絶望的絶望

双葉紫明

第1話 まえがき

絶望なんて気のせいさ、まったくよー


死んだ方がマシなんて、勘違いよ



 そうして僕はしたり顔。電話を切った。知っていた。だけども、あまりにくるしくて、逃避した。金なんかに殺されない、金なんかに殺されない、金なんかに殺され。充分苦しんだ。充分頑張った。もういーよ。いーよ。ダメだよ。

 そしたら続行、投げ出せなかった。やめたい逃げたい無理だった。続行。深夜に便所で酷く吐く人、次いで救急車。あんなふうに、なるのか。僕なら救急車を呼んだだろうか?

 一命取りとめて、より苦しみを長引かせたりはしてないだろうか?どうせそのうち死ぬんだ。ならばせめて安らかに。でも誰かが呼んだなら生きて欲しいのだろうし、自分で呼んだならば生きたいのだろう。苦しみを。そして僕にはそのどちらもないけど、どうしても死ねない理由が、どうしても死にたい理由になる。

 

 僕は良いんだ。もう、どうにでもなれだ。謝りようもない。

 たくさんの絶望に希望を見出したい。僕の為に、誰かの為に。そう、誰かの為に。

 何度も何度も失敗したけど、迂闊さが祟ったんだ。慎重に書く。だから、筆は遅い。美しい物語を。誰も見たことも、聞いたこともないような。書けるかわからないけど。

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