ep.3 戦乱1

とりあえず臨時政権はまとまった。


必要な仕事ごとにサクッと委員会を編成。


共産圏っぽい名前には少し嫌悪感が出るが今はそんな場合ではないだろう。


新たに編成された委員会としては、




食料調達委員会 (生徒会長が率いる)




資源調達委員会 (副生徒会長が率いる)




学校防衛委員会 (自分の息がかかった者が率いる)




物資配布委員会




周辺地域調査委員会




生活水準維持委員会




秩序維持委員会 (自分で率いる)




である。学校防衛委員会は強力な動物や草原化による治安悪化などに備えて、秩序維持委員会は食料や寝床などで揉めないように監視する、という名目で作らせた。


ふっふっふ、まさか近いうちにクーデターを起こされるなんて思わずに...


まぁ食料と資源の2つを押さえているだけ及第点かな。




一応まとまったとはいえ、少し落ち着けばまた大規模な権力闘争が始まるに違いない。


そこで、敵が警戒すらしていない今の段階で先手を撃つべきなのは間違いないのだ。


幸いソーラーパネルで電気は供給できているからPCは使える。ネットは無いが...


これで印象操作用に合成画像を作りつつ、今まで脳内にダウンロードしてきた様々な兵器の資料を元に、我々のための武器を3dcadで設計する。


無論、表向きは狩猟や治安維持の為である。


ミリオタは全員味方である以上、明らかに過大な戦力を持っていても誰も気づかないであろう。




まずはクロスボウをその辺の木と、ボロい机から取った鉄パイプで製作。


しかもただのクロスボウではない。石を削りだして作ったAPFSDS弾をぶっ放す代物だ。


だが弱々しい木製の矢しか公表せんよ。


何なら人道的な低威力弾とやらも見せびらかしておく。当たり前さ!


これはこれで凄まじい威力なのだが、やはり大規模な暴動などには火力不足だ。




そこで、太い鉄パイプに圧縮空気と水を入れて飛ばすロケットに、木製の刃を翼としてつけたものとそれを発射するランチャーを開発。


コストはAPFSDS弾より高いが、ロケットがポンポン飛んでくる威圧感はクロスボウと比べ物にならないだろう。


ちなみに最初はペットボトルロケットを作ろうとしていたが、ペットボトルは手に入らないのでは? と言うマジレスによって挫折しかけたところを、数年前の大規模な改築の後放置されていた太い鉄パイプで代用。


無事正式採用となった。




兵器はできた。


次はこれを運用する部隊を作らねばならない。




「国家として学校を動かすのには、外敵から国民を守る軍隊と、治安と秩序を維持する警察が必要不可欠だ!」




などと偉そうな文言を書いた募集ポスターを貼っておこう...いや紙は貴重だから生徒のPCで見れる共有フォルダにでも入れておくか。


よし送信...ん? てかこの学校って孤立してるし国家ってことにしていいんだよね...?内乱罪で捕まらないよね...?


ま、まぁ、別に国家転覆したわけじゃなくて勝手に周り消えただけだからいいよね!




なんて無駄なことを数分間考えていたのだが、全て水泡に帰した。




...どうやらここは異世界らしい。というか弥生時代程度の日本らしい。


弥生時代風の集落を発見したとの報告を写真つきで銀輪偵察部隊より受けたときは、なんとなく納得した。


だからネットどころかGPSすら無いだと。


あと意識したら空気が目茶苦茶綺麗なんだよなぁ...




まぁ、ここが何の世界なのかはともかく、文明レベルは著しく低い。


現状、戦争になっても問題無さそうだ...




うん...? 戦争...?




そうだ! なろう小説みたいに、文明の差で殴ればいいんだ!


そうすれば最低限生活するための物資は手に入るし無償の労働力を確保...じゃなくて人口増加になるね! まぁ学校な時点で少子化の心配はしばらく無さそうだがな。


よし、この方針で行こう。早速軍拡を...




...




待てよ...


一回慎重になった方がいい。


よく考えると圧倒的な文明の差で殴るとかクッッッソ非人道的だ。


某紅茶の国にはなりたくないし…




別に占領さえできればいいんだ。略奪やら蹂躙やらは必要ない。


なんなら占領の必要すら無いかもしれない。近代的な道具やらなんやらと食料で貿易し、経済的な植民地にすればいいだけだ!


ただ、接触したところで言語すらわからないようではちょっとした行き違いで戦争になる可能性もある。


接触するには最低限防衛できるぐらいの軍備は必要だ。


そのためには国土の要塞化、国民皆兵の実現等々やることが多い。


急いで整えなければ...




ーーーーーー




最近、配給を巡ったトラブルが増加している。


皆、腹が空いているためジャイアンのようなやつが数人いるだけで、周辺を巻き込んだ壮絶な戦いが起こってしまうのだ。


とても物資配布委員会の手には負えず、秩序維持委員会に仕事を押し付けんとばかりに鎮圧要請が出され続けた。


そのため急遽、低威力弾のクロスボウや、木製ナイフを取り外した人道的な鉄パイプロケットを配備した部隊を編成。




「アンノウンへの誤射に気をつけろ! 暴れてるやつには躊躇なく撃ち込め!」




「う、腕がぁ」




「取り押さえろぉ!」




先行量産型のクロスボウはすでに戦果を上げており、低威力弾を用いて大喧嘩を安全に制圧するなどして治安の改善を計っている。


ちなみに人員の方だが、求人ポスターに配給の優遇措置などを書いたらすぐに目標の40人を大きく超え、秩序維持委員会と学校防衛委員会合わせて120人にもなったため、急遽兵器を増産している最中だ。




その後大小の喧嘩を制圧した後に治安は完全に回復。


これには生徒会連中も我々を見直さずにはいられないようだ。


とはいえ、生徒に教員も含め国民800人程度の国家なのに120人を軍事に割くのはいささか偏りすぎているという意見も各委員会から出てきて入るが、現状他の雇用が狩猟や土木工事(国土の要塞化)、工場(斧や革製品、武器の製作)しか無い以上問題はないだろう。


また万が一総力戦になった場合に備え、超簡易的なスリングショットライフルやコンパウンドボウを国民一人一つ配布できるよう生産中である。


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