昔の貧乏今の貧乏
私が小さい頃はまだ貧乏という物があった。
今考えると私の家もそうだったかもしれないが、自分の環境には気づかないもの。
貧乏という物に気が付いたのは小学生の低学年の頃。
ある友人の家は廃品回収業(当時はボロ屋と言っていた)をしていた。
子供にとって廃品の山は宝の山である。
ある日その友人の家で遊んでいると、にわか雨が降ってきた。
慌てて家に入れてもらったが、家に入ったのは初めてだった。
家の中で大きな雨音がするので上を見ると、天井がなかった。
天井がない事には驚かなったが、何と屋根が新聞紙で出来ていた。
新聞紙を貼り重ね、コールタールを塗ってあった。
実際に貧乏だったのかは分からない。
しかし、初めて貧乏という物を意識した瞬間だった。
その頃、別の友達が学校に来ると、興奮した口調で言った。
"昨日の晩飯は肉の入ったカレーだったバイ よかろーが"
"肉がいっぱい入っとって ものすごーく 旨かったとバイ"
"ばってん クロ(飼犬)が居らんて かーちゃんに聞いたら「お前が今食うたたい」と言わした"
"ばってん旨かった"
"三杯も喰うた"
貧乏と言うより、そういう時代だったような気がする。
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