第5話 謎を解く鍵
廃墟と化した旧水産加工工場からの脱出後、小林修と佐藤警察官は、得られた手がかりをもとに次なる行動を計画した。彼らはまず、メモに記されていた言葉「過去を知れば、真実が見える」を手掛かりに、町の図書館で過去の記録を調べ上げることにした。
調査を進める中で、二人は町の歴史における一つの重大な出来事にたどり着く。数十年前、この町は水産業で栄えており、特にいくらの加工・販売が盛んだったことが記されていた。しかし、その繁栄の背後で、深刻な環境汚染と労働者の搾取が行われていた事実も明らかになった。
その頃の主要な事業者が運営していたのが、今は廃墟となった旧水産加工工場だった。そして、その事業者の末裔が現在も町の有力者として君臨していることを小林は見出した。小林と佐藤は、いくら散乱事件や連続爆破、殺人事件が、過去の罪を暴こうとする誰かの仕業である可能性を強く感じ始める。
この時、佐藤が一つの重要な情報を小林に伝えた。「事件が起きた場所すべてが、過去の汚染や搾取に関わる地点と一致しています。これは偶然の一致ではあり得ません。」
二人は更なる調査を進める中で、ある犯人像に辿りつく。それは、過去の事業で被害を受けた家族の子孫で、現在は社会的に目立たない生活を送っている青年だった。彼は町の図書館で度々見かけられ、特に過去の町の記録に強い関心を示していたという。
小林と佐藤は、この青年が事件の鍵を握っていると確信し、彼に接触することに。しかし、青年は当初、二人の接触を拒んだ。時間をかけて信頼を築きながら、彼から話を聞き出すと、驚くべき事実が明らかになる。
青年は自身の家族が過去に受けた不当な扱いに対する復讐として、事件を起こしたわけではないと語った。彼の目的は、町の人々に過去の罪に向き合わせ、再び同じ過ちを繰り返さないよう警鐘を鳴らすことだった。
小林と佐藤は、青年の話を聞き、彼が単独で行動していたわけではなく、事件にはもう一つ大きな力が働いていることを感じ取る。事件の背後には、町を本当に変えようとする人々の集団がいるのかもしれない。
この発見は、二人に新たな視点をもたらし、町の未来に対する重大な決断を迫ることになる。町の過去の罪をどのように清算し、どう向き合うべきか。小林と佐藤は、町の深い闇に光を当てるための次なる行動を起こすのだった。
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