ワガママ令嬢には釣書が1通
@satomi1112
第1話
わたくしももう12才です。我が家は由緒正しい侯爵家。見合いの釣り書の10や20くらいきているでしょう。
「この家はうちよりも爵位が低いじゃない?ダメよ!」
「え?なんでこんなに背が低いの?ダメよー」
「えー、この人は顔が…ハッキリ言うとブサイクではなくて?」
「この人。この間のお茶会でプレイボーイだと噂になっている方ね」
等、あら捜しをしているんだろうかというくらい断りまくっていた。
その結果数年後、
「お嬢様、大変言いにくいのですが。お嬢様に見合いの釣り書が来ていないのです!」
「何ですって?!」
おかしいわ。わたくしは付近を捜索した。わたくしは自分で言うのも烏滸がましいですけれども、由緒正しい侯爵家の一人娘。蝶よ花よと育てられましたわ。
わたくしの何が不満なの?
「釣り書、あるにはあるのですが…お嬢様、平民はお嫌いでしょう?」
「当たり前のことを何を?」
「平民なのですが、急成長の商家の息子でして…」
ふーん、平民にしてはマシ(・・)な方ね
「わたくしはこの家の一人娘ですからその方は婿入り、という事になりますわね。平民風情が
一気に侯爵?!なんか気に入らないわね」
「しかし、釣り書はこの一つでして…」
「しかたない。会って差し上げ(・・・・)ましょうか?ほほほ」
わたくしはこの決断がわたくしの人生を大きく変えることになるとは思ってもみなかった。
「初めまして、お嬢様。私の名前はバードと申します。商人は平民ですので、家名はありません。どうぞ気軽にバードとお呼びください」
なんなの?18才年齢のわりに、しっかりとしててイケメンじゃない?今後さらにイケメンになるのかしら。声もさらにイイ感じになるのかしら?肩幅とかもガッチリとしていい感じになりそう。今後が楽しみな人材ね。碧眼に銀髪。あれ?銀髪って平民に少ないんじゃ?
「わたくしはリラ=ステインベルク侯爵令嬢よ。知ってるでしょ?」
「未来の奥方の名前はしっかりと覚えていますよ。リラ嬢」
わたくしはこっそりとバードの素性を探るように指示を出した。
執事などは「バード様をお気に召したのですね~」などと感涙していたが、違う。
どうも、碧眼に銀髪の平民というのが引っかかる。
「お嬢様、調べた結果とんでもないことがわかりました。どうやら、バード様は公爵家の落胤のようです」
公爵家と言えば…王家ともつながりあるじゃない。バードは超優良物件?放してなるものか!
どうりで銀髪で碧眼。納得の理由。
翌週バードに会うことになった。
「リラ嬢は今日も愛らしい」
「なんですか?その薄っぺらい褒め言葉は?」
18才が15才に言うんだからそんなもんかなぁとも思う。別に色気のある美人でもないし、巨乳でもないし。
「今年のデビュタントのエスコート役は私にやらせていただけますか?もちろんドレスなどもお送りいたします」
「わかったわ」
うん、婚約者っぽい。
この時はまだよくわかっていなかった。というか知らなかった。バードを狙っている女性が社交界には多いという事。
デビュタント前にバードはドレス等を送ってくれていた。もちろん全てバードに染まっている(アクセント部分は)。
「リラ嬢は白もとてもお似合いで。送ったドレスもとても似合っていて良かった」
「素敵なドレスをありがとう。今日は朝からうちの侍女達が頑張ったもの」
突然バードがつむじにキスを落とすから驚いてしまった。
「バ…バード?」
「今はこれで我慢しますよ。さぁ、社交界デビューです」
わたくしはほてる顔を意識しないようにしながら、堂々と(自分なりに)陛下に謁見した。
「初めまして。ステインベルク侯爵家が長女、リラと申します。以後お見知りおきを」
「おお。ステインベルク侯爵はこんなに愛らしい娘を隠していたのか?エスコート役の彼は?」
「わたくしの婚約者です」
わたくしは頬が紅潮してしまった。
「おお、初々しい反応だのう。デビュタントを楽しんでくれ」
それで陛下に謁見するのは終わったので私はバードの元へ戻った。
そしたら、バードは知らない女に囲まれていた。
「バード!」
「ああ、リラ嬢。婚約者が戻ってきたのでそれでは」
と、バードはわたくしの所にきてくれた。安心。
ダンスタイムあるみたいだけど、バードは大丈夫かしら?わたくしは淑女教育で学んでいるけど、バードは?
「バード、ダンスはできる?」
「人並みにはね」
そう言って、わたくしをエスコートして会場のど真ん中に位置取った。正直、こんな目立つ場所で大丈夫なのか?と思った。心配無用だった。
わたくしとバードのダンスは会場の人々を魅了していた。バードの‘人並み’というのはどういうことだろう?非常にうまくわたくしをリードしてくれる。わたくしがバランスを崩してしまっても、リフトで抱えてしまって、誤魔化し観客にはわからないようにしてくれた。
そんなダンスは2・3曲踊った。
「リラ嬢、飲み物が必要なんじゃないか?」
そう言って近くにいるボーイさんが持つグラスをわたくしに差し出した。仕草の全てがスマートだと思う。
飲み物を飲んでから、体がおかしい…。
「バード…、なんか体がおかしい。すごく熱い」
すぐに別室を用意してもらった。
「リラ嬢、犯人は俺を狙ったんだと思う。ところが運悪く、リラ嬢が餌食に…。俺を信じてくれるかい?」
「ええ。ものすごく体が熱いの。これはどうしてなの?」
「おそらく、俺を狙って媚薬を盛ったんだろう。さっきのダンスのあとのボーイだな。全く仕方ないなぁ。俺には婚約者がいるっていうのに!その婚約者になんてことを!」
「仕方ない。婚前交渉になるがいいだろうか?侯爵閣下には事の次第を事細かく説明し、謝罪したいと思う」
「そんなことはいいから…はやく楽になりたい」
「死にたい人みたいな発言だな(笑)」
16才、デビュタントの日に私は婚約者と婚前交渉をしました。
当然の事なのか、お父様は怒りました。
婚前交渉の原因となったボーイを探し出すと息巻いています。
わたくしは…その後、なんと16才にして妊娠が発覚。当然子供の父親はバード。
体を労わるようにとお父様には、厳重に管理されています。バードに会いたいんだけどなぁ。
バードはわたくしの妊娠知っているのかしら?
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