暴食のベルゼルガー 〜彼は見た目厳ついけどいい奴なんです〜

@kikuhitohira

第1話 ???狩り配信中

 「では、まずは自己紹介から始めていきます。俺の名前は鬼咲 狂也おにさき きょうや、年齢は23で・・・職業がってやつになります。」


 D−TUBEと言われるダンジョン探索に関するコンテンツを自動追尾機能が付いた専用のカメラからネットに生放送を始めながら・・・俺、鬼咲 狂也おにさき きょうや背後にあるダンジョンに突入した。


 「今、俺が突入しているダンジョンは【富士山頂のダンジョン】です。チラッと周りの景色も見えたと思いますけど、良い眺めなんですが残念ながら麓で〝日本探索者証〟を見せてからじゃないと正道では入れません。後、〝探索者ランク〟がA以上じゃないとダンジョンの中に入る事は無理です。」


 俺が今から入るダンジョンは日本でもと言われるダンジョンで、俺にとってはホームと言ってもいいダンジョンだ。


 「今回もを大量ゲットして誰かに調理をしてもらうか、若しくは自前でタレを用意して配信しながら焼き肉パーティーをしようと思っています」


 〝一人(乱入者有り)焼き肉パーティー(笑)〟

 〝一人で終わった事が無い定期〟

 〝また彼女に愛妻弁当でも作って貰うのか?オォン?〟

 〝愛妻弁当は置いておいて龍肉弁当は食べてみたい〟

 〝尚、価格はコチラとなっています(⁠☞゚⁠∀゚⁠)⁠☞〜URL〜〟

 〝一般人フリーターの俺氏高額過ぎて買えず無事タヒる〟

 〝↑強く生きて、生きていればきっといつか食べれますよ〟

 〝僕は今食べたいでござる!?〟


 「今日も面白いコメントが溢れてますね!こういった交流も配信の醍醐味だと思いますが、不快になるコメントは控えて皆で楽しめる心配りをお願いします。俺もお肉を狩りますので・・・」


 「ブモォ〜!!」


 本日の探索の目的と配信の概要を話ながら進んでいると通路の角からミノタウロスが現れた。


 「フム・・・ミノタウロスエンペラーですね。ミノタウロス系統は基本的にどれもお肉が美味なので出会ったら1択ですね。別の機会にすき焼きにチャレンジするのも有りな気がします。・・・じゅるり」


 〝イケメンゴリマッチョのじゅるりを頂きました!?〟

 〝ミノちゃん超逃げて!?〟

 〝もう手遅れでワロス〟

 〝捕食者からは逃れられない・・・〟

 〝・・・持って帰ってくるならなるべく綺麗な状態で、血抜きも゙しっかりしてね?〟

 〝誰も狂也の心配してなくてワロス〟

 〝↑日本唯一のSランクにして文字通り世界最強で、全世界の軍事力を束ねても勝てないと言われている男にそんな心配するやついないんだなぁ〟

 〝おい、地上で本気ムーブ(全力疾走等)を行うと地球が壊れる可能性がある男だと言う事を伝え忘れているぞ〟

 〝何それ、冗談でももうちょっとまともなのにしろよ?〟

 〝やぁ、初見さん。いらっしゃい〟

 〝【】のチャンネルへようこそ、新入り・・・とりあえず、君は人生を後悔する前にアーカイブを見直す事をおすすめしておくよ〟

 〝?アーカイブ見ないと後悔するとか何でだ??〟

 〝見れば解る〟

 〝更に言えば見ないと後悔する可能性が高い〟

 〝??まぁ、そんなに言うなら2窓しながら見てみるが・・・〟

 〝・・・そう、それでいい〟

 〝これが俺たち古参がやるべき事だからな〟

 〝今日もこのチャンネルの古参は親切だなぁ〟

 〝あっ!?嫁ちゃんのコメント読んで得物取り出したわ〟

 〝・・・南無〟


 俺は流れるコメント中に同棲中の専属コック兼彼女のコメントを読んでダンジョンで使っている武器を虚空から取り出す。


 「戦神器せんしんぎ・・・出てこい、超破壊者ワールド・デストロイヤー


 取り出した得物は大斧、それも大戦斧と言えるくらいデカイ斧で柄の長さだけでも2メートルある俺の身長と同じくらいで斧頭の大きさも片刃ながら俺の上半身よりも余裕でデカイ。


 「ブモォ〜・・・ブゥルルル!!!」


 〝相変わらずのデカさ〟

 〝ミノさん第一球振りかぶった!!〟

 〝球じゃなくて向こうも斧や〟

 〝いや、命と書いてタマかもしれない〟

 〝せめて爆散しないことを祈ろう〟


 俺はミノタウロスが渾身の力で振り下ろしてきた斧を、


 パシッ!?「・・・ブモ!?」


 片手で受け止めた。


 「はっはっはっ、牛さんには悪いが美味そうなんでね」


 俺はでミノタウロスの斧をキャッチしたまま、


 「・・・肉、置いてけや」


 の力で気合を入れながらミノタウロスの首を狙って自分の大斧ワールド・デストロイヤーを振るった。


 「ブぅるゥあぁァァァァァ!!!!」


 ゾン!!!?


 そんな音を響かせた後、ミノタウロスの首は


 「・・・力加減に失敗しましたが、無事牛肉を手に入れる事が出来たので良しとしましょう。それでは早速第一階層のボス部屋に突撃したいと思います」


 〝・・・少々?(首消失)〟

 〝爆散どころかロスト〟

 〝拳で仕留めたら多分爆散はしたかもしれないけど首は残ったと予想〟

 〝・・・勿体無い、ミノタウロスの頭はいい出汁が採れるのに・・・〟

 〝( ゚д゚)ポカーン〟

 〝おう、初見・・・早く再起動しないと面白い所を見逃しちまうぜ?〟

 〝いや、無理だろ〟

 〝むしろよく画面見てるな、俺はそのまま寝ちまったぜ〟

 〝↑それは勿体無い〟


 コメントで色々と言われているが、俺はそれらを見て見ぬふりをして、このダンジョンの説明を改めてする。


 「このダンジョンは世界でも数か所しかない最高難易度のダンジョンで日本に3つしかないSランクダンジョンです。ダンジョンのランクはFからA、そしてそれ以上を表すSの7段階の難易度で分けられています」


 俺は未だに世の中にはあまり浸透していないを説明していく。


 「そして、入る条件は探索者の強さで入れるダンジョンは決まります。簡単に言うとCランクの探索者はCランクのダンジョンまでしか入れません」


 〝まぁ、この辺りはネットを調べればすぐに出てくるな〟

 〝まぁ常識だよな〟


 コメントの反応を見ながら俺は説明を続ける。


 「それではどのようにしてその強さを測るのか?それについてはスキルがあれば簡単に可能になります」


 俺は変わらず進みながらモンスターを軽く蹴散らしながら説明を続ける。


 「そのスキル名は・・・主にダンジョンで斥候職を担っている人や研究職や商人系の職業をしている人によく見られるスキルです」


 実際な話、人や物をよく調べたりする人程発現しやすいスキルのようだ。


 「そして、どうすれば自分がそういったスキルを持っているかを確認出来るのか?その方法は複数ありますが、一番簡単なのは自分で〝ステータスパネル〟を確認する事です」


 ダンジョンは暦が4桁に入る前から存在を確認されていたと歴史家等から言われていて、ダンジョンを探索出来るを持つ者の事を英雄視してきたという説が世界的に有力である。


 「〝〟、又の名を〝〟に目覚めた者は例外なく自分の能力値を確認する事が出来ます。その時出てくるモノが〝ステータスパネル〟と呼ばれるモノで、自分見れないモノとなっています」


 このステータスパネルは自分の身体等を意識すると簡単出す事が出来る。


 但し、目覚めたばかりだと他の一般人とほとんど同じな為、全く気付いていない一般人もいる事を世間では予想されている。


 日本では軍隊を持たない為、これらの適性を調べる事は任意となっていて、ロシア等は徴兵義務なんかがあるため中学生くらいの年齢で国が一回調べるようにしているようだ。


 また、アメリカも国軍を持つので国が無料で調べたりもしているようだ。・・・因みに日本は何故かです。


 〝今回の配信は復習配信か〟

 〝恐らく定期的にやって新規リスナーを引き込もうという恐ろしい配信〟

 〝このダンジョン配信系の界隈もかなり賑やかだからな・・・推しを見つけるとついつい金を、な・・・〟

 〝↑分かる(笑)〟

 〝↑おま、おれ〟


 「さて、こちらがこのダンジョンの一番最初のボス部屋となっています。ボス部屋にも種類があってこのように密閉された個室のような場所もあれば、降りたら既に森や海等のフィールドに入ってしまうパターンがあります。後は少ないですが転移装置等があって移動するパターンもありますが、もしこのパターンを見つけた場合引き返す事を推奨します。理由は俺の経験上だとほぼ確実に異常個体イレギュラーが出現しています」


 そう言いながら俺は特に警戒もせずに普通にボス部屋の内部に侵入する。

 中はまるでドーム球場の広さがある空間だった。


 〝いや、自分の家か!?〟

 〝まぁ、実家並みの安心感はある〟

 〝よく訓練された手下はこの程度では動じない〟

 〝寧ろ、画面越しとはいえ龍種の迫力に耐えるまである〟

 〝(注意)この配信には恐怖を覚える映像が多々あります。心臓等が弱い方は視聴をお控え下さい〟

 〝恐怖(ドラゴンの迫力)〟

 〝恐怖(魔神様のキラースマイル)〟

 〝恐怖(魔神様の本気ムーブ)

 〝ファンから魔神様呼ばわりされてるのに草〟

 〝または荒神様と呼ばせて頂いてます〟

 〝(¥10000円)どうかこれでお鎮まり下さい、お願いしますお願いしますお願いします〟

 〝↑足りねぇなぁ・・・後50000円を2回スパチャしろや!?(¥50000円)〟

 〝て、お前がすんのかい!?(¥30000円)〟


 「お?スパチャ来てんじゃん、ありがとうな!!お前らのスパチャに応える為にちょっと荒鷹のおっちゃん・・・じゃなくて、荒鷹総理大臣と色々と企ててるからもうちょっと待ってな」


 などと俺は専用カメラから送られてきて、各コメントが映ってる専用のモノクルを見ながらそう伝えると、コメントは再び盛り上がり始めた。


 〝荒鷹のおっちゃんwww〟

 〝一応、この国のトップですが?〟

 〝世界をぶっ壊せる化物と自国のトップが仲良いと安心感が違うな〟

 〝この間、不法侵入しようとしたお隣の間者共を蹴散らしたという噂が上がっているな〟

 〝情報通まで参戦してきた(笑)〟


 盛り上がっているコメントを見ていると、まるでドーム球場のような広さがある空間の中心地でが集まる。


 〝来るぞお前等!!気をしっかり持てよ!!〟

 〝心臓が弱い方は今すぐに視聴をお辞め下さい!!〟

 〝リアルで病院搬送されたリスナーがいるからな!!無理だと思ったならすぐに画面を閉じろ!!〟

 〝正に良心的な迫真のコメント〟

 〝これが後に経験者は語ると呼ばれる現象である〟


 古参のリスナーや恐らく国の役人辺りが初見の連中に警告を発しているが、俺はそんな事はしない。


 「この配信を始めた理由をこの場で答えてやろう!!俺が配信を始めたのは世の中の金とか権力しか持ってねぇ馬鹿があまりにも多すぎるから!!好き勝手するのを抑制する為だ!!俺の知人友人に無理矢理手を出そうとした時期も、各国の偉い方々にをやった後でも変な馬鹿が出なくするようにな!!」


 そして、俺は超破壊者ワールド・デストロイヤーを最縮小して腰のポーチにしまう。


 「さぁ!!ここからはヴァイオレンスなお時間だ!!良い子は見ない事をオススメするぜ?」


 〝えっと・・・この人武器をしまっちゃったんですが?〟

 〝(注)この配信には暴力シーンが多々含まれております。苦手な方はご注意下さい。〟

 〝所々で入る定型文よ(笑)〟


 グッと硬く拳骨を作り、俺が駆け出すと同時にイレギュラーの姿が漸くお目見得となったが・・・


 「うぅぅるあぁぁぁぁぁ!!!!」


 黒い炎を吐く龍の左頬に俺の渾身の右拳が突き刺さった。


 下位龍のイレギュラー異常個体となれば下手すると上位龍と同等の力を持つ事になり、その脅威度は世界半壊級の脅威と識別されている。


 過去に他国がダンジョンスタンピードという現象を起こしてしまい、その時の被害でその国は隣国と合併するしかなかったという出来事もあった。


 勿論、人的被害も非常に深刻でその合併した国もかなりの負担を強いられたと近代史の記録にも残っている。


 の左頬に俺は脳筋極まりない右ストレートを容赦無く炸裂させた。


 「ギュアァァァァァァ!!?」


 体勢を崩されながらも大きく後方に吹き飛ばされている中でも、仮称イレギュラードラゴンは俺に闘志を向ける。


 だが、その時には既に俺は左拳を握り締めて撃ち出す寸前だった。


 【ドォオォォォォン!!!?】


 そんな爆音が空間を響き渡り、次の瞬間にはイレギュラードラゴンの身体が壁にめり込む。


 そんな状態でもイレギュラードラゴンはせめてもの反撃とばかりに黒炎のブレスをレーザーのように放つが・・・


 「ぬぅぅりやぁぁぁぁぁぁ!!」


 俺はサイ◯クラッシャーのような姿勢でブレスに突貫して弾き飛ばしながら、ドラゴンの心臓目掛けて


 「絶望のデッドリークラッシャー!!」


 【ズゥ、ドォオォォォォン!!!?】


 イレギュラードラゴンの断末魔さえも掻き消す轟音を轟かせて俺はあっさりとイレギュラードラゴンを討伐した。

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