掌編集

燈夜(燈耶)

第一話 風変わりの家庭教師

俺がその仕事にありついたのは、お袋の一言だった。


「圭ちゃん。加藤さんの子供たちの勉強を見てあげる気はない?」


うん。

ピンと来たね。

家庭教師の誘いだ。


なぜすぐにそこに思いついたかって?

なぁに、俺が二社ほど掛け持ちで家庭教師のバイトをしていたからさ。

俺はとっさに自分のスケジュールを確認すると、二つ返事でお袋に返事を返した。


「ええと、倍額貰って、教材費は相手持ちで」


うん、そんな条件を出すも、無理かなと思っていたが、お袋はあっさりと省略する。


俺の気分は爆上がり。


そうとも。


例えあの、お袋相手といえど、幾らと吹っ掛けてこそ、自分を高く売ってこその商売なのだから。


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