第7話『森の薬屋』
前回 ダラトナという街にたどり着いた傑たち。
おばちゃんを探しに行くと言い出した傑の考えとはいったい?
傑達の活躍をぜひご照覧あれ
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傑「うぉお!適当に道歩いてればおばちゃんの1人や2人くらい見つかんだろぉ!」
現在俺は街の中を全力で疾走している最中である。周りを観察しながら街のいたる所を駆け巡っている。
傑「あぁっ!辺り1面美男美女だらけじゃねぇか!おばちゃんどこにいるんだよ!」
この世界は顔面偏差値が高く、見ているだけでイライラしてくる。
シズク「ち、ちょっと待ってよ。そもそもなんでおばちゃんを探すことになったのさ!」
傑「あのな〜おばちゃんってのはだいたい独自のネットワークを構築してて、いい情報を持ってるもんなの!」
シズク「いや、おばちゃんに何を求めてるの!?」
傑「おばちゃん舐めんなよ!噂好きが多いんだから話を聞けばこの街のことだいたい分かんだろうが!」
まったく。この程度も把握してないとは。
スライムの面汚しめ!
イフ『……まぁ、よくわかんないけど情報収集する分にはいいんじゃない?』
そんなこんなで街を様子を確認しつつ歩いていると1軒の店に目が惹かれた。
傑「……おっ?これ何の店だ?【森の薬屋】?……っていうか廃墟見てぇな外観だな。」
森の薬屋と看板に書いてあるその店は外から見てもヤバいとわかるくらい植物に壁を侵食されてる廃墟みたいな店だった。なんか俺の直感はここに入れと囁いている。
傑「よし。ここに決めた!」
シズク「……え?もしかして入ろうとしてる?」
傑「もちろん!」
1回興味を持ったら後に後にと引き伸ばさずに即行動すべし!これが俺のモットーだ!
まぁ……夏休みの宿題はギリギリまでやらないタイプなんですけどね!
シズク「おばちゃんを探すのはどうするの?」
傑「ワンチャンこの店の中いるかもだろ?まぁ、中にいるのはグレードアップしておばあちゃんになる可能性もあるけど」
おばあちゃんなら昔からこの街にいる可能性が高いから色んな情報を持ってるかもしれない。つまりどちらにせよ問題ないというわけだ。
傑「そもそも薬屋って名前からして、この店には優しいおばあちゃんがポーションを作ってると見たね!」
きっとそうに違いない!
そう思った俺は勢いよく店の扉を開けた。
傑「お邪魔しまーす!!」
シーン……
店の中に俺の声が響き渡ったが返事が返ってくる様子はなかった。
イフ『う〜ん。留守かな?』
傑「えぇ〜?タイミング悪ぅ。」
イフ『まぁそんなに落ち込まずに、せっかくなら商品見ていったら?時間はあるし』
俺はイフの言葉に従い、店の棚に置かれている商品を眺めていった。
謎の青い液体が封入されている瓶やら包帯などの物品が目に入った。
傑「ほむほむ。なるほどこの液体は俗に言う【ポーション】ってやつかね。」
イフ『そうだね。多分そこら辺にある魔力が込められた薬草をすり潰して抽出したやつかな。ここでイフ先生がポーションの効果について説明してあげよう』
【ポーションの解説】
・アイテム名:ポーション
・色にによって効能が変化する。
『青』は魔力を回復。
『赤』は怪我を回復。
『緑』は状態異常を回復。
・基本的には飲むのが正しいが、自分の体にかけることによっても効果がある。
・魔力がこもっている薬草をすり潰したり、凝縮したりして抽出することによって完成。
イフ『だいたい分かったかな?』
傑「分かりやすい説明サンキュ〜♪
俺が買うなら青かな。今金ねぇけど。」
そう言いつつ店の奥を物色している時だった
シズク「……ん?なんかそこ転がってない?でかい布みたいなの。」
傑「布?……ん〜?」
俺が暗い床を見ると同じ色で同化していた布……もといデカイ茶色のローブを羽織った人が倒れていた。
傑「うわぁああ!!?人が死んでる!?と、とりあえず……黙祷」
イフ『まさか死体を見てしまうとはね。黙祷』
俺たちはその死体に対して冥福を祈り、黙祷をした。
そして見なかったことにして俺らがその場から離れようとした時だった
?「う〜ん……誰……だ?」
傑「ほあっ!?」
死体だと思っていた人が急に起き上がり、こちらを見つめてきた。
?「ふあぁぁ……眠い……」
傑「あ、あの〜、大丈夫ですか?」
?「……ん?……客か……大丈夫……眠すぎて気絶してただけだから、気にせんでいい……よいしょっと」
何だこの子?恐らく声から察して大きさと声から察して小学生くらいの女の子だと思ったが、妙に喋り方がジジイっぽい。
俺がそんなことを思っているとその少女は店のカウンターの所に立ち、商売の準備を始めた。
?「いらっしゃい!ここはこの街一番のポーションが売ってる【森の薬屋】じゃ。いっぱい買って、この店に金を落として行くがよい。」
シズク「……なんかめっちゃ違和感ある喋り方だね。」
イフ『確かにね。妙に年寄りっぽい。』
俺は違和感を感じつつもその女の子に話しかける。
傑「あの〜すいません。商品を買う予定はなくてですね。」
?「なんじゃと?冷やかしか……なら帰った帰った。こっちはこれから忙しいんだ。」
傑「その割には人がいないような。」
俺は店を見渡したが俺たち以外に人はいない様子だった。
?「そりゃまだ冒険者どもが仕事する時間でもないからの。昼くらいからぎょうさん来るわい。」
傑「なるほど。でもまだ昼まで時間ありますし、良かったら俺とお話しましょ。」
めちゃくちゃダルそうな顔を浮かべてたが一応話は聞いてくれそうな感じはする。
?「はぁ……まぁ、儂も暇じゃったしいいじゃろう。まずはお前さんから自己紹介せんかい。」
傑「あ〜俺の名前は如月傑です。コイツはシズクって名前のスライムです。」
ルピス「ふむ……キサラギ・スグル。変わった名前じゃの。しかもテイマーとは珍しいの。
儂の名前は【ルピス・ヴィラル】。気軽にルピスとでも呼ぶがいい。あとこの見た目だからって女の子扱いするでないぞ。よく勘違いされるが儂は男じゃからの。今年で500歳以上のな」
……ん?……あ?……どゆこと?
混乱が混乱を呼んでるぞ?
傑「……ど、どういうこっちゃ?」
混乱してる俺を見て面白そうに笑いながらルピスが説明を始めた。
ルピス「ふふっ♪まぁ、この見た目じゃから女と間違うのも無理ないじゃろう。」
ローブをとったルピスの容姿は幼いピチピチの白い肌に身長は140cmくらいの小柄体系。
肩までかかる金髪のロングヘアーに赤色の目が映える感じの女の子だった。
服装は白色の服に茶色のハーフパンツって感じ。
傑「いや、女の子じゃねぇの?女の子にしか見えんのだが?」
ルピス「詳しく説明するのはめんどくさいのでな。簡単に説明すると、儂は昔結構すごい魔術師での。周りからチヤホヤされてたんじゃが、ちょっと前に大事件を起こしてしまい、国から追われる羽目に……逃亡するために性別やら色々自分の身体を変えてこうなったってわけじゃ。」
傑「ほへぇ〜。魔法ってそんなことも出来んだね。」
つまりTSロリジジイってこと?属性盛りすぎよ。
傑「ってかそれ俺に話してよかったの?俺がその国から追っ手とか考えなかったの?」
ルピス「お前さんのような雑魚を儂の所に送ってくるほどあの国も馬鹿じゃないじゃろ!そもそもお前さんからは悪意的なものは感じなかったからの。もしお前さんが追っ手だったとしてもまた逃げればいいだけじゃしの。」
なんやかんやで信用はされて貰えたっぽい。でも雑魚だからって信用のされ方は傷つくんだけどな!
傑「まぁだいたい理解した。それでルビスさん。それを知った上で頼みがあってさ。」
ルピス「頼み?なんじゃ?めんどくさいのは嫌じゃぞ。」
傑「まぁそんなにめんどくさくないから。俺は最近この街に来た新参でさ。情報が欲しいわけよ。色々この街のこと教えてちょ。」
ルピス「……うーむ。まぁいいじゃろう。だが、タダではやらん。金が集まり次第この店の物を買いに来ること。それが条件じゃ。」
傑「金の亡者がよぉ……まぁ、それくらいなら良いか。じゃあ早速色々教えて貰うぜ。」
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《1時間後》
ルピス「……って感じじゃ。だいたい分かったかの?」
傑「だいたい理解したぜ!ありがとうな!」
やっぱり年寄りは情報色々持ってるもんだな!いい情報いっぱいだったぜ!
シズク「……でもさすがに1時間は長すぎだよ。」
シズクはあまりも暇だったため、ぐでーんと体が溶けている。1時間程度でへばるとか現代日本じゃ呆れられるぞ!
イフ『学校とかだともっと長いから私たちは耐性あるけどスライムはそういうの無さそうだもんね。』
シズク「もうどうでもいいから早く別の場所行こ!」
シズクが俺の腕で暴れて急かしてくるので早いとこ店から出ることにした。
ルピス「もう行くのか?」
傑「あぁ。だいたい欲しい情報は貰えたしな。金たまったらまた来るからよろしく!」
ルピス「ふふっ、またのご来店待っとるぞ。」
俺はルピスに挨拶してから店のドアに手をかけた。
傑「よーし。退店!」
イフ『で、次はどこ行くの?』
傑「今なんも食べてないからむちゃくちゃ腹減ってるし、飯食いにギルドに行くか!」
傑達は空腹を感じながらこの街で最も目立っているデカイ建物【ギルド】を目指して歩き出すのであった。果たしてギルドで傑はどんな経験をするのだろうか。傑は【冒険者】になるのか。
次回へ続く
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