか?〜
ユウカリ産
第1話 最初の出会い
「これは…持っていくか…ヨシ!準備完了!」
古びた建物だが愛が詰まった家、
今日ここから俺は旅に出る。
ドアに手を掛ける、もう一度周りを見渡す、
誰もいない家…母さんの写真に言う、
「母さん…行ってきます!」
俺は旅に出た。
「おーい、こっちは取り終わったぞ〜」
「おっそうか?今日はいつもより早く終わるな。」
カン!カン!カン!カン!カン!カン!
大きな音でなる鐘、
これは、緊急時に鳴る鐘の音、
観測塔から村人が大きな声で叫んでる。
「速く逃げろ
「本当か!?おいみんな、村の中に逃げるぞ!!」
恐怖と混乱で逃げ惑う者達、
遠くに居た魔物は刻一刻と迫ってきている。
そんな恐怖から皆を守るべく立ち向かう者達、
「戦え無い者は退避!」
「戦える者は
巨大な魔物が村の柵を破壊して、突っ込んでくる、息を荒くし人を探している。
「村長!冒険者は居ないのですか!?」
「このままじゃ村が壊滅してしまいます!!」
焦りで声を張り上げる村人、
その声に反応し、向かって来る魔物、
その通路には子供が居た。
「おい子供が逃げ遅れたぞ!!」
息を荒くした魔物が、走りながら子供目掛けて鋭い爪を振り上げる。
誰もが見ていることしかできなかった。
自身達の無力感に打ちひしがれながら、
その瞬間、誰かがその魔物の爪を弾き、
子供を大人達の場所に預けた。
「あとは俺が何とかする。」
「皆は避難してくれ!」
村人達は何が起きたのかわからない。
それは一瞬の事だった。
ただ子供は助かり、眼の前の魔物を倒そうとする冒険者らしき者が居る事だ。
でも、よく見ると彼は少年だ…周りの人達は勝てないと思っていたが彼は違う、彼の瞳には勝利の火が燃え滾る!
魔物と少年は同時に攻撃を出す!…勝負は一瞬、
「
燃える炎の斬撃が魔物の身を切り裂いた!
魔物が倒れると、静かな時が流れ、
一人が喜ぶ、また一人、また一人と歓喜した。
村人達が少年に駆け寄る。
「あ…ありがとうございます!!」
「無事で良かった…あ!もういかないと。」
俺は急いでその場を離れようとした。
すると老人が聞いてきた。
「もう行かれるのですか?」
「名前だけでも教えてくれないかい、」
老人が焦りながら聞くと、
俺は高らかに言った。
「俺は英雄の道を行く、キラだ!!」
そう言うと、俺は村を去った。
…これが、初めての勝利の感覚。
「地図によるとここから真っ直ぐ…」
地図を見ているが、明らかに道では無い。
どちらかと言うと獣道…もしかて…
「迷ったか…」
方向音痴が出てしまったが今更後悔しても遅いか、
一旦前に進もう。
数時間歩いたがまだ道が見えない。
霧雨も降って来て、もう森から出られない。
と…思ったが、何やら丘が見えて来た。
丘の上には古びて今にも崩れそうな小屋があった。
「誰か居るのか?」
中に入ると、誰かが横になっていた。
綺麗な女の人が…寝ている。
だけど静かに、涙が流れている。
「大丈夫か?」
俺は気が付いたらに声が出ていた。
すると、彼女は起き上がった。
[うるさいな〜誰だい?]
俺は何故か言葉を失った。
俺はすぐに名乗ろうとしたが、
「グオォオアオン」
小屋の外から大きな咆哮が聞こえてきた。
慌てて出ると、眼の前には巨大な魔物が立っていた。
明らかに気配が違う、感覚で分かる、こいつは強い魔物だ。
だが此処で逃げたら彼女が危ない、
俺がここで倒すしか無い!!
震える手に魔力を込める、全力で‼
「
剣を振るおうとした瞬間、
後ろから声を掛けられた。
「辞めといたほうが良いよ」
すると、後ろに居たはずの彼女が前に居た。
魔物が全力で彼女を潰そうと、爪を振り上げた。
彼女はまだ動かない、魔物の爪が空気を裂き、当たる瞬間、彼女がバラバラになる姿が浮かんだ。
彼女は一言、唱えた。
「
空気が重くなり、空間が割れ、黒い三日月が見えた。
「ドガアァンンン!!」
凄まじい衝撃音と共に舞う土煙。
焦点が合わない視界。
体が裂けそうな耳鳴り。
数秒後、俺が見た光景は…
地形ごと、真っ二つの魔物、
晴天の下に立つ彼女…
俺は今…最強を目にした。
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