第1章 第13話 春季休暇≪樹海の魔境≫(2)
大樹が目立つその一帯には大型の獣系の魔物の反応がそれなりにあったのだが、食肉も確保済みなので同程度の魔物の気配は迂回して進んで行った。
夕刻が近くなり再び樹の洞を探してみるが、中々良い具合の洞が見付からなかった。
代替案として大樹の樹上、張り出した枝と枝との間を樹魔法で繋いで床を作り、そこを寝床として使うことにした。
樹の下で火を熾して夕食に野菜と肉の串焼きを用意して食べ、食事が終わると樹上に戻って不寝番をローテーションで行いつつ、その夜を過ごした。
春季休暇3日目。
翌朝、地上に降りて朝食を食べると、3日目の探索を開始した。
大樹の一帯を進んでいると、【
気になって現場まで行ってみると、正体は
道中、亜龍や
春季休暇4日目。
探索開始から4日目の朝、食事をとると再び進路を北へと向けて移動する。昼前には若干上り坂になってきた。そろそろアマツハラ皇国の北端、山脈沿いの麓にまできた気がする。
少し開けた岩場を見付け、そこで昼食を食べた。
昼食を取っている最中、アーデルフィアの【
「飛行能力のある魔物の移動と、移動した先で別の魔物を捕食中……ですかね」
サイラスが気配の様子からそう推測し、食べかけの食事を一気に平らげると一足先に警戒態勢に移った。
アーデルフィアとメイヴィル、ユイエの見立てもサイラスに同意であったが、山脈方面から飛んできて捕食中なのであれば、北に戻って行きそうだとも思っていた。
昼食を食べ終えたら北へと向かって移動を再開すると、程なくして北からやってきた気配が北へと戻って行くのを確認した。
北からきた気配が止まっていた辺りには、食い散らかされた獣の死骸が残っていた。やはり有翼の魔物の食事現場で間違いないようだった。
「
食べ残しの状況から犯人の特定が出来る程に詳しくはないため、ユイエは希望的な感想を口にする。
「亜竜の体験を飛ばして竜で良いのかしら?」
アーデルフィアは亜竜で慣らしておいてから
「どうせ強さが違って参考にならないでしょう?それなら本物の方が良くないですか?」
ユイエとしては
その日の夕方近くに大樹のエリアが途切れ、通常サイズの植生に戻っていた。木陰から上空を見上げると山脈の上空を旋回している魔物が散見されたが、遠目にはそれが亜竜なのか
「明日から本格的に
メイヴィルが提案してきた。
「そうね、そうしましょうか」
アーデルフィアは明日以降も連泊する事を考えてその案に乗った。
森が通常サイズの植生に戻っているため、手頃な木材の入手は比較的容易い。
【消音】魔法で伐採する樹を覆い、
同じ方法で建材を複数仕上げると、建物の四隅や屋根の土台、梁などに木材を使用して土台を作り、土魔法で壁と屋根を作って石のように固めた。
最後に生木から斬って来た枝葉で建物をカモフラージュしておく。
これで数日間寝泊りするベースキャンプの完成である。ベースキャンプの外で鹿肉に火を通して焼き、食事を摂った。
春季休暇5日目。
朝食後、早朝から山脈側に向かって歩いて行く。上空を見上げると魔物が飛んでいるのが見えるのだが、亜竜なのか
ある程度ベースキャンプから離れたところで足を止めると、アーデルフィアが皆に確認する。
「≪鑑定≫結果、最初の獲物は亜竜の
アーデルフィアが右手に
ユイエも右手に
メイヴィルとサイラスも、何時もの長剣と大楯の組み合わせで戦闘準備を完了している。
「いつでもどうぞ」
皆の準備が出来上がった事を確認すると、ユイエが準備完了を報告した。
「では……」
アーデルフィアが【
急降下してくる
「ギュアアアッ!」
落ちてきた魔物が地面に激突する寸前まで滑空してきて、その勢いが乗った尻尾を横薙ぎに振るった。
サイラスとメイヴィルが大楯を斜めに構え、衝撃を斜め上に逃してみせた。
いなし切った事で隙が出来た
「ぷはぁ、一頭目、上手くいったね。回収よろしく」
サイラスが地面に置いていた背嚢型の大容量の
「どんどん行くよ?次のは……緑種の
アーデルフィアが
「ギャォォッ!?」
両翼を失くして混乱しジタバタと藻掻いているところにサイラスとメイヴィルが長剣を振るって首を落とした。
メイヴィルがさっと
「あれ……?なんか手応え的に亜竜の
ユイエが拍子抜けして思わず首を捻った。
「お二人の
メイヴィルがユイエの疑問に答えてくれた。
「そうですか?まぁ、狩れたからなんでも良いですね」
実感の湧かないユイエは斬れるならヨシとして次に備えた。
小型種である緑種の
しかしユイエには
次にアーデルフィアが
緑種の
赤種の
その地力の高さ故の自信と誇りが勝ち、不遜な獲物を前に力を見せつけようと前足の爪を振るう。
その前足での攻撃はユイエとアーデルフィアが前に出て
何が起こったのか分からず赤種の
「グァァッ!?」
赤種の
自分達が斬り伏せた赤種の
「やばい、何か楽しくなってきた。興奮する」
「興奮するとか言わないでください。興奮します」
ユイエとアーデルフィアが
良く分からないテンションになって次々と
結局夕暮れまでに
「あのですね、大容量の背嚢型の
遠慮がちにメイヴィルに窘められ、
緑種の
最前線のベースキャンプとして建てた小屋で夜を過ごし、翌朝から4日かけて入口のベースキャンプまで帰って行った。
ここから皇都までの時間も考えると10日程が経過した。あと5日では山脈までいく時間もないため、大人しく帰宅する。
次回は
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