第23話 白い恋人パーク
外に出ると、すぐ目の前に、という程近くはないが、視界にそれっぽい建物が入った。ホテルのようにも見える、西洋館のようなもの。あれが「白い恋人パーク」だろう。
もっと早くから地上に出て歩いてくる人もいたようだ。それも良かろう。しかし、ここも札幌市内とはいえ、今までいた場所よりも交通量が少ないのか、雪が多い。歩道の脇に寄せられた雪がうず高く積まれている。
それにしても、カップルか、女性グループが多い。いや、独りで歩いているおじさんもいる。でも、このおじさんが白い恋人パークに向かっているとは限らない。
入り口よりも手前、ホテルのようだった建物の前にさしかかると、窓に可愛らしい装飾がたくさん施してあって、写真を撮った。小さいバルコニーには雪だるま。1階の窓にはカラフルなおもちゃのような装飾。「白い恋人」という文字も。そして、いよいよ入り口へ。これまた立派な門構え。中に入ると、時計塔のあるお城のような建物に、雪だるまがいくつも置かれ、ハート型に風船が並び、今は電気が点いていないけれど、電飾もいっぱいだ。外国人観光客と見られるグループが、懸命に写真を撮っていた。私も負けじと撮る。なるべく人が写り込まないように撮る。後でSNSに載せられるように。まあ本当は、ここは集合写真を撮るような場所のようだが。
そして、チケット売り場へ向かった。中庭があり、その両脇に建物があって、左側にチケット売り場があるらしい。狭い室内に入ると、少々列が出来ていた。家族連れやカップルが多い中、独りで並ぶ。外国人が多く、受付にいる女性が中国語で対応していた。私が行ったら日本語で話してくれるかな、と少し不安になった。
しかし、私がカウンターに行くと、ちゃんと日本語で話してくれた。多分彼女は日本人ではなかったが。大人1枚のチケットを買った。すると、チケットとチラシ、そして「白い恋人」を1枚くれた。「白い恋人」とは、お菓子である。それを1袋くれたのだ。ちょっと嬉しい。でも、これをくれた理由が後で分かった。これを知らないと分からない物がある。それと、多分味を知って欲しいはず。昔食べたきりの人には特に。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます