棒立ち人間

那須茄子

棒立ち人間

 私は駅のホームに立っていた。電車はまだ来ていない。


 時計を見る。

 遅れているのかもしれない。

 

 でも、私は待つしかない。

 

 待つことは私の日常だから。




 ホームの端に立って、人々が行き交うのを見ていると。

 彼らは皆急いでいるようだった。

 仕事、学校、家族のことがあるんだろうか。


 私はただ立っている。

 何も急ぐことはない。


 ただ、待つだけ。



 

 風が吹いてくる。

 髪が揺れ、遠くに電車の音が聞こえる。


 でも、まだ来ていない。


 私は待つしかない。

 待つことは私の日常だから。




 電車が来た。

 私は乗り込み、座席に座る。


 でも、私はまだ待っている。

 次の駅まで、そして、次の駅からも。


 私はただ待つだけ。



 電車は進んでいく。

 景色が変わる。


 それでも、私はまだ待っている。


 待っている。


 



 終わりのない終わりを、待っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

棒立ち人間 那須茄子 @gggggggggg900

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ