監視カメラ映像A

監視カメラに白髪の男性と藍色の髪の女性と銀髪の男性が写っていた。


「時雨、ただいま戻りました」

「何が『戻りました』だ。指示に従わないなど言語道断! ふざけるのも大概にしろ!」


女性が叫んだ。


「すみません。でも子供がロボット機兵に殺されそうになっていたんで……」

「はあ……。で、助けられたのか?」

「ええ、勿論」

「……しょうがない。今日は見逃してやろう。次からは気をつけるように」

「ありがとうございます」

「いいか、だけだからな。次はないと思え」

「はっ。寛大な御心に感謝致します」

「して、報告は」

「先の連絡通り、超音波式解析をしましたが、何も見つからず、その後サーモグラフィーゴーグル装着による上空からの探索も兵器らしきものは確認できませんでした」

「了解した」

「では、報告も済んだことだし、今からその子のお見舞いに行ってきますね。失礼します!」


と一目散に駆け出した。


「な、ちょ、ちょっと待て! おい、行くな!」

「………行ってしまわれましたね」

「あ゛あ゛ー、もうっ!!」



ーーーー(映像にノイズがはしる)ーーーー






ーーー別の日ーーー


「記憶喪失で、生体情報が読み取れないだと!?」

「そうですよ」

「はぁーっ。どういう事なんだ。生体情報が読み取れないのなら出生届が出されてない、つまり無戸籍児。怪しいな」

「ですので、既に警戒対象として扱う様手配しました」

「記憶喪失に関しては?」

「医者曰く心的外傷だと。……あの現場を見れば当然と言えば当然ですが」

「記憶喪失で出身地もわからないらしいが、もしかしたら先日陥落した八王子周辺地区の生き残りかもしれんな。調べてみよう。陽炎かげろう


誰かを呼んだ。


「ここに……」


司令の後ろの物陰から静かにぬうっと男が出てきた。


「八王子地区の無戸籍児だ」

「はっ……」


返事をすると再び影に消えてしまった。


「リシアは報告書を作成しろ」


うえーという顔をした後


「はっ」


と渋々といった感じでリシアも司令室を後にする。


「……全く。この前のエネルギー事件といい最近おかしいな」


そこで考える。


(もしかして、なにか大きく動く前兆か? もしそうなら良い方に動くと良いが……)


憂う司令を、カメラが写していた。


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