私は絶対に、琢磨君のお嫁さんになります

のんびり

第1話 朝食前に幼馴染が家にやってきました

 洗面所で顔を洗う。眠気を取るためには、効果的なやり方といえる。


 水気を丁寧に拭き取ったあと、洗濯機の中に白いタオルを投げ入れる。


 台所に向かっていると、思わぬ人物が目に飛び込んできた。


「さららちゃん。どうしてここにいるの?」


 月有さららは小学生時代からの幼馴染。中学生に上がるまでは、一緒にお風呂に入るほどに親しくしていた。


「今日の朝から、門脇琢磨君をお世話することになりました。いろいろとよろしくお願いします」


 昨日の夕食時は、そんな話はあがっていなかった。


「そんなことを勝手に決められても・・・・・・」


「おかあさまにOKをいただいています。琢磨君に拒否権はありませんので、そこのところはご了承ください」


 母に視線を送ると、ウインクを返してきた。


「あなたたちは小さいころから、結婚を誓い合った仲だったでしょう。将来のためにも、いろいろと練習をしておきなさい」

 

「何の練習をするんだよ。わかるように説明してくれ」


 おかん、きららはこちらに冷たい視線を送ってきた。悪いことをしていないので、理不尽としか思えなかった。


「琢磨君、何を食べたい?」

 

 きららがご飯を作る流れは止められそうにないんだけど・・・・・・。一息ついたあと、食べたいものを伝える。


「ベーコンエッグを食べたい・・・・・・」


「わかった。すぐに作るね」


 きららは料理が得意で、おいしい料理を作る。おかんと比べて、数段上のランクにいる。


 料理をしている女性は、幸せそうなリズムを刻んでいる。彼女を見ているだけで、元気になれる気がした。


「琢磨君、ベーコンエッグができたよ。これからもっていくから、楽しみに待っていてね」


「きららちゃん、ありがとう・・・・・・」


「琢磨君に喜んでもらうためなら、いくらでも作ってあげるよ」


「きららちゃん、無理をしなくてもいいからね・・・・・・」


「無理なんかしていないよ。お弁当についても、既に作ってあるんだ。愛情をたっぷりと詰め込んだから、残さずに食べるようにしてね」


 朝食だけでなく、お弁当まで作るなんて。琢磨専用のシェフさながらである。


「朝食、弁当だけでなく、夕食も作ってあげるからね。おいしいものを食べさせてあげるから、期待していてね」


 朝食、弁当、夕食を作るのは負担がかかる。今日だけの話であって、明日からは元に戻るのを予感した。


「琢磨君、定期的にお泊りするからね。昔のように仲良くしてね」


 三食を作るだけでなく、家にお泊りまでするのか。これまでとは全く異なる生活を送ることになりそうだ。

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