あの場面の裏側で 〜完璧副司令は問題児!?〜

先日、本部通信士に新たに配属された私が見たほんとにあった出来事です。


私のコンピュータが今までにないほどの高レベルのエネルギーが発生したことを告げます。


「司令!強大なエネルギー波をキャッチ!」

「場所は!」


そう問われすぐに特定します。


「現在戦闘が行われているN-7地区中央より東の丘上空」

「くっ、新しい敵の攻撃か。今すぐ現場に急行出来る者は」

「いません! 現在出撃中の全戦闘部隊会敵中です!」


そう答えます。

…大変よろしくない状況です。このエネルギー量、もしかしたら司令の言う通りに新たな敵の攻撃かもしれません。

確認したいのに戦闘部隊は戦闘中ですし、基地に待機中の部隊に伝えても編成に少し時間がかかるかもしれません。団体だし。


「あ、なら俺行きますよ」


そう声を上げた人がいます。

それは時雨 リシアしぐれ リシア副司令でした。リシア副司令は戦闘において類稀なる才を持ち、知略にも長けている御方です。

また、親切でありその甘いマスクも相まって、男女問わず彼を慕っている人は多いです。1部では神格化されているとか……。

しかし彼は偶に問題行動を起こすと聞いたとこがあります。

ところで彼には仕事があったはず。


「何を言っている!貴様には他に仕事が……」


やっぱり……。

彼は今回は戦略を担当していますが他にも優秀な担当は何人かいるので自分は不必要だと判断したのでしょう。でも、一応の職務を放棄するのは大丈夫なんでしょうか。やっぱり問題児は本当だったのしょうか。


「さっさと確認して帰ってきますから。大丈夫ですよ。ではそういう事なので、行ってきます」

「あ、コラ待てっ!……ちっ、行ってしまった」


司令はああ言っていますけど単騎なので編成の必要は無いし、軍の中で1番お強いですし、彼ほど速くを繰れる方はいないと私は思います。問題行動を除き適任ではないでしょうか。司令もわかっているのでしょう。大きくため息をついた後、


「しょうがない、他の隊員にはこう伝えろ。時雨しぐれ副司令が向かったとな」


と仰いました。


「ーーもしもし、こちら司令室、リシア副司令聞こえますでしょうか? 」

『良好だよ』

余裕そうな声が聞こえます。

「では目標地点の地図を転送します。それに従ってスキャンし周辺情報を送信して下さい」

『了解!』


ーー結果から申し上げますと敵の新たな秘密兵器ではないどころか何もありませんでした。

司令室一同固唾を呑んで見守っていたので


『異常なし!』


の時雨副司令の言葉に皆安心しました。


「ご苦労さまです。それでは直ちに帰還してください」

『了解……あ、ちょっと待って。誰かが襲われそうになってる。助けに行ってくる!』

「え、ちょ、指示以外の行動はちょっと…!」


と言うと通信が遮断されました。


「……え?」


通信を遮断されるなんて初めてです。何かあったらどうしようと焦ります。


「ニコ、別に大丈夫だ。受け入れろ」


司令が上からそう声をかけます。他の皆さんも慣れているのか通常通りの忙しさに戻っています。

……問題児なのは本当ですね。

皆さんを見るにきっとこれから私は多分これに慣れていってしまうだろうけど(本当はダメだと思うけど)指示を無視するのは遺憾です。

なので等級はリシア副司令の方が上ですしこんなこと言いたくありませんが、


『報告書をいっぱい書かされろ!』


……と思っちゃいました。

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