第24話 現行犯! 逮捕よ逮捕!!
"おい! 配信止めるんじゃねえよ!!"
"せっかくいいところだったのに……許せねえわ!"
"ここからが本番だろjkwwww"
"なんだこいつ!?"
"いきなり現れて偉そうにしやがって!!"
"ユヅキちゃんに触れるな!"
"これは事案ですかねぇ?"
"↑ロリ×ロリだから百合だろ"
"いや片方はおじだろ……"
突然の乱入者にコメント欄は大荒れだ。当事者の俺も何が起きているのか理解が追いつかない。
世界治安維持機関? ダンジョン破壊容疑?何を言っているんだコイツは……? 俺はただ、いつも通りに配信をしていただけなのに……。いや、いつも通りではないか……。
「ちょっっっっと何言ってるかわかんないんだけど……。なんだよ、ダンジョン破壊容疑って……」
「そのままの意味よ。あなたはダンジョンを破壊して人々を危険に晒した。だから収容させてもらう」
「待て待て! 俺はなにもしていないんだ! あれは全部タコが……」
「タコ? 何わけのわからないことを……。さあ、早く来なさい」
有無を言わさぬ口調でそう言うと、彼女は強引に俺の腕を引っ張ってそのまま出口へと連れて行こうとする。だが、もちろん大人しく従う訳がない。
「だから俺は何もしてないって!」
ピンクロリの手を振り払って俺は抗議した。しかし、力を入れすぎてしまったのか、手だけでなくピンクロリ本体がふわりと宙を舞い、ピュンッ!と飛んでいってしまった。
「きゃあっ!?」
可愛らしい悲鳴と共にピンクロリはゴロゴロと床を転がっていき、そのまま壁にぶつかるとようやく停止した。俺は慌てて彼女の方へと駆け寄り声をかける。
「だ、大丈夫か?」
「う、うぅ……」
うつ伏せになったまま動かないピンクロリに恐る恐る手を差し伸べる。しかし、彼女は俺の手を払いのけて、ゆっくりと顔を上げ俺を見つめた。
その瞳は涙で潤んでおり、頰も赤く染まっていることから、かなり痛かったことがわかる。
「わ、悪い! そんな強く振ったつもりはなかったんだ……」
俺は慌てて謝罪すると彼女を起こそうとした。しかし……。
「…………よ」
「へ?」
「公務執行妨害よ! このダンジョン破壊犯!!」
大声でそう叫ぶと、ピンクロリは俺とは正反対の方へと跳ね除けるように飛び起きる。
「はぁ!? 冤罪ふっかけておいてそれはないんじゃないか!?」
俺は抗議するが、ピンクロリは全く聞く耳を持たずに怒りを露わにして俺を睨みつけてくる。先ほどまでの事務的な態度とは打って変わって、感情爆発状態といった様子だ。
「なによなによ! なによ!!! 私が穏便に済ませようとしてるのに……これだから犯罪者はっ!!」
「いやだから俺はなにも……」
「言い訳なら牢屋の中でボソボソ呟いてなさい! 公務執行妨害の現行犯だから言い逃れはできないわよ!」
「そりゃ悪かったけど、元はと言えばお前が……」
「うるさいうるさい! アンタなんてさっさと収容してやるんだから!!」
そう叫ぶと、彼女は懐からお札とお祓い棒を取り出し、それを掲げて俺に向かって叫ぶ。
「対象の抵抗を確認! 神宮寺祈里、これより戦闘を開始する!」
"おぉ、なんかバトルっぽい展開キタァァア!!"
"おもしろくなってきたぞwwww"
"ユヅキちゃん頑張れぇえ!!"
「ちょっと待ってくれ! 俺は本当に何も……」
しかし俺の言葉は無視され、ピンクロリ改めサトリはお札を俺目掛けて投げつけてきた。
「符焼術————
次の瞬間、お札は眩いばかりの炎に包まれ、蛇のようにうねり襲いかかってくる。そして目の前まで迫ってきたところで突然、凄まじい轟音と共に俺は吹き飛ばされた。
「うわぁっ!?」
勢いよく壁に激突し、そのまま床に倒れ伏す俺。幸いにも怪我はないが……顔を上げると、目を疑う光景に広がっていた。
大きな火柱をあげながら燃え盛る炎。バチバチと音を立てて空間を灼くそれに、先ほどまで色とりどりの下着で溢れていたフロアは焦土と化していた。
「きゃー! 私の可愛いランジェリーちゃんたちがぁ!」
「し、師匠! アイツやばいですよ! 極悪犯罪者です!」
「そっちが犯罪者でしょ! この犯罪者!」
"ロリは強い。当たり前なんだよなぁ! "
"服燃えて全裸になれ!"
"やべーwwww"
どうやらコイツは結構ヤバいらしい。ロリっ娘だからと甘く見ていたが、これは相当な手練れのようだ。
背丈は俺にすら及ばない上に、童顔でピンクのツーサイドアップ。幼児体型で巫女装束のような衣装も相まって全体的に無害な雰囲気を醸し出しているのだが……先ほどの暴れっぷりを見るにそうではないらしい。
「しょうがない……こっちも実力行使と行くか……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます