人外が出た!(仮)

熱々の白米と筋子

一章

第1話 早起きは難しい

 全身を覆う気怠さと瞼越しの朝日が辛い。


『…よし、二度寝』


 早起きは三文の徳だろって?具体的なメリットが無ければ人は大体動かないのだ。


 でも、何か違和感が…?


 あぁ、枕がやけに低いな。ズレて落ちたのか。


 俺は寝相が悪いからよくあることだ。そう思い目を開けず腕を周りに伸ばすと——


『えっ草?』


 指先から伝わるこの感触、間違いなく植物!


 いやなんで俺の部屋に草がある。流石に眠気では無視出来ない案件発生したので目を開けると


『おいおい…』


 視界を埋めたのは自分の背を2倍にしても届かぬであろう木々。つまり森。


『おいおい…!』


 そして何より身につける服が昨日と全くの別物。というか体もこんなに細くない。


『ははっ…!これは夢かな?』


 だとしたらお願いだ覚めないでくれ。そんな思いを初詣以外信じたこともない神様に願う。


『異世界、転生!』


 聞いてたのと若干の違いはあるがこのシチュエーションはそうとしか思えない。出来れば目覚めはベッドの上が良かった。起き上がったら地面で寝てたせいか体が上手く動かないのだ。


『体もそうだが口もなんだか感覚が無いな』


 口は動かないのに話をしている感覚だけがある。これはあれか?神様が操作をミスって異常が起こってるみたいな。転生ものの作品だと神様がうっかりミスをするのは良くあることだしな。その場合こっちからは何も出来ないので気付いてもらえる事を祈るだけだ。


 『体も動くようになってきたし、そろそろ散策の時間とするかな!』


 まずは人を、って言いたいけど言語が通じなかったら怖いので最初は食料とか水を見つけたい。


 先程まであった眠気は転生によって吹っ飛び、視界は良好、気分はハイテンション。これから自分はどうなって行くのだろう、そんな不安もあるがそれを上回る期待に胸を弾ませ俺は歩き出した。

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