ep.7 貿易1

当初満州にはは現代風の石器を供与していたが、金属が入手できるようになってから大量の武器や道具を生産し、満州国民及び自国民に配給を開始。


これで若干インフレしていた配給切符も減ってきた。


そして何より...




「現代的な武器が作りまくれるぜ!」




今まで石を何とか削って作っていたAPFSDS弾も、石製の型に金属を流し込むだけで生産可能。


しかも型さえ品質が良ければめちゃくちゃ工作精度が高く、石と違って着弾時に砕けないので貫徹力も大幅に向上。


大量の在庫がある従来の石製APFSDS弾は、金属製の配備に応じて少しずつ満州警察や民間に払い下げていく予定だ。


仮にそれで反逆されても、我軍の金属製弾にアウトレンジ攻撃をされるだけである。




ちなみに今まで大量生産されていなかったピストル型クロスボウだが、少し設計を簡略化したものを販売。


金属部品も使われ、よりコンパクトになった。




そうそう、精度の良い金属製弾の配備に伴い、ピストル型クロスボウの金属部品を元にした新型のマークスマンクロスボウを開発。現在試験運用中だ。


ただ材料にピストル型とは比べ物にならないほど多くの金属を使うため製造コストが高く、その上大型化の影響で重量が嵩み、歩兵が走り回りながら撃つのには向かなくなってしまった。


しかも金属製部品の採用により部品がしならなくなってしまい、コッキングも固くなってしまった。




そのため名前にもある通り射撃成績優秀者のみのマークスマンという者のみに配備する予定だ。


マークスマンは後方から歩兵部隊を援護する一般に言われるスナイパーのような役割である。




ただ実際のスナイパーはスポッターと二人で敵地に侵入し、狙撃するスーパーエリート。


一方マークスマンは射撃成績は良いものの、それ以外は歩兵と同じでそこまで偉くない。


ミリオタ知識ドヤリング終了。




今までマークスマンは普通のクロスボウの中から工作精度がいいものだけを選んで与えるという方式を取っていたが、それは普通の歩兵に分け与えていく。


ちなみに従来の木製のクロスボウは機関部がすり減って壊れやすいとのクレームがあったため、機関部だけ金属製パーツに置き換える改修を順次行っていく予定だ。




また、大量の石器も戦争で消耗しているため、この期にすべて鉄器に更新。石器はいつもの如く払い下げた。


満州では昔から鉄器の桑を使っていたらしいが、力が逃げにくい構造の桑を供与した結果効率がかなり向上した。


これは占領直後から脱税対策にしっかり細かくデータを取っているから信憑性が高い。


これで某掲示板の創造主が、データあるんスカって言っても対応できるゾイ。




ーーーーーー




現在有り余った米は倉庫の備蓄にしているが、流石に多すぎる。


満州以外の周辺国とも交易をしようと満州国の外交官を代理として派遣したりしているが、如何せん満州と比べ物にならないほど距離が遠い。


金属が手に入ってから蒸気機関とか植物油を使用するエンジンも開発してみたが、三輪車のほうがマシなレベルで効率が悪い。恐らく基礎技術が低すぎるのだろう。


現状マトモな移動手段はコピーした自転車しかないのだ。


しかも完全に再現はできていなく、謎にペダルが重い。


国民には環境の為産業革命は"あえて"起こさないと発表している。


だがそれはそれで反発が多いし、せめて蒸気機関車ぐらいは欲しいものだ。




「トラックなんか作れた暁には、日本に住み着いた冬将軍なんて怖くもないほどの兵站能力が手に入るのにぃ...」




一応海上輸送という選択肢も考えたが、海がそこそこ遠いしエンジンが無いなら帆で頑張るしかないが...


無理だ。使い方がわからないし、気づいたら逆方向に流されてそうだ。




「あ~貿易したい...周辺国をを経済で支配したい〜...」








「金のかかる戦争が嫌いで、貿易大好きなのとかもはやオランダじゃねぇか」






「うん? オランダ...?




運河だ! 運河を作ればいいんだ!」




もうここまでするとめちゃくちゃオランダ化が酷くなってきたが、運河なら船が沈んでもすぐ陸だから溺れやしないだろうし造船能力を熟成するのにも最適だろう。




そうとなればすぐに満州や他の周辺国に支援を求め、労働力を確保。


満州は農業はうまく軌道に乗ったのでそこそこ人手が余ってるのもあり、運河通行料の一割で応じてくれたが、他の周辺国は残りの通行料山分けに加え、モンキーモデルクロスボウと石製APFSDS弾の供与、開通後1年間の米の販売価格三割引までして何とか応じさせた。無能外交官め...




まぁ合計で二百人程度の労働力を確保できたからいいとしよう。人海戦術でかなりのスピードで工事が進んでいく。水は海から細い水路を下って入れる予定だ。




また船の建造も同時並行で進めている。


現在試験中の艦は多胴船方式を採用した安定感を重視した設計で、大量の貨物を効率よく積むことができる。とはいえ、小さめの漁船程度の大きさではたかが知れているが。


あと椅子さえつければ貨物の代わりに人も乗せることができ、非常に汎用的な設計だ。


動力は自転車のようにペダルが付いていて、3〜5人で漕ぐ。頑張れば意外と速い。




試作艦は5隻あり、様々な艦種を建造した。


もちろん軍艦も建造。鋼鉄の防弾板の中には小型の投石器が格納されている。また、試験中ではあるが魔法を利用した大砲なんかにも対応できる拡張性も備えており、搭載した場合「野砲を積んだ漁船」といった感じの雰囲気になる。


これらは任務に応じて物資や人員、石炭に置き換えることもできる。




...カンのいい人は石炭で気づいただろうが、そう、この艦には新型の蒸気エンジンも追加できる拡張性があるのだ。


ちなみにこの蒸気エンジンも効率化のため一部に魔法を使用している。


魔法を活用したとて一基ずつは非力だが、それを複数個束ねることでかなりの速度が出せるはずだ。


ちなみに、何個か明記しないのはその数すらも簡単に変更できるからだ。




これで周辺国にも簡単に侵攻できる。


最も、戦争などという人的資源の著しい浪費はできるだけ避けたい。


やはり経済的に依存させ傀儡国にしていくのが一番効率的だ。




数カ月後




「よし、扉を開けろ!」




遂に運河が完成し、海から水を投入。


幅三十メートル程の運河だが、船は最大でも幅十メートルにしてあるから余裕ですれ違うことも可能。


まず試作艦五隻を進水させ、数週間程度運用し、問題点がないか確かめた。




その後、勝手にペダルが傾くだとか、扉がなかなか開かないなどの多少の改善点を改善した正式版を建造しすることに決定。


今では続々と正式版の建造が開始され、その間試作艦はデバッグも兼ねて大量のクロスボウや米を輸出している。

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