恋熱花火

癒月連理

第1話

 実家へ数年ぶりに帰った夜、同じく帰省していた幼なじみもうちに来て、 花火大会をした。花火大会といっても大量の手持ち花火で遊ぶだけだが。俺はすすき花火を手にとって火を着ける、始めは赤、次に白、最後は黄色、と色が三色に変化した。

「花火も進化してるんだな……」

 感心していると、スパーク花火を持っていた幼なじみが。

「そうだね、みんな進化してるんだよ。あー、あんたは変わってないか」

 笑いながら言う事か、ちょっと酷くないか?そう思っても口には出さない、大人だからな。

「……変わらないものもあるだろ、世の中には」

「例えば?」

「……俺のお前に対する気持ち、とか」

「……あ、あー、あったね……えっと、まだ独身で恋人とかもいない?」

「いない、約束だからな。お前は?」

「私も……同じく」

 花火の光で浮かぶ彼女の顔は赤く染まっていた。一回告白して断られ、それでもと日か下がらず、上京する前にとりつけた約束が25歳までお互い独身だったら付き合おう、と。

「じゃあ決まりだな、よろしく」

「よ、よろしくお願いします」

 二人の恋という花火は今着火した、激しく燃えて燃え尽きて、水に浸かって冷静になる頃には恋は愛に変わっているだろう。

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恋熱花火 癒月連理 @egakukotonoha

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