お仕置きです。*アンシェルちゃんのお仕事*

猫野 尻尾

第1話:名前は「アンシェル」

お仕事シリーズ。

「天外仙記・恋恋ちゃんのお仕事」の天使版です。


これといって劇的出来事も起きないいたって平和な日常。

毎日高校へ通って勉強もそこそこにゲームに時間を費やして・・・そんな毎日が

これからも続いていくもんだと僕は思っていた。


僕の名前は「飛鳥井 飛羽衣あすかい ひゅうい」高校二年生。

公共機関が不便なので僕は毎日、自転車で学校に通っている。


それは登校時のこと、いつものようにクリーニング屋の角を曲がった時だった。

空に一閃、眩しい光が走った。

僕はその光に目が眩んで驚きと一緒に自転車ごと転んで道路上にスライドした。


なにが起きたのか、分からないまま、光った空を見上げた。

そしたらそこに、キラキラ輝く光の中に人らしき姿が・・・。


その人は僕の真上に舞い降りて来るなり言った。


「大丈夫ですか?」

「ごめんなさい、驚かせて・・・誰もいないこと確かめたんですけど」


僕の目の前に現れた人・・・それはひとりの女の子だった。

見たところロリ系な感じの衣装を身にまとってキャピキャピ感満載だった。


空中から現れるような女の子って?

人間の女の子じゃないことくらいはバカでも分かる。

じゃ〜いったい誰?どこから現れたんだって、いろいろ思う訳で・・・、


「お怪我はありません?」


「ああ、ちょっと肘を擦りむいたくらいです」

「僕は大丈夫ですから・・・それより自転車が・・・」


見ると自転車のフロントタイヤがぐんにゃり曲がっていた。


「それ、私が直します」

「それより傷の手当てを・・・ちょっとごめんさない」


そう言うとその子は僕の肘に手をかざした。

すると、傷を負った肘が暖か〜くなったかと思うと、見る間に擦り傷が

治っていった。


ウソだろ?としか思えない光景。

まじで、この子誰?って疑問はますます大きくなる。


「その自転車っていうの、なんとかしなきゃですね」

「ちょっと待ってくださいね」


そう言うとその子は僕の自転車にちょこんって触れた。

そしたら自転車がチリのように粉末状になって空間に消えた。


「あ、僕の自転車」


すると再び空間から粉末状のものが現れて、それが形をなして自転車に

変わっていった。

新品の自転車だよ・・・フロントフォークが直ってた。


「ウソ〜・・・どうやって?・・なんで?」

「簡単、一度分子レベルまで分解して再構築すれば元に戻ります」


「科学的なことはよく分かんないけど、そんなことができるんだ」


「あの・・・まじで君誰?」


「私、天使です・・・権天使の「アンシェル」って言います」


「天使?・・・アンシェル?」


(アンシェルちゃんか・・・可愛い・・・めちゃ)


「天使って、まじで?・・・天使なんて・・・ヨーロッパの絵画かなんかで

した見たことないですけど・・・」


「訳あって、ある者たちを追ってここにやってきたんです」

「天界の不祥事にまつわることなので詳しくは言えません」


いいつまでも道路にへこ座ってる訳にはいかないので僕は立ち上がった。


「もう大丈夫ですか?・・・おひとりで帰れますか?」


「って言うか・・・もう遅刻だと思います」

「遅刻?・・・遅刻ってどこかへ行く途中だったんですか?」


「学校です・・・僕高校生なもんで・・・」


「それはごめんさい・・・私のせいで」


「いいですよ・・・まあ、皆勤でもないし・・・」


「今すぐに学校まで飛んだら間に合います?」


「え?飛んだらって?」


「今すぐに学校に到着したら遅刻にならないですか?」


「それはそうだけど・・・」


「じゃ〜私と一緒に飛びましょう」


「って言うか・・・こんなところで、こんなことしてていいんですか?」

「誰かを追って来てたんでしょ?」


「大丈夫です、もうその気配は消えていますから」

「さ、飛びますよ」


そう言うとアンシェルちゃんは、僕と自転車に触れた・・・一瞬だった。

そして気が付いたら学校の校門の前に来ていた。


「間に合いました?」


「うそ〜・・・え?飛ぶって、こう言うことだったんですか?」


「瞬間移動です・・・天使は空を飛ぶだけじゃないんですよ」

「で?遅刻・・・大丈夫?」


「はあ・・・大丈夫と思います・・・けど」


なんともキツネにつままれたような気分。

んなこと現実にあるわけ?


「それじゃ、お気をつけて・・・私、行きますね」

「さよなら・・・え〜と」


「僕、「飛鳥井 飛羽衣あすかい ひゅうい」」

「ひゅういです」


「ヒューイさんね」

「じゃ〜ね、さよなら、ヒューイさん・・・バイバイ」


そう言ってアンシエルちゃんは僕に手を振るとその場から消えた。


僕とアンシェルちゃんはたまたま偶然出会った。

もっと時間があったらアンシェルちゃんと深〜く知り会いたかった。

あまりにあっと言う間のフシギ〜な出来事。


誰かを追って来たって言ってたよな。

なにかとっても、大それた事件を追いかけてる雰囲気な気がする。

知りたい聞いてみたい・・・その理由。


もうアンシェルちゃんとは二度と会えないのかな?


とぅ〜び〜こん乳。




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