天使の化石

Rotten flower

第1話

椀を口に運ぶ。味噌汁が口へと流れ込んでくる。いつも通りの味だ。もう新鮮さも何も感じない。ルーティンのようにこなされていく日々が煩わしいがそれが日常というものなのだろう。毎日こうでは一日が八時間足らずに思えてくる。

点けていたニュースでは非常に興味のある内容が話されていた。

「天使の化石が発見されたようです。」

これは面白そうではないか。椀の味噌汁を飲み干すとニュースを食い入るように見た。


「今日のニュース、見ましたか?」

一時間目、理科の時間。先生が持ち出したのは天使の化石の話であった。教室内は騒がしくなり、鵜呑みにするもの、デマだと主張するもの、興味のないものと水と油のように分かれていった。

先生は二番目だった。が、鵜呑みにするもののうちの過激派と呼ぶのだろうか、そういう奴らにマシンガンのように話されているのがとても滑稽だった。結局、その時間では決着がつくことはなく次の時間へと流されていくようだった。

休み時間もその話で持ちきりで学級委員がそれを取りまとめる。バカバカしい。

あれはデマだと決まっている。なぜなら、僕があの化石を埋めたからだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天使の化石 Rotten flower @Rotten_flower

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ