黒に染まる。

岩橋藍璃

黒に染まる。

 私は今日、ピンクの髪を黒に染める。

 専門学校に入学して、すぐに髪をピンクに染めた。周りの子たちも、赤や青、オレンジに髪を染めていて、私も自分の色が欲しかった。一緒に髪を染めた子たちは、今もその髪色のままだ。だけど、私は今日ピンクの髪を黒に染める。

 専門学校の日々は楽しかった。自分の好きなことをして、好きな友達に囲まれて、私が私らしくいれた時間だった。でも、私は才能も努力も足りなかった。自分の好きなことを好きなだけ学べる環境にいても、私の技術は伸びなかった。周りの子達が眩しかった。派手な髪はいつもツヤツヤで、何をしているときも楽しそうだった。私はどこか、そうなりきれなかった。ピンクの髪は好きだったけど、私にはどうも似合っていないように見えて、顔はいつもくすんで見えた。それでもピンクの髪をやめなかったのは、この色が好きだったから、これが私の色だと信じてやまなかったからだ。

 でも、それも今日で終わりにしなければならない。ピンクの髪を黒に染めて、真っ黒なスーツに身をつつむ。これが社会の色なのだ。

 

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黒に染まる。 岩橋藍璃 @Iwahashi_Airi

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