第12話 ホテルにチェックイン

 店を出てすぐの曲がり角を曲がったら、泊まるホテルが見えた。時刻は14時頃。ホテルの前まで歩いてくると、入り口には2段ほどの雪の階段が作ってあった。そこを用心して降りる。

 入って行くと、カウンターに従業員が3名ほどいた。女性が2人。3人で待ち構えていたように、ご挨拶をされる。でも、まだチェックイン時間じゃないから、ちょっとまごつく私たち。

「あのー、チェックイン前に、荷物を預けたいんですけど。」

「その前に、必要なものを出さなくてはならないので。」

そんな事を言いつつ、ロビーと言う程の広さはないが、ソファがカウンターの横にあったので、そこでスーツケースを開けようとした。すると、従業員の女性が、

「それでしたら、チェックインなさいますか?」

と言った。予約の名前を聞かれ、

「準備の出来ているお部屋に変更して、チェックインする事も出来ますが。」

と言われた。部屋を変更?元々何号室かなんて知らない。この変更が吉と出るか、凶と出るか。と言っても、それほど変わらないだろう。それよりも、チェックイン出来てしまえば、部屋で色々準備できるし、後は自由に出入りできるし、楽だ。

 ということで、最初がどこの部屋だったか知らないが、8階の部屋に変更してもらい、チェックインを済ませた。エレベーターで部屋まで行き、受け取って来たカードキーをかざして鍵を開け、中に入った。

 部屋はミニツインと言って、シングルベッドとエキストラベッドが1つずつ置いてある部屋だった。サイトの写真では、だいぶエキストラベッドが小さいように見えたのだが、まあ、私が小さい方のベッドにすればいいだろうと思っていた。そう、最初、2人分(1部屋分)の宿泊料金なのに1人分と間違えて、予算設定をすごく安くして検索してしまい、ダブルベッドの部屋しか出て来なくて、ダブルベッドの部屋を予約したのだ。だが後から間違いに気づき、もう一度2倍の予算で検索したら、ツインも出てきたのだった。ダブルベッドは大きいだろうが、掛布団が1つだろうから嫌なのだ。絶対に寝にくいに違いない。うちは布団なので、ダブルベッドなど使ったことがない。新婚旅行はどうだったかな?もう忘れた。とにかく、ツインにしようと思ったのだが、このホテルは立地が良いので、ミニツインだったけれどもここに決めたのだ。

 実際にホテルの部屋に入ってみたら、エキストラベッドもシングルとほとんど変わらない大きさだった。ほんの数センチずつ幅と長さが違うようだが、そのくらいなら全然気にならない。

 それより、部屋のベッド以外のスペースが狭くて、スーツケースを広げる場所がない。トイレの扉と入り口の扉の間に広げるしかないが、広げるとどちらかのドアが開かない状態だった。部屋の出入りをする時には、スーツケースは閉じるしかない。

 窓の外は、大した眺めでもなかった。道とビルが見えるだけ。近くに北海道大学があるみたいだが、反対側だったのかな。いや、目の前のビルで見えなかったのかな。テレビは壁に大きいのが掛かっていた。テレビの他にビデオが観られるそうで、どんなビデオがあるのか見てみたが、面白そうなものはなかった。それと、窓辺にカウンターがあって、椅子もある。カウンターの上には電話や電気ケトル、そして目覚まし時計が置いてあった。ホテルの説明などの書類も。窓際の方に小さいベッドが置いてあったので、私がカウンターを独占だ。自分の化粧品とか日記帳などをカウンターに並べて、ベッドから降りずに手を伸ばして何でも使えた。

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