第24話 という夢を……現実じゃないかッ!
気がつくとベッドに寝かされていた。
キョウカ先輩の胸を揉んでからの記憶がない。
マリンの提案に従って男を見せたが……。
いかがわしい間柄でなければ胸を揉むと殴られる。それで先輩との関係を証明した……はずだ。
すべて夢だったのだろうか?
ベッドから身を起こそうとしたところで、AIから通信が入る。
――ラスティ重症です! 不用意に首を動かさないでください――
【どういう意味だ?】
――キョウカ・ヒイラギに決定的な一撃をもらいました。頸椎損傷、それに脊髄にも異常が見られます――
【俺、何されたんだ!】
――タイミング、スピード、パワーすべてにおいて最適化された一撃を顎先にもらいました。即死級の一撃です。キョウカ・ヒイラギの手加減がなければ死んでいたでしょう――
【マジかッ!】
――大マジです。その証拠に神経伝達に障害が出ています。足の指先が動かないはず――
相棒がそんなことを言うものだから、動くかどうか試した。
膝から下が動かせない。予想以上の損傷らしい。
まさかここまの重症を負わされるとは……。先輩は佐官以上なので、部隊の指揮やデスクワークが主流のはず。前線で戦うことはまずないだろう。だから戦闘訓練もつづけていないと思っていたが……俺の考えが甘かった。
士官学校の頃よりも技はキレッキレだ。学生時代は引き分けだったけど、いまはもう先輩のほうが上なのでは?
そう思いつつ目だけを動かし部屋を見渡す。
俺の部屋だ。それに誰もいない。
何もできないので、ぼうっと考える。
キョウカ・ヒイラギ。連邦籍の人間だが、もとは帝国の貴族で連邦と帝国が手を結んだ際、融和政策の一環で連邦に移住してきたと聞いている。
なんでも有名な貴族の分家筋にあたる家柄で、一家は揃って優秀だったとか。
もとが帝国の貴族様なので、お家柄というかプライドが高く、曲がったことを嫌う。まあ、帝国によくいる庶民を馬鹿にするタイプではないので好感は持てるが、その鼻持ちならない態度から士官学校の訓練生とちょくちょく衝突していたのを覚えている。
悪い人じゃないんだけど、お堅い性格がなぁ。
冗談が通じないってのも考えものだ。
そういう欠点もあってか、成績優秀で人柄もいいのに士官学校では浮いていた。
親しい訓練生といえば、お付きのクチハ・ホオズキ訓練生か軟派なグッドマンくらいだ。あと、同じ道場に通っていた俺もかな?
ブラッドノアの生き残りと再会できたのだ。もしかするとグッドマンも無事かも知れない。
領地運営が波に乗ったら、仲間捜しの旅に出るのもいいな。
そのためにも、まずは足下を固めないと。開発を進めねばッ!
いろいろと考えているうちに眠くなり、その日はゆっくり休みを取った。
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