第13話
この数年でケイゴさんとライクは年齢を越えて仲良くなった。
その縁でライクにケイゴさんのお父様がライクにカタナを打ってくれることなった。
「なんてお礼をすればいいのか!そんな邪な気もちで妹との婚約を望んだわけではないのに。しかも、俺はケイゴに剣術を教えてもらい非常に有意義に過ごしている。ありがたい気持ばかりなのに」
本当にありがたい気持ちばかり。王家はその後何も言ってこなくなったし(『ラルク商会』って権力が強いなぁ)、ありがたいばかり。うちの商家も大きくしないとなぁもっともっと権力持てるように。
まだルリは12才なので婚姻という事は出来ないが、二人は一つ屋根の下に暮らしている。うち…広いし。ケイゴさんは妹みたいにルリに接する。ルリはそれが不満みたい。やむを得まい。だって年齢差が…。もっと、淑女になるのよ!!
そんなだから、バードはもう諦めたみたいで夜毎ルリの弟妹を望んでいるようだ。私はもう高齢出産になってしまうって言ってるんだけど…。
王家がなんか書簡を送って来た。
「このまま、薪にくべようか?」
いやいや、一応読もう。
「とりあえず、目は通しましょう?その後で薪にくべましょうよ」
とはいうものの、危険なので侍女に一度目を通してもらった。
私とバードは耳を塞いでいた。
「王家も色々考えるんだな。書簡に魔法をかけるとはな」
侍女が王家の言いなり状態になった。
「王家に軍事部門の権利を譲渡しましょう」とか「美容部門の研究者を派遣しましょう」と言っている。
これは…私が先に読んで、バードを懐柔しようという腹だろうか?
書簡を読んだ侍女はディスプに診てもらおう。
もうこのままでは、ルリを王家に向かい入れるってのが無理になったから結構強硬的に動いてきたわね。次は物理的に動きそうだけど?
予想通りで面白くない。宰相もたいした人物じゃないなぁ。
物理的には、商家が軍事部門を一応持っているので、色々装備がある。加えてケイゴさんのような一流の剣士もいるし、ライクも最近はなかなか強くなった。
そんなこの家を潰れかけの王家が堕とせるのか?
無理だろう?と私は思う。
ルリはケイゴさんに「ケガしないでください」と何かお守りのようなものを渡している。
グッジョブ!そういうのけっこう嬉しいのよ~。
予想通り、王家vs我が家(平民)の戦いは我が家の勝利だった。
王家は何をしたいんだ?浪費しなければ国庫が枯れるような事も無かったろうに…。
国王は言う「浪費したのは王子だ」
王子は言う「浪費したのは国王だ」
つまり、二人仲よく浪費したんですね?
我が家は国王にとって代わりたいわけじゃないし、爵位を持った貴族に罪はない。
誰か、適当な人物を王とすればいい。そこらへんは平民の我々よりも貴族の方々で決めてほしい。
私達親子は平穏な日々を求めている。
どこか屈強な国がこのライレルク王国を吸収合併してしまえばいいと思う。
「ルリ殿のお守りのおかげで大きなケガもなく戻ってきましたよ」
「でも…、こんなところに傷が!いけません!いますぐ救護室へ!」
あらあら、二人は結構いい感じね。
ルリさえ成長すればなぁ。
ライレイク王国はどこか屈強な国に吸収合併されれば…という想いを貴族たちが汲んでくれたのか、獣人国の属国となることとなった。
貴族制度はそのまま続くが国のほぼ全員が純ニンゲンなので、属国という形になった。吸収するのはちょっと無茶苦茶だったようだ。まぁ、獣人にも都合があるだろうし。
「ねぇ、バード?商家も『ラルク商会』みたいに商会として名前を登録した方がいいんじゃない?世界に名前を轟かせるのよ!」
正直、うちの商家とか言ってるうちは井の中の蛙の中の蛙状態だと思う。
「そうだなぁ…リラとルリの文字を取って、リル商会ってのはどうだ?」
「…」
獣人国の皇子の名前がリルなので、アウトです。
「もうこの際『バード商会』でいいじゃない?」
コレがいいと思う。『ラルク商会』だって商会長の名前から取ってるし。
「なんか恥ずかしいなぁ」
何を恥じるんだ!堂々と名乗るのだ!!
「ねっ、そうしましょ?」
こうして、うちの商家の名前は『バード商家』に決まった。
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