浮気されたので彼女と別れたのだが代わりに腐れ縁の後輩が壊れていった様だ

アキノリ@pokkey11.1

一章 

貴方への想い¿

第1話 激高 

「せんぱーい。帰りましょう」


2月10日。

友人の横道斗真(よこみちとうま)と彼女の浮気の件で話をしていると教室にいきなりそんな感じで1年下の後輩の菅原巫女(すがわらみこ)がやって来た。


天女と呼ばれている彼女。

何故天女なのかと言えば簡単である。

容姿がめっちゃ可愛いので...ある。


黒髪のボブ。

そして前髪に2本の髪留め。

まあそのそこら辺のアイドルよりかは遥かに可愛いと思う。


そんな彼女がこうして俺の教室に来るのは...まあ相当に珍しいのでぎょっとした。

正直、俺の部活の後輩でありそしてとても愛らしいのは分かる。

しかしこうして俺の教室に来るのはおかしい。

何故なら彼女とは下駄箱でいつも待ち合わせて帰っているから。


「菅原?どうしてここに...?」

「そりゃ先輩を迎えに来たに決まっているでしょう」

「いや。お前はそんな真似はしないだろいつも。何で?」

「良いですから。帰りましょう」


まあ彼女に浮気されて失恋していたし。丁度良い機会だな、と思い俺は「そうか。ならまあ帰るか」と言いながら斗真に挨拶。

そのまま菅原に駆け寄って帰宅する。

因みにだが斗真もそうだが学校中では俺達は色々な方面からカップル認識されているがそんなのではない。

菅原とは腐れ縁と言える。


「...でですね。登校中に子犬が居て...すっごい可愛かったんです」

「そうか。...お前らしいな。そうやって愛するのは」

「ですかね?アハハ」


そんな会話をしながら俺は菅原を見る。

楽しそうな菅原を見ながら俺は苦笑しつつ校門を出て歩いていると菅原の表情が消失した。

何故かと思えば目の前からその女は歩いて来たから。

菅宮楓(すがみやかえで)。


長髪に少しだけギャルっぽい感じの女子。

化粧とかはしてないリア充っぽい野郎である。

猛烈な美少女(外見だけは)。


俺の...元カノであり浮気した女だった。

その菅宮は「あれー」と声を発しながら俺を見てくる。

俺は「何だ」と声を掛ける。

菅宮は「その浮気の件は御免なさい。私が悪かった。だけどどうしてもあの人が良かったから」と言いながら頭を下げる。

何もかもが軽すぎる。


「偶然だね。こっちに帰っていたら...って其方の子は?」

「...私の素性はどうでも良いでしょう。...帰りましょう。先輩」


そして歩き出す菅原。

俺は驚きながらその姿を見る。

何故なら俺達の浮気の事情を知ってない筈の菅原が怒っている。

菅原は俺の手を握ってから歩き出す。


「お、おい。菅原。もしかして俺達の関係を知っているのか」

「...いや。知らないですよ」

「いや。とぼけるなお前。知っているだろ。お前にはまだ話しても無いのにどこで知ったんだ」

「...調べました」

「...調べた?え?」

「私、先輩の調子がおかしいので調べたんです。そしたら今の状態に行き着きました」


俺は衝撃を受けながら菅原を見る。

すると菅原は「こんな情報をこんな形で知るのは良くないって知ってます。だけど仕方が無かったから」と言いながら菅原は前を向く。

俺は考える。


「お前がそんな事を知っているとは思わなかった」

「私は先輩が気になりますから」

「...気になるって」

「先輩。妹さんの自殺は...私にとっても衝撃でしたから。だからその分...貴方はもっと傷付いているでしょうから」

「...」


大宮悟(おおみやさとる)。

俺の名前だが。

そんな俺には妹が居た。


大宮神子(おおみやかみこ)という。

部活動の陸上部で先輩の女学生と男子学生に性的なイジメを受け。

そのまま自殺した。


俺は...神子の事を思い出す。

そして目の前の菅原を見つめる。

足を止めた。

それから俺は菅原を見る。


「菅原。俺は...神子の事で悩んでいるのは事実だけど今はアイツのダメージは無いよ。だって浮気の事は全部知っていたしな」

「...何でそれで許していたんですか」

「許していたんじゃない。変わるかって思っていたんだ。そのベッドは失敗だったけどな」

「馬鹿じゃないですか?あの女は見た目的に変わりません。それは分かるでしょ」

「...共依存だったと思える。何もかもが...甘かったよ」

「先輩は許しても私は絶対に許しませんよ。あの女。見た目だけが滅茶苦茶良いだけで中身はどうもマジにクソッタレみたいなので」

「そうだな」


珍しく暴言を吐く菅原。

そして俺は手を引っ張られたまま家の分かれ道に来る。

菅原が手を離した。

俺は袖を直しながら菅原を見た。


寒い風が吹く。

菅原は「...あんな外道は嫌いです」と俺を見てくる。

視線を逸らしながらオレンジ色の夕日を見る。

それから「まあ...そうだな」と答えた。

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