モモヒキの華麗なるメタモルフォーゼ

モモヒキ・猿股・ステテコ・・・・・

なんとも情けない響きの衣料品類であろうか。

ご存知であろうが、男性用のズボンの下に介在する衣類である。

それらは、その呼称をもってかなり損をしているといえよう。

損をしていると言っても、別にモモヒキ猿股専門の製造業者や販売店がではない。


モモヒキとかステテコという名称ではなく、たとえば綾小路とかホワニータとかシルブープレとかいう名前だったら、きっともっと多数現存したであろう。

デカパンがトランクスという名前になっただけで、垢抜けた雰囲気を醸し出して繁殖したように。


なんでこんなことを書いているか、賢明な諸兄はもうお気づきであろう。

私がモモヒキを履きたいのだ。

南国の九州といえども、冬は零度前後の気温である。

地球温暖化なんて嘘だと論文を書きたくなるくらい寒い。

私はなんとかモモヒキを履きたいのだ。

しかしモモヒキ自体は良いのだが、その名前であるモモヒキが嫌なのだ。

"モモヒキを履いた私"・・・・・No! 想像したくない・・・


人に見られるものでは無いからという、もっともらしい意見もある。

しかし、男というものは女性の前でズボンを脱ぐチャンスというか、そういう機会が在ることを念頭に置かなければならない。

ほとんど0%に近くともその可能性がある限り、いや可能性が低ければ低いほどその千載一隅のチャンスを無駄にしてはならない。

そういう可能性を思い浮かべる事が出来なくなった時、モモヒキという名前の衣料を身につける事が出来る。


どんなに高級スーツをバシッとキメてロレックスの腕時計を装着してジャギュアに乗っていても、

モモヒキを履いているだけで、その男性的魅力は約68%程度は低下するという信頼すべき報告書がある。

ましてや、スーツもロレックスもジャギュアにも縁が無い私であったら・・・・・


履くべきか履かざるべきか、根性無しのくせにええカッコしの私は悩むのであった。

と悩んでいるうちにヒートテックというものが出てきた。

初めはシャツだけだったがモモヒキの分野まで進出したのだ。

外見も薄茶色から黒になり何より名称が変わった!

諸兄がご存知のようにヒートテックはモモヒキ時代より爆発的に繁栄している。

華麗なるメタモルフォーゼと言わざるを得ない!


世の中の男性の普遍的な悩みが、こうして解決されたのである。




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