蝉の秘密
蝉は何であんなに大きな声で鳴くのであろう。
メスを求め鳴く生物は数多くあれど、体の大きさに比して声の大きさは飛びぬけている。
いやあれは声ではないよと言う揚げ足取りの諸兄もいるであろうが、別に口から出なければ声ではないと言ういわれは無い。
蝉からすればあれは声なのである。
昆虫は口で呼吸をしないのであるから、音を出すために食物を摂取すべき口から空気を出し入れする必要は無い。
だから、虫にとって出す音は信号であり、それは全て声なのである。
話を元に戻すと、何であんなに大きな声を出すのか。
今回もまた私の明晰なる頭脳が明確なる回答を指し示した。
ご存知のように蝉は幼虫時代が長い。
種類によっては地中で17年も幼虫または蛹のままであると言う。
つまり、蝉の全生命において地上の蝉の時代は最後の最後なのである。
もう賢明でない諸兄でもおわかりのことと思う。
成虫である蝉はオスメス共に老人であり耳が遠いのである。
耳が遠いメスに求愛の声を届かせるために大きな声を出さざるを得ないのである。
地上の蝉は老いらくの恋を必死に謳歌しているのである。
「婆さんや!」とか怒鳴っているのだ。
年老いた蝉があれだけ元気なんだ。
想像したまえ、若い蝉の幼虫蛹たちが暗い地中でどんなすごい事をやっているのかを。
私だって若いころは暗いところで・・・・
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