第4話 再び降り注ぐ謎

町の静寂は再び破られた。夕暮れ時、人々の目の前で空からいくらが降り注ぐという、もはや幻想としか思えない光景が繰り返された。この二度目のいくら散乱事件は、先の連続爆破や殺人事件と何らかの形で関連しているのか。町中が新たな波紋に包まれる中、小林修は冷静に事態を分析し始める。


「これは単なる偶然ではない。何者かが私たちにメッセージを送っている…」


小林と佐藤は、再びいくらが散乱した現場を訪れ、現場の状況や周辺の目撃者から得られる情報を集めた。いくらの散布パターンや種類から、これが前回と同じ手口で行われたことが明らかになった。しかし、今回は新たな手がかりが一つ。いくら散乱の中心地近くで見つかった、古びた写真立てだ。


写真には、数十年前の町の風景が映っており、その中には明らかに今回のいくら散乱と関連がありそうな建物が写っていた。それは、かつて町の発展に大きく貢献したが、現在は廃墟となっている旧水産加工工場の写真だった。


「これは、過去の事件と現在を繋ぐ重要な手がかりかもしれない」と小林は推測する。


二人は早速、その廃墟へと足を運ぶ。工場内部は荒れ果て、時間が止まったかのような静けさが漂っていた。しかし、その静寂を破るかのように、小林の目はあるものに引き寄せられた。それは、散乱するいくらの中にある一つの袋。その袋からは、今回の事件を計画した犯人が使用したと思われるいくらの残りが見つかったのだ。


「これは…犯人がここを使っていた証拠だ。」


その瞬間、工場の奥から物音がした。誰かが彼らを監視していたのだ。しかし、駆けつけたときには既にその姿はなく、ただ一枚のメモが残されていた。「過去を知れば、真実が見える」と。


このメッセージは何を意味しているのか。小林と佐藤は、この謎を解く鍵が町の過去に隠されていると確信し、更に深く調査を進めることに決めた。いくら散乱事件と連続爆破、殺人事件が織りなす謎が、徐々にその全貌を現し始める中、二人は未知の危険に足を踏み入れる覚悟を決めるのだった。

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