序章 第10話 装備の準備
ユイエとアーデルフィアが実戦デビューしてから2年経ち、12歳になった。
前々から両家の両親達には12歳で
護衛はいつも世話をしてくれるサイラスとメイヴィルにお願いしている。
この二人は
あと必要なのは、
「
アーデルフィアがそう聞くと、メイヴィルが嫌な顔をして抵抗する。
「殿下の身の安全が最優先です。なんなら全身甲冑にしても良いと思います」
「どうせなら頑丈で可愛い装備とかないかしら?」
雑談しつつ目的の工房に到着すると、メイヴィルが店員に挨拶に行く。挨拶をした店員を連れて戻って来たため、先ずは話を聞いてみる。
「この4人で
「そうですね。貴族の方なら【自動サイズ調整】の全身甲冑を選ばれる方もおりますが、動き易さを優先して革製品を選ばれる方が多いとは思います。良いところ取りだと魔物の皮革と外殻や鱗などを加工したような、魔物素材の
「騎士団だと量産性と統一性を優先しますから、どうしても金属の加工品になりがちです。その点、魔物素材の装備は確かに
サイラスが頷きながら意見を口にする。
「では、魔物素材の装備をいくつか見せてもらえますか?統一感のある全身装備だとありがたいです」
「畏まりました。奥に試着室のある応接室がありますので、そちらにご案内させて頂きますね」
店員に通された応接室で、次々に運び込まれてくる製品を眺める。
「私の“眼”の見せどころね!」
アーデルフィアがふんすと気合を入れて、運び込まれた装備品を≪鑑定≫していく。性能に関してはアーデルフィアの【
「因みに、付与魔法の追加はお願いできるのかしら?【自動サイズ調整】とか【自動清浄】、【環境適応】あたりの事だけど」
「そのあたりの付与魔法でしたら大体どの製品にも付与済みだと思いますが、無ければ追加料金で対応可能です。【自動修復】の付与はマインモールド大公領での対応になりますので、お時間も料金も掛かってしまいます」
「分かったわ」
店員から付与の追加について確認すると、また並んだ装備達をチェックしていく。
「……性能だけで言えば
「予算の事も考えると?」
アーデルフィアは竜素材の装備に心惹かれている様子だが、おそらく予算オーバーなのだろう。予算を考慮して選ぶならどれか?という事で、アーデルフィアの思考の舵をきる。
「そうねぇ……あっちの亜竜素材か、こっちのグリフォン素材かしら?頑丈さは殆ど一緒で、【自動サイズ調整】と【自動清浄】、【環境適応】も付与されているから快適そうよ」
「【自動修復】はさすがについてないですよね?」
「さっきの
あれこれと≪鑑定≫結果を聞きながら話をした結果、試着を経て亜竜素材の甲冑に落ち着いた。色違いが濃緑色と褐色、黒色とあったが、メイヴィルが褐色を選び、サイラスは濃緑色を選んだ。ユイエとアーデルフィアは黒色である。新人が使うには少々悪目立ちしそうな良い装備なため、甲冑の上から自前の認識阻害のフードがついたローブを羽織って歩く事にする。
「次は武器を見せて頂戴。私とユイエは長めの小剣と大身槍の短槍ね。サイラスとメイヴィルは長剣?」
「私達は自前の小剣がありますので、長剣と大楯があれば何とかなります。予算が余るようであれば、槍より
「私も同意見です。刃の通らない硬い魔物と対峙すると、鈍器の有り難味が身に染みます」
「では、小剣と長剣、短めの大身槍と
店員達が防具を片付けると共に、要望された武器を持って来る。
これも最初はアーデルフィアの≪鑑定≫で絞り込んでもらい、後から好みで選ぶ流れである。
先ず護衛二人の装備は実用性でパッと決まった。
【強度強化】と【熱耐性】が付与されたタワーシールド型の大楯と、【自動清浄】と【強度強化】、【斬れ味強化】が付与された長剣を選んだ。
残りの予算から逆算して、アーデルフィアとユイエは大身槍を諦め、主武器を小剣にする事にした。こちらも【自動清浄】と【強度強化】、【斬れ味強化】された業物で、信頼性の高い物である。残った予算で護衛二人に
「これで今回分の予算は使い切ったわね。後は
「わかりました。早速、
「そうしましょう。上にローブ羽織るのを忘れないでね」
(お願い事)
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