第2話 夢に招かれて

土煙が舞う中、俺は眼の前の出来事に頭が追いつかなかった。

すると彼女は振り返った。


「少しやり過ぎたみたいだね…」

「君、さっさと帰りな、」


彼女はすぐ立ち去ろうとした。

それに慌てて呼び止めようとしたが、

俺は真っ先に伝えていた。


「仲間になってくれ!!」


少し静かな時間が流れた。

彼女は俺に面倒くさそうに言った。


「私が君の仲間に?いやいや今更私が…」


彼女は急に黙り込み、何かを考えてる…

数秒経ち、俺が喋りかけようとした瞬間、


「私の名前はクロ、よろしくね、君は?」


彼女の以外な返事に俺は驚いた。


「それって…あぁ、俺はキラ、よろしく、クロ、」

「でもなんで急に?」


クロは少し顔を傾け、考えると、答えてくれた。


「気まぐれかな?」


風が吹き、クロの純白の髪が少しなびく…


「あぁ、そうなんだ、」


クロは最初の仲間になった。


何とか道に出たが、ここから王国レティアに到着まで数日歩く計算だ。

色んな事を考えているとクロが聞いてきた。


「ねぇ、キラはなんで王国レティアに行くの?」

「何かやる事があるのかい?」


俺は止まり、目を閉じた、

そしてクロに自身の過去を話す


「俺には強くてカッコいい父さんが居た。」


父さんは全国でも凄く有名な英雄だった。

昔は手紙でやり取りしてたな、四年前…

四年前から父さんから手紙が届かなくなった。

俺はしばらく、父さん宛に書き続けたが途中で辞めた…そこからしばらく変わらない毎日を過ごしていた。

ある日部屋を掃除をしていると、一通のホコリを被った手紙が出てきた、父の最初の手紙だ。

気付くと俺は中身を開けて読んでいた。


「キラ、生活は上手くできているか?」

「父さんはまだ帰れそうにない。」

「お前もいつか旅に出る時が来るだろ?」

「その時は父さんに会いに来てくれ、」

「待ってるぞ、」

「父さんより。」


読み終わると、俺は思い出した。

俺の最初夢を、俺はすぐに旅の準備をしていた。

それが俺の英雄になる旅の始まりだった。


「ふ~ん、じゃあ君は英雄に憧れて、この道を歩んで来たんだ…じゃあ頑張らないとだね、」


と、言うとクロは少し笑った。

俺はそれに応える様に笑顔で言った。


「そうだ!俺は英雄になるんだ!もっともっと頑張るぞー!!」


微笑んだ後、クロは空を見上げた、


「夜が来る。」


クロは立ち去ろうとした、俺は引き留めようと手を掴もうとしたが、クロは手を避けて言う。


「大丈夫だよ、朝には戻るから、またね。」


クロは見えない速度で消えた。

俺も空を見上げた。

空の日が落ちていく、空が暗く染まった。

仲間は出来たけど、夜に一人っきりは変わらない、なんて事を考え、星空を見上げ、焚き火の音を聴いてると、後ろから気配がする。

立ち上がり、剣を抜き、構える。


「誰だ、人か?それとも」


答えはすぐにわかった。

無数の魔物が草むらから飛んできた。

速い、当たったらひとたまりもない威力だ。

避けながら少しでも斬るが、数が多すぎる、ここは一旦引くか、いや、この数そう簡単に逃げれそうにない。

このまま押し切るしかない。

考えていたら一瞬、隙ができてしまった。

後ろから凄い勢いで飛んでくる、反応が遅れた。

間に合わない、


雷蹴りライケリ!!」


魔物のクチバシが刺さる寸前、暗い森が一瞬、雷が落ちた様に眩しく光った。

目を開けると人が立っていた。


「大丈夫か!大丈夫なら前を向け!奴らを倒すぞ!」

「君は誰だ?どうして?」

「話は後だ後!今は敵に集中だ!」


そう言うと彼は凄い速度で走り、魔物を足技で

倒していく。

まるで稲妻だ。

それに続いて俺も剣を取り加勢する。

そして数時間が過ぎ、魔物は疲弊したのか一斉に引いた。

俺達は息を切らして喋る。


「ハァハァ…やっと終わった…か。」

「あぁ…そうだな。」


さらっと一緒に戦ってくれたけど、この人誰だろう?

よし聞いてみるか。


「助けてくれてありがとう、ところで名前は?」

「俺か?俺は冒険者のアランだ、」

「ここには依頼クエストで魔物を倒しに来ててな、」

「そして、此処が騒がしいから見に来たら、」

「お前が危なかったから一緒に戦った。」

「で、今に至るてわけ。」


その説明を聞き、アランが優しい人って事は分かった。

その時、疲れがどっと押し寄せ、腰が抜けた。


「ごめん、多分魔力を使いすぎた。」

「俺はキラ、」

「英雄の道を行くキラだ、ところでアラン、」

「申し訳ないけど、少しだけ休んでいいか?」


するとアランは笑いながら言う。


「しゃーない、しゃーない、ゆっくり休め、」

「周りは俺が見といてやる。」


俺は安心して一瞬で眠った。


「お、何だもう朝か、ずっと戦ってたから気づかなかったぜ」

「お〜い、戻ったよキラ、大丈夫だった?」

「って、えっ?」


「誰だい?」

「誰だ?」

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