万年見習い底辺絵師の俺でしたが爆乳少女たちをモデルにしてからバズりまくってます
青ヤギ
プロローグ 運命の裸婦画
きっかけは一枚の裸婦画だった。
それが俺こと、
絵画鑑賞が趣味の父に連れられて、いやいや来た美術館。
当時小学生だった俺にとっては、どの絵も小難しく、理解に苦しむものばかりで、正直見ていて退屈だった。
早く帰ってゲームがしたいな~、と思いながらフラフラと適当に歩いていると……ふと目に入った絵が、幼心に衝撃を与えた。
どの絵を見ても何も感じなかったのに、その一枚だけは例外だった。
長い銀髪の、少女の裸婦画だった。
透き通るように白い肌と、青い瞳。
幼いながらも、女性らしい体つきに成長を始めた、丸みを帯びた裸体。
少女の表情に感情らしきものはなく、ただ虚空を見つめている。
シンプルな裸婦画だった。
だが、その一枚は何か訴えかけてくるものがあった。
俺はその裸婦画の前でずっと立ち止まった。
時間も忘れて、見入ってしまった。
呆然と少女の裸婦画を注視する俺を見て、近くの婦人たちが「いやらしい子ね」と非難がましく口にし、大人の男性たちは「そういうのが気になる年頃なんだよ」とフォローした。
他人には、オマセな少年が少女の裸体に興奮しているようにしか見えなかったのだろう。
事実、俺は興奮していた。
しかし、それは決して淫らな意味での興奮ではなかった。
気づけば、涙を流していた。
そんな自分に戸惑った。
絵を見て、涙を流す経験など生まれて初めてだった。
俺は感動していた。
その裸婦画のあまりの美しさに。
難しいことや専門的なことなんて、とうぜん子どもだった俺にはわからない。
ただ理屈抜きで、その絵は俺を魅了した。
父親に声をかけられるまで、俺は我も忘れてその裸婦画を見ていた。
戸惑う父親に、俺は涙をぬぐって言った。
「父さん。俺も、こんな絵が描けるようになりたい」
絵を描くことは、もともと好きだった。
でも、あの裸婦画と出会ったことで、俺にとって絵はお遊びではなく、本気のものへと変わった。
俺は無我夢中で女性の裸体を描き始めた。
あの少女の絵が頭に焼き付いて離れなかった。
それは、まるで恋にも似ていた。
実際、初恋だったのかもしれない。
あの銀髪の少女は、実在するモデルなのだろうか?
まるで地上に降りてきた、天使のように神秘的な裸体だった。
知らなかった。女性の体とは、あそこまで美しいものなのか。
描きたい。自分も、あんな絵が描けるようになりたい。
あの絵を再現すべく、俺は画集をお小遣いで買い込み、時間も忘れてスケッチをした。
自慢ではないが、俺はそれなりに絵がうまかった。
図画工作の時間で描いた水彩画が何度か金賞を取り、市のコンクールに入選したこともある。
そんな俺の画力は、本格的な人物デッサンを始めたことで、より洗練されていった。
もっとだ。もっと美しく描けるはずだ。この程度では、あの少女の絵にはまだ及ばない。
どんどん鮮烈な裸婦画が描けるようになった。
あまりにも、生々しすぎた。
それが、俺にとっての不幸となった。
「おい、見ろよ! こいつ、こんなエッチな絵描いてるぜ~!」
ある日、素行の悪い男子が、俺のスケッチブックを勝手に持ち出し、クラス中に見せびらかした。
俺は学校でもスケッチブックを持ち歩き、休み時間を使って描いていた。
家だけで描くには時間が足りなかったし、とにかく描きたかったからだ。
そのせいで、つまらない、つるし上げの標的になってしまった。
「うわー! 何だよこれ! 女の裸ばっかり描いてるじゃん! エッッッッッロ!」
「エ、エッチすぎんだろ……」
「うっ! 股間に違和感が……ちょっとトイレ」
「一枚貰ってもいいか?」
俺の絵を見て、クラス中が騒ぎ出した。
男子たちはさも楽しそうに俺の絵に群がり、女子たちは汚らわしいものを見るように距離を取った。
ふざけるな。
自分はそんな笑われるような、軽蔑されるようなものを描いた覚えはない!
「やめろ! 俺が描いているのは芸術だ!」
そう。自分は素晴らしく、美しいものを実現すべく描いているのだ。
あの少女の裸婦画のように。
皆もあの少女の裸婦画を見たら、きっと考えを改めるはずだ。
俺は自分のスマートフォンを取り出し、あの少女の裸婦画が掲載されたサイトを見せた。
自分と同じように、きっと感動するはずだと、そう信じた。
しかし、逆効果だった。
今度こそクラス中が、俺の異様さに引き、冷めた目を向けた。
「……気持ち悪い」
女子の誰かが、そう呟いた。
結果、俺は卒業するまで、小学校で孤立した。
最後の最後まで「女の裸を描いて興奮する変態」と暴言を吐かれ続けた。
そこで、俺は自覚した。夢から覚めたように、冷静に自分を見れた。
ああ、俺はどうかしていた、と。
自分が芸術だと信じていたものは、普通の人間からすれば、淫らで、恥ずかしいものなのだと。
俺は、もう二度と裸婦画は描かないと心に決めた。
これからは誰に見せても恥ずかしくない題材で、堅実に描いていこう。
そうすれば自分の絵描きとしての人生は平和になる。
絵を描いたことで傷つきはしたが……それでも絵を描くことはやめたくなかった。
俺は東京にある芸術大学付属高等学園の芸術科に進学し、イラストレーターを目指すことにした。
芸大付属の学園なだけあって、本格的に美術を学べるところに惹かれた。
そこで一般受けする絵を究めるつもりだった。
……幼い頃に受けた衝撃は、そっと記憶の彼方に押しやって。
あの少女の裸婦画のことは、もう忘れよう。
自分はこれから健全な絵を描いて、立派なイラストレーターとなるのだ。
俺はもう決して、エッチな絵など描きはしない!
……そう決めたはずなのに。
どうして、こうなってしまったのか?
・あなたの絵は大変エッチで素晴らしいです!
・うおっ! うますぎ! エロすぎ! 秒でフォローしました!
・エロいだけでなく、美しい……これは芸術
・もっと注目されるべき
・こんな逸材が眠っていたなんて!
・女体の描き方、扇情的な色塗り、そして何より全体から香るエロス! どれも極上だ!
・もっと! もっとエッチな絵を描いてくれ!
・あなたは天才だ!
・頑張ってください! 自分にとって、あなたの絵が生きがいです!
イラスト投稿サイトで、一枚の絵を絶賛するコメントが溢れかえっている。
急速に伸びていく閲覧数。
増え続けるフォロワー。
俗に言う「バズる」という現象が起きていた。
……俺が描いた、エッチな絵によって。
「ご覧なさいカケル。またこんなに閲覧数とフォロワーが増えているわ。あなたはやはり、エロスをテーマに描くべきなのよ」
絵のモデルとなった少女が、誇らしげに言う。
俺にこの絵を描かせた張本人。
その少女相手に、俺は挑むように言う。
「何度も言わせるな! 俺は、健全な絵で人気になって、健全なイラストレーターになるんだ!」
「いいえ。あなたが描くべきなのはエロスよ。こうして数字が証明している」
「くっ……」
確かに、こうしているいまも数字の上昇は止まらない。
誰もが俺に「エッチな絵を描いてくれ!」と望んでいる。
でも……それでも俺は!
「安心して? 私があなたを正しく導いてあげる。私があなたを大人気イラストレーターにしてあげるわ」
少女は妖艶に笑って、服のボタンを外す。
「そうです、カケルさん。あなたはエッチな絵を描くべきなんです。世間も……そして私たちもそれを望んでいるんです」
「あーしは、それでカケルンがプロになれるなら……何でも手伝うよ?」
周りにいた少女二人も、服を脱ぎ始める。
「お、お前たち……や、やめろ! 嫁入り前の娘がそんなことするな!」
しかし、俺の制止の声は届かない。
少女たちは恥じらいながらも、次々と衣服を脱ぎ去っていく。
すべては俺の、エッチな絵のために!
「カケルさん、お願いします。私をモデルに、描いてください。エッチな絵を」
黒髪ロングストレートの育ちの良いお嬢様が、艶っぽい吐息をこぼしながら迫ってくる。
清楚な童顔に似つかわしくない、大きく育った乳房を揺らしながら、純白の下着姿で抱きつく。
「カケルン、描いて。あーしをモデルに、エッチな絵を」
薄紫色の長い髪をサイドテールにしたギャルが、過激な黒色の下着姿で、はちきれんばかりに巨大な乳房を押しつけてくる。
薄暗い一室。
美しい容貌と抜群のスタイルを誇る少女たちが、あられもない格好で密着してくる。
「や、やめろ……やめてくれ」
抵抗の言葉は虚しく、少女たちは両側から胸を当てつけ、俺の顔を覆う。
「むぐっ」
視界を覆ってしまうほどの柔らかな胸。
息を吸うだけで、少女特有の香しい体臭と、甘ったるい匂いが鼻腔に入ってくる。
液体のように形を変える乳房の隙間から、真正面に立つもう一人の少女が見えた。
銀色の長髪に、ミルクのように色白の肌に、青色の瞳。
……かつての少女の裸婦画と、面影が重なる少女。
俺に淫らな絵を描かせた諸悪の根源!
「始めましょう。今日も絵のレッスンを」
この中で最もスタイルの良い絶世の美少女も、服を脱ぎ捨て、水色の下着姿になる。
あまりにも魅惑的な下着姿を見せつけながら、銀髪の少女は蠱惑的に微笑む。
「さあ、描くのよ。エッチな絵を。それこそが、あなたが描くべき絵なのよ」
銀髪の少女が淫らな格好で迫ってくる。
「い、いやだ……」
三つの女体に包まれそうになったところで、俺は最後の訴えを上げた。
「俺は、絶対に……エッチな絵を描かない!!」
本当に、どうしてこんなことになってしまったのか。
俺は、過去の己を悔いた。
この淫らな少女ばかりが住まう
そんな場所に住むことになってしまった、自分の過ちを。
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