転生者キラー 異世界チート/無双は許しません。

@nekokoro

転生者は侵略者

魔王領 ーグラテオー にて


俺は畑の横をポヨポヨ移動する数匹のスライムを眺めながら荷物を運んでいた。

小屋に着き、荷物を下ろすと後ろから主人が声をかけてくれた。


農家ゴブリン

「ありがとうございますじゃ、ベリアル様の手を借りてしまって申し訳ないわい」

「気にしないでくれ 困ったことがあればすぐ言ってくれよ」

農家ゴブリン

「こんな低級の魔物にも親しくしてくれんのはあんたぐらいじゃよ」

「俺は暇だからこうして町を見回ってるだけだ。それにほかの幹部たちだって優しいやつばかりだよ」

農家ゴブリン

「ホホそうか。あぁ、このリンゴをどうか、ほんの少しの気持ちじゃ」

「お、ありがとうな」


俺は貰ったリンゴをかじりながら歩いていった。

俺は悪魔ベリアル。魔王軍の幹部だ。それに悪魔の中でも序列は【キング】最高位だ。ただの自慢話であるが、俺はそれなりに強いし権力もある。

でも他の幹部たちが優秀すぎて魔王軍での仕事はほとんどないけど。

だからこうやって、気ままにいろんな町に顔を出してボランティアをしている。

魔王領ここはとても居心地がいい。

大通りを歩いていると右前の店から店主がたまたま出てきた。


パン屋【炎の魔人、フヤ】

「あ、ベリアルさんじゃないか!

そうだ!このパンあげますよ!」

「おお! フヤさんのパンは美味しいから、とても嬉しいぜ」

炎の魔人 フヤ

「そう言ってもらえると助かるよ!」

「なにか手伝うことでもあるか?」

炎の魔人 フヤ

「いやいや、この前パン作り手伝ってもらったばかりだろ!大丈夫だよ」

「そうか、ならまた今度ー」

俺が喋っていると、町の入口の方から爆破音のような大きな音と地響きがしてきた。

そしてすぐ鐘がゴーン、ゴーンとなり始めた。

通りを歩いていた全員の動きが止まり門の方を見た。


「敵…? ここは人間の国から離れているはず… 少し様子を見てくる」

炎の魔人 フヤ

「あぁ、ただ事では無さそうだし、気おつけてな!」

「ああ!」


俺は背中から翼をだし、町の入口の方に飛んでいった。


通りを飛んでいると、逃げてくる魔物たちとそれを追う人間の姿が見えた。


人間

「殺せ!」「逃がすな!」「装甲兵は魔人を殺せ!その他の兵はスライムやゴブリンを!」


「人間?! なぜ!」


魔人

「俺達で時間を稼ぐぞ!人間を通すな!」 「おう!」 「スライムたちは早くくこっちに!!」 「幹部達に報告を!」


人間

「所詮は魔物!死ね!!」


俺は猛スピードで魔人たちの下に降り

人間3人の首を、魔法で出した槍で

はねた。

(なんとか間に合った…)

魔人たち

「…あ、あなたは!」「ベリアル様!!」「あぁ…ありがたい!」

「大丈夫か できれば取り残されてる魔物たちを探しながら魔王城の方へ向かってくれ」

魔人

「ありがとうございます!」


俺は通りを走っていく魔人たちを見送り、また町の入口の方を見る。


「…この膨大な魔力…強力な人間が来ているな」


俺がそうつぶやくと、ビュンと人間が飛んできて剣を振り下ろしてきた。

俺はギリギリ槍で防いだ。

パーカーを着た少女が言った。


人間

「へぇ、君強いじゃん 」

「一応、幹部なんでな」

人間

「幹部なんだ…私は一応、勇者やっててね 今日は君たちを殺しに来たんだ」

「虐殺なんて簡単にはさせねーぞ」


俺はそう言ってすぐ、人間から距離をとって魔法を打った。

人間に命中したが、バリアで防がれていた。


「やっぱ簡単には倒せないか…」

人間

「残念だけど私は全ステータス999なんだ 君じゃ勝てないよw」


人間は少し笑ってそう言った。


「ステータス999…? そんな事があり得るもんなのか」

人間

「あり得るんだよ 私は女神様から力を貰った。」


??「 イーヴァルアイ…」


俺がどう倒そうか考えていると、後ろからつぶやく声が聞こえ、目の前の人間が爆発した。


??「大丈夫か? 報告があり、助けに来た。」

「 ! すまない…ありがとう」


俺の加勢にに来てくれた男は高身長で黒いロングコートを着た幹部の1人、【悪魔パウダ】であった。

彼は邪眼使いで戦闘でも強い、加勢してくれるのならとてもありがたい。

そして目の前の爆煙が晴れるとそこには案の定、無傷の人間がいた。


「マジか…」

人間

「ステータス999の私には効かないよ」

パウダ

「人間、お前は大人しく帰れ。他の雑魚は殺した。これ以上の侵略行為は許さんぞ」

人間

「…君、その黒いロングコート、それにその目、邪眼使いのパウダでしょ?有名だから知ってるよ」

パウダ

「そうか なら、なおさら逃げ帰るべきだな。」

人間

「……他の兵士も殺されちゃったのか…確かに、ここは引くとしよう」


人間は少し考えた後にそう言ってスッと町の外の方へ消えていった。


「たく…なんだったんだ」

パウダ

「…被害は…まだ分からないな。」

「そうだ この町に来るまでにも少なくとも3つは集落があったはず…」

パウダ

「ああ、魔王城への報告はなにもない。集落は避けてこの町まできたか、あるいは…」

「今すぐ行ってくる!」


そう言って俺は駆け出した。


パウダ

「あ、おい!…まったく」


俺はテレポートを駆使して移動し、わずか5分ほどで一個目の集落についた。

そこで見た光景は、薄々思っていたが想像したくないものだった。集落はすべて焼け落ち、多くの魔物たちが道で倒れている。

俺は集落に入り倒れてる魔物のそばに行った。


「お前ら…! 」


俺が少しの間、殺されてしまった魔物のそばで悲しみに浸っていると後ろからパウダの声がした。


パウダ

「やはり全滅か…そのまま聞け、邪眼の力で人間の兵士から情報を抜き出した。

どうやら別世界から強力な力を持った人間がこの世界に来てそうだ。

人間はそいつの力で魔族を討伐する作戦を立てたようだ。」

「…………は?……なんでそんな事…」

パウダ

「人間の事情なんて知らん。ただ一つ言えるとするなら、これからの人間たちは脅威になるぞ」


  ーーーーーーーーーーーー


(あの日からだったか…俺が転生者狩りを始めたのは…)


50年…魔族にとっては短い月日だった。転生者は何度殺しても絶えずこの世界へ来て、例に漏れず俺達魔族を殺しに来る。

だが誰が何度来ようが返り討ちにしてやる。俺達魔族にだって友達がいて家族がいる。もしそんな暮らしを害する者がいるなら俺が全力で潰すだけだ。

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