記事(4of4).docx

【画像:スマホのビデオ通話画面。動画を切り抜いた為画質は荒い。映っているのはベッショ。眉間に皺を寄せ、鬼気迫る表情】


ベッショは最後、私達に電話をしてきました。


そこで彼女は私達を罵りまくって、


【画像:怒鳴りつけるように口を開けているベッショ。体が揺れて、背景が少し見える。紫色の壁、ベッドのようなものが見え、そこはzipファイルの画像や動画のラブホテルのように思われる】


それでも怒りは止まらず、ボルテージはどんどん上昇し、


【画像:ベッドの方へ振り向くベッショ】


突然後ろを向き、何事か叫びました。


【画像:向き直ったベッショ。目鼻から血が噴き出している】


【画像:ブレる画面。スマホがベッショの手から離れ、落下した。】




〔ベッショ〕全部、お前のせいだ・・・。




それが最後の言葉でした。


【画像:ラブホテルの天井。画面端に白い指先】


【画像:手が画面を覆う】


【画像:暗転】



〔マナ〕・・・。


〔カメイ〕・・・。



【画像:学生会館の一室。唇を引き結んで黙り込むマナとカメイ】


【画像:涙をぼろぼろ流すカメイ】


〔カメイ〕ベッショちゃん・・・どうしてこんなことに。


【画像:暗い表情で首を振るマナ】


〔マナ〕今は自分達が生き残ることだけ考えようよ。


〔カメイ〕そんな・・・。


〔マナ〕罪を償うにも、生き延びてからじゃなきゃ。


〔カメイ〕でも・・・どうやって・・・?



確かにそれが問題です。


すでに私達は考え得る限りの方法を試しました。


これ以上どうすれば良いというのでしょう。



【画像:険しい表情でパソコンに向き合うマナ】



〔マナ〕見つけるしかない・・・あの白い髪の女、その正体を。



私達は必死に白い髪の女を調べました。


画像の再検証をして背丈や容姿の詳細を検討したり、動画ファイルから何か少しでも“声”が聞き取れないかソフトを使って解析して見たり。


でも、所詮浅はかな素人考え、糠に釘、収穫はありません。



【画像:パソコンの画面を睨むように挑むカメイ】



〔カメイ〕何か少しでも正体のヒントを・・・!



カメイは色々な妖怪のデータベースや実話怪談から女の怪異を調べては、白い髪の女との共通点を探そうとしました。


【画像:血眼になって画面を睨むカメイ】


しかし、この世にはあまりにたくさんの女の怪異が溢れています。


その一つ一つに、無理やり当てはめれば同じように見えるし、そうでないと思えば違うように見える。私達が得ている情報から判断できることなんて、その程度のものです。


〔カメイ〕どこかに、なにか・・・。


【画像:血眼になって画面を睨むカメイ。その両目から、赤い汁が流れている】


〔マナ〕カメイ、目!


〔カメイ〕え!? あ・・・。


【画像:赤い汁を手でゴシゴシ拭うカメイ】


〔カメイ〕大丈夫、大丈夫! 血というよりは怪我したときに出る透明な汁に近いやつですから! 大丈夫! 大丈夫、大丈夫、ですよね・・・まだ。



【画像:横並びで机にうなだれるマナとカメイ】



〔マナ〕・・・わからない。でも、もういいよ、カメイ。少し休もう。


〔カメイ〕はい・・・。


〔マナ〕やんなっちゃうね・・・。


【画像:マナがしょぼくれるのを見て、苦笑いを浮かべるカメイ】


〔カメイ〕はい・・・。どうして世の中ってこんなにたくさん女の怪異や幽霊がいるんでしょうね? 


〔マナ〕ほんとそれ。「『女の子が出しちゃいけない声』って、どこの女の子なのか書いといてよね!」って感じ。


〔カメイ〕女の子ってどうしてそんなに怖いものにされちゃうんでしょうね。


〔マナ〕きっと、みんな女の子に無駄なイメージ抱き過ぎなんだよ。


〔カメイ〕どういうことですか?


〔マナ〕女の子って男の人からだけじゃなくて、女の子自体も怖いと思われてるんだ。周りから「怒っちゃいけない」「真面目でなきゃいけない」って杓子定規に嘘っぱちの理想像を押し付けられて。でもそれで押さえつけられたエネルギーが溜まって、とんでもない方法で爆発するんじゃないかって、みんな怯えてる。


〔カメイ〕だからオバケにされちゃったんですか?


〔マナ〕そうそう。何だよ、『女の子が出しちゃいけない声』って。何言ったっていいじゃん、そうやって口を塞ごうとしたからこんなことになるんだよ。


〔カメイ〕マナっちゃ・・・?


〔マナ〕あーあ。


【画像:顔を上げ、正面を向き、画面の向こうを見通すマナ】



〔マナ〕私も怖いものになっちゃおうかな。




【画像:両目から血涙を流すマナとカメイ。その目は黒く染まっていて、まっすぐとこちらを見ている。読者を見ていて、彼女はまっすぐ語り出す。】





そうして私達は、全てを諦めることにしました。


これから私もカメイも死にます。


みなさん気付いていないかもしれませんが、これは最初から全部嘘の話です。


モキュメンタリーと言えば、みなさんにも伝わるかな。


でもこの物語における嘘は、私達が死ぬことではありません。


嘘は、マナっちゃこと私です。


マナという名の女の子は、これまでこの世に存在していませんでした。


いえ、そもそも女の子なんて、この世界には一人だって存在していませんでした。


この世にいる女の子という女の子は、全て嘘を吐き、嘘に塗れた、まがい物しかいません。


見てくれだけよくて、人を騙し、騙され、傷付き、傷付けるだけ。


それなら女の子なんて止めればいいのに。


周りからそうあれと強制され、自分でそうあれと強制し。


嘘をつくの止められない、止めさせてもらえない、救われない存在です。


でも私は本物の死で積み上げた、本物の嘘。


私こそが本物のモキュメンタリー、本物の女の子。


あなたの母で、娘で、恋人で、友達で、欲望の対象。


性と生と死の全てを司る、私はマナ。


真の女と書いて、真女まな


これからあの世に行き、妖怪になり、化け物になり、神になり、


本物になります。


この記事がまがい物のあなたに読まれ知られることで、私は本物になります。


全部あなたがここまで読んでくれたお陰です。


お礼にあなたに無様な生と死を与えましょう。





それはあなたは子だからで、私は母だから。


それはあなたは嘘だからで、私は本物だから。


それはあなたは愚かだからで、私は賢いから。


それはあなたは醜いからで、わたしきれいd





 aあ





こいつ、lie zui nu?



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