第四章『魔を統べる者』第二節・前半

第四章『魔を統べる者』第二節・前半


「——成る程どうして、吾ながら」


 よりて、開けば——戦で既に述べられる『事後詠嘆じごえいたんとなえ』は光の技より、遅く。

 "とうに過ぎ去った光景"では、王の自ら切り裂いた手首より、噴出せしが『銀色に輝く熱き血潮』のようにも。


「"宇宙に広がる線状の光"とは、『天を進むりゅう』のようにも」


 覇者の権勢に痛みを超えても、即ち——"止め処なき龍光ドラゴニックなみ"は広がった。


「そも、"どうして世界が拡大するのか"——其れは、"此処ではない何処かに求めるため"」


 世は、"輝々たる熱に溢れた"のだ。

 事は神殿の高台に始まり、惑星の外へ、また連星を中心とした系に、続き天体の無数を蹴散らしても——"果てしなく広がりしもの"。


「"現状此処げんじょうここにはない自由"を求め、無限の光が手を伸ばす」


 始まりは『小さき種子』のようで、なれど『同時』と見紛う瞬間にも拡大。

 伸びた線の数々が『開花』らしく壮麗に、拡散せしは不朽にして、燃え尽きることのない輝々が火花を散らしても『花群かぐん』の如く、燃え広がり。

 王の"放った其れこそ"は、『今なお枝分かれし続ける荘厳の大樹』であり、『王の筆致で天地にえがける光の樹形図』であり——『無限にけるりゅう顎門あぎと』として。


「因りても、止め処なく——かげりなく」


 "宇宙を無尽に飛び回る閃光"、それは『輝いて多頭の龍』なのだ。

 瞬間にして永遠なる神の力としても『未来永劫に届かせん』とするは無限の情熱が自由を求め、身の内から飛び出しても——解放そとへ。

 また『膨張』を"技の核心"としても、各種の『意図的な反応』や『転移』を経て、"晴れ上がった世界"の様相が今し方の滑らかな乳白から一転して『戦意にギラつく銀白』へと。

 "未だ一秒もない間に塗り替わった"のは、宛ら『如何な粒子も介在する余地のないエネルギーの奔流』から、『敵に向かって合流せし大統一』の移動模様。


「吾が扱う光の御前、凡ゆる防御が意味をなさず」


 "敵する態度"。

 王で此処に『協力者』から『敵対者』に"色調としても変えて見せた"なら。


「迎撃体制の作動する間のなく」


 抜かりなくは、徹底的に。


「たとえ『作動のした』として、"吾が超速の攻め手に応じ切れる筈もなく"——」


 既に放たれた激烈光。

 熱く澄み切った世を渡り、"輝けし王の先手"は迅速果敢へ極まっても。


「……そうを唱え終わった所で、けれど——"どうして"」


 "逃げる間もない敵の全身へ喰らい付いた"。

 事実そのはず、なのだが——"逆巻き揺れる"、銀の炎。


「よもや——"めた"のか」


 しても、"動揺せしは王"なのだ。


「"食い破れる"ものか——吾が『龍輝ドラゴニックの閃光』を!」


 声に『驚愕』を抱き。

 世界に唯一現存した星を飛び出て、臨むは遥か遠方。


「……即ち『目にも留まらぬ攻勢』が、『目に見えて緩慢としている』なら——」


 遠見の先。

 満ち満ちる銀の大海の中に在っては、"唯一に異彩を放つ一点"。

 今に敵の気勢を四肢ごとへし折り、舞台に縫い付けんとする食らい付きの猛攻にも『計測カウントは進んでいない』なら——『武舞台に屈さず』、『未だ光輝に染まらず』が宇宙に残る黒一点こくいってん


「——『対抗し得る神』で、"未だ健在"」


 確かに、膨張宇宙の化身でインフレーションの神格が放ったものは『偽りなく絶技』であったろう。

 それらは、光の波も飛沫も顎門に、乳海変じて龍と成す——"多元宇宙を武器とした凡ゆる方位からの猛攻"。

 拡散せし光の放出は描写する者によって『無数に伸び出る腕』のようであり、また『睡蓮の花咲く』ようであり、何よりは其処から『放射に生まれる龍の無限』。

 王から放出されし光線が広く世界を食い破り、また外で時空に力場を絶えず生み出す究極は、『宇宙を焼き尽くす神秘の極意』にも、光景より遅く聞こえ出す爆散に、鈍重の敵神が式を描かんとするよりも、速く。

 圧倒的に速くは、神王の刻んだ光の軌跡が既に本数にして五千兆を超える波の膨大で『開閉せし大顎門に敵を呑むもの』だ——それこそは『龍閃光輝ドラゴニック・インフレーション』に相違なく。


「推察——"しんに寄せ付けてはない"。"あいだに何かで相殺してくれた"な」


 だが、その塗り直すよう白日一切に染めたはずの世界で、"染まりきらぬ黒点"。

 ちょうど掌大の、いや、朧げにも正しく『少女の細指』を象る光の細影で、"掌握された龍らの光波ほうこう"に——"失せて潰れる無音おと"が為る。


「なれば先ずの、一景。挑戦的にも『口だけではない』と見える」


 全天に伸びたはずが、極一点に集中。

 数多の光線、"照らしきれぬ一点"に引かれ、寄せられ。

 その様が餌に釣られた一尾一匹に縛り上げられ、くびき殺され——"女神のかいなに潰される"。


「其の身、"実力も極まって伴うもの"か」


 しても、"食らい付いた龍の進みが鈍くなる"を見るに、放ち終えた龍光の残滓を纏うが宛ら『喋る龍神』。


「"真に光輝へ迫れる"のか?」


 立髪たてがみに燃える龍鱗も伴い、攻撃の軌跡を己にも残す蜥蜴男リザードマン

 熱き白波に龍の大海原を背景、『決着の舞台を目的として進みの遅くなった光が未だ途上』なら。

 剰え、"永遠なる指令を帯びた筈の一筋一筋"、"緩慢にも暗き色味に隠れて潰える光景"——それら"己の命じぬ挙動"を前にも『未知なる片鱗』を知るだろう。


「比喩でなけれは『八百万やおよろずを超えて』、"瞬間同時に叩き込む五千兆ごせんちょう"でもあれば、光速を超える我が連なり、目にも留まらぬ連続で、『見えぬ努力』とは此のことを——」


 対しても、戦意の表れ。

 燃えて輝燭きしょくの攻性光。

 形に意味を持たせるガイリオスの世界を踏襲して神王でも威圧の小さく象っていた玉容は、外交儀礼を既に崩し。


「だがして、其の一気! "必殺呵成を受けて尚に立ち上がる"とは——"お前も"、『構えていた』な!」


 じょの推察——『無敵の攻勢に晒されて残存する』は、『無敵を着込んだ神の実在』へ至らん。


「一度の接敵で光に越せず、仮に『どうあっても追い付けぬ』と踏んでは——"後手に回らざるを得ない状況"で、"破茶滅茶に防御を着込んできたな"!」


 つまりも——"必殺"に対し、"必殺"。

 今に続くが熱波光刃であっても、一瞬にして暗闇へ迫る剣戟は命中ヒットの直前、剣閃たる光線に『ぐにゃり』と捻れる歪曲面スパゲッティ


「様子見であって『畳み掛ける宇宙』に手を抜いたつもりなく——『暗黒それ』は何だ? "何を司っている"?」


 僅かな時にも散見せし真実——"凄まじい重圧を纏って光が届いていない"?


「『多元破滅光輝』の、"其れを耐えられる"ということは——"お前も複数持ち"か」


 王の威光の届く前にも『威力に圧縮』、『分解されている』なれば——"一瞬に浮かび上がる小柄の陰影"。


「えぇ"? "幾つを食らってきた"よ? 今に五千兆は滅ぼせる算段であったのだが」


 敵は健在の——だが。

 しても、『五千兆を耐えられて如何に頑丈』だとて、『反撃に移れぬ』なら勝機のなく。


「フッハッハッ——だとして! これしき凄まれる開戦に際しても、吾という自由おもいは変わらず」


 共に宿す永久機関、中長期には無限の力。

 しかし、"必ずしも性能に等しくなくば"——瞬間的にも、"劣り続けた方がを上げる"。


「五千兆が潰えたのなら、新たに五千兆を生み出せば良かろうて——果たして鈍重に『吾が本体』を捕捉できようものか」


 しからば、速攻、絶え間なく。

 暗黒で光を掌握する今にも、"その内から握り手は開かれてゆく"。


「お前がいちを備える間にも先を行く——然り。音波伝導を遥かに超える御業は『瞬く間もなく為された』のだ」


 完全に密閉した筈の隙間ない障壁より、握力に走る罅割れ——それも、光だ。

 龍の光芒こうぼうが漏れ出す炎熱としても亀裂から溢れ、多勢の飛び出す瞬間には神の手を払って肥大化。


「世界、凡ゆる座標に触れては滅却めっきゃくの技」


 さしても、無限の光輝に晴れた世界で闇は再び大河に呑まれる。


「よっても往々にして吾の戦いが無味なるものよ。ただ相手の反撃が来ぬ間に、その敵を炙り出して打ち続ける、突き崩す——焼き尽くすまでを眺めるだけの胸中は」


 即ち今に突き出す槍でなく、"既に突き出されたもの"として——"放たれた攻勢"こそ、世界を満たす技の軌跡。


「宛ら、『高周波加熱器でんしレンジの待ち時間』。今も防御の態勢を崩せぬ貴様が反撃へ移る前に——いくらでも。うたとなえるヒマのあり」


 広く宇宙の場で突き出す斥力には、剣山の煌めき。

 無数に刺々しく生え出しても、刀身に刻まれたのは神秘めいた紋様——真っ直ぐな峰に対して垂直な『目盛り線』の数々が、斬りつけながら対象との距離を測定し得る天才の発明にして合理的な優れもの。


「"並び立てる言葉"、その全ても連ね、『打ち突く武器』として。"多少に延びた貴様の敗北"を、ただ待ち尽くすだけなのだが——」


 しても、問うのみ。

 "いつまで敵は秒間にして五千兆を優に超える指数関数的急膨張インフレーションの波に耐えられるか"?


「——さて、さて。決着まで暇も暇なら。『余裕の勝ち』を明白な歴史とするにも一つ、"ちゃでもしばこう"ぞ」


 "決着に見える答え"を、待つだけでよい。

 戦の起こりに倒れぬなら、不朽を試される頑固者へ既に多くは放たれて——落ち着いた手付きに『円卓』と『椅子』を取り出す王。


「うむ。『女神の終焉』をき背景に。"ついぞ素顔を晒さなかった美しき"は、"お前の散り際"——」


 蜥蜴からは声に威容で先までの男神を戻し、『祝宴の席』と洒落込もう。


「——『散華の姿』を謂わば、『茶請ちゃうけ』にでも」


 瞬時に分離させたおのれに型を取り出した座椅子へ腰掛け。

 丸机の上は凡そ千六百八十万色にも目立つ煌びやかな発色を杯に注ぎ、持ち手を摘んで淑やかと掲げて、見せれば。


「ふふふ。残すは結果を待つだけの余暇に。とはいえ吾にも力がある。この残った右眼、それも『未来を見渡す視線』には——」


 可笑しく語る、その間も、神の絶技に絶えはなく。


「どれ、どれ? "暗黒の神とやらは如何な攻め手を持つ者"か——……"暗くて何も見えず"」


 未だ、突如として現れる剣術。

 敵に向け、時空に取り出したる物差しの剣で満ちる。


「……だが、『未知なる強敵を前に"まごつけば御先の真っ暗"』とは相分かった。"一先ずその分かれば重畳"とし、後は平時通り、たとえ『知らぬ必殺』に見舞われても、その全てに対し即時で捌き続ければよい」


 左右、上下、様々な奥行き。

 凡ゆる方位から闇を撃つに生え出して。


「…………」


 伸びゆく剣の刃先で撫でても、暗黒の一点へ荒々しく——。


「…………ふむ」


 吹き飛ばした方向の凡ゆるにも神山霊峰しんざんれいほうの先回り——果てで、"真下に備えた最も巨大"へ。


「しかしの真実、言うなれば……"見るに怖き自分"もいる」


 猛り狂う熱に追われて失墜せしは、女神の。

 暇で臨む眺望の先に『貫かれるのを待つだけ』なのだろう。


「『吾が好敵手こうてきしゅの余りに早い敗北』——"一時いっときとはいえ比肩を期待させた強者"が、『敢えなく砕け散らんとするおり』に」


 その謂わば、銀炎に燃えながらも瀟酒しょうしゃの余裕。


「……目でも、つぶってしまおうか」


 茶器のふちを優雅に撫でる指遣い。


「——いいや、"責務"があろう」


 奏でる声に『野点のだての反響』を確かめても、"敗者への心残り"を思えば。


「『誇りある勝者』は『敗者の思い』を受け継ぎ、"良き未来へ進まん"としても……最後の一瞬は、しかと」


 入念に多くを波打ちはなし、『更なる気を盛り立てん』としつつ。


「"敵の生き様に持ち出した覚悟"を、真なる双眸に、確と」


 眺める先では左に剣山、右に槍の列柱を落ちて行く姿に『恐らくの少女』を痛め付けても、誘導補正。


「たとえ如何な呪いを受けようと、それごと魂に焼き付けて——」


 よりても、間もなくは迫る、小さき暗影。

 その直下、世界を二分するかの如く『対魔の聖剣』が宙を貫き、落下してくる敵を輝ける刃先に待ち望めば。


「……そうは言えども所詮は期待も『夢見がち』、"吾が幻想も滅ぶばかり"なら」


 敵ごとを貫かんとする大権勢、光の奔流が影を呑み。


「"拡大し続ける宇宙の熱情"に、"止め処なくはインフレーション"——"そのもの"にかなう道理なく」


 ——しかし。


「"この孤独"を、分かち合えるわけも——」


 剣は正中を貫かず・・・・・・


「————む"」


 どころか、"刃先から峰を滑る"ように。


「——"む"!」


 "暗黒のもや"に、かげる炎。

 刀身に刻んだ目盛り線も"徐々に隠れて見えぬ"なら、『やはり時空が己の認知を超えて歪んでいる』——口惜しく胸焼けに杯を煽ろうとしていた神で手が止まる。


「"少女の巻き込まれしは大剣勢だいけんせい"、『真に狂い咲く暴風』なら——」


 今や王で見上げる刮目相待かつもくそうたいは、『感傷に武舞台の設定を忘れて必要以上に殺してしまうやも』との不安すら、吹き飛ばし。


「『灼熱の豪雨』、『時空を切り裂けし閃光』に晒されながら——"?"」


 転ずるも安堵から——"再び湧き出る期待"へと。

 何よりは『再び見出した強敵』への、"更なる畏怖"に変わろう。


「よもや、"光に映らぬ陰影"は——『闇の化粧けしょうの一つにも大した乱れはない』ときた……!!」


 その光景で『滑り落ちる者』に触れて、踏まれ——暗く呑まれた中から順に砕かれる聖剣。

 光の粒子が散り行く際には、即座に『暗黒領域に引き込まれる時空収納』の如き挙動にも王で『未知』への笑みを取り戻し、感嘆するに他もなく。


「よもやも、なにが。あれほど巨大な聖剣なら何処ぞに触れても正中——『貫いて爆散』のはず」


 驚いては、急ぎ置いた杯が溢れ、机上に"熱き溜まり"を作り。


「だのにどうして『静けさ』だ。宛ら、"嵐の前触れ"——」


 しては、音のよどんでねじれる場。

 光の喧騒に反して、『余りにも静かなる無音』が徐々に茶会への距離を縮め、"王の喉元に何かが迫らん"として来る。


「"何だ"。まさか己で今になって『好敵手の喪失に恐れて隠せず』とでも——いいや、"これ"は『現に引き起こされる震え』」


 その、『何者か』。

 紙一重に聖剣貫通の直撃をまぬがれても、かわしきれずでも爆ぜた熱波の衝撃で、"転がる何か"。


「"敵の到来を報せる震動もの"——"光の派長が歪んでいる"、『歪められている』とでも……!」


 しかして、転倒からの回転は"かどを削る洗練"。

 いつしか薄靄うすもやの集合に意思を持って走り出せば——峰を滑る今にも『おおかみを模したけものよろい』で全身を覆い隠すようにまとい


「っ——"顔の見えぬ強大な力"! "理解を超えた悪夢"とは、"未知に抱くも原初の恐れ"じみて……!」


 光の波を踏み潰して進む震源で、遂には『剣に爪立てる四肢』を持ち。

 眼前に『邪魔な流れを噛み砕く』は、口より漏れ出る暗黒で触れた熱に歪曲を引き起こしながらにも——瘴気しょうきを振り撒き、迫るもの。


「"落下する"——"している"」


 対し、迎え撃たんとする王の足場に磁場も揺れだし、歪み出せば——"真空らしき世界で無音"?

 いや、"現に肌身を震わすとどろき"も、『無』や『暗黒』やの『未明の敵』を探知するために『光の巡らす先触れ』なら——その揺れて報せる、"警告音"。


「落下して——"る"!」


 "接近"——なればの危機を知り、瞬時に漲る両腕より、走らす閃光。

 一度に大きく胸を開いた予備動作から、次には瞬間的に腕の描いた『上から並べる三つの横線』に『それら貫く縦の一つ』で、目にも留まらず同時に交差させた腕の紋様が『三重の光輪』と『中軸を貫く柱』に模した『王』の形を光線として即製射出。


「くっ、ぅぅ"——っ、未だ、"重くなっている"……っ"!?」


 されどの未だ、正体不明。


『"————"』


 緘黙かんもくにして、退かず。


「"無限に重みを増す権能"——計り知れず……!!」


 その一直に向かった熱線を身に浴びて——浴び続けても質量の圧は近く。

 対する激熱の王に『負けじ』と一度、二度と発揮から奔流を真新しく強靭に加勢させるも——恐らくの女神アデスで『右腕』、『左腕』、しまいには『両のかいな』と『頭』を射線へ打ち付けて。


「"安易に覗けば目から潰れる"……! "好奇を殺す"——『魔性ましょう』の……!!」


 自らを『つい』として、くいに叩き。

 潰しきる動作が『光の激流をたけにする』が如くも——"落ち来る質"の、"不可視な量"。


「——"!?"」


 迎え撃つ神でおぞましくも、総毛立そうけだつ。


「むぅ——っ"!?」


 剰え、『反撃の効果にも乏しく』に『回避へ移らん』と決した意は『間もなく光の攻勢を押し潰して急降下が迫る』というのに、"動けない"のだ。


「"インフレーションでかっ飛ぶ回避がにぶい"——"何億何兆と既に起爆したもの"が、なぜ、"しけている"……?」


 なれば、"このまま居座る己の命運"に『全壊は避けられぬ』と知って恐ろしくも。


「いや、"熱の広がりが弱い"——"弱められている"」


 いつの間にやら足元にも這い寄る暗闇超自然の圧

 ——敵を固定して逃さず。

 更には、『砕ききるための台座』のようにも引力を伴った地平の面は展開して——"落下に迫り来る女神とのあいだに標的を集める"は『挟撃』の形。


「うご、けない……ッ、うご"っ、かせない——う"、ぉ"ぉ"ぉぉぉ……!!」


 光を引き摺り込むに音もなく、暗き質量は波を踏み潰して迫る。


「よもや、"奴の重力領域はそれほどまで"の……! っ、"のしかかる"、"重圧"は……っ"!!」


 対し、その様に『やはり敵も凡ゆる方位に及ぶ力』と期待通りを再認は、同時に『何処までを引かれれば終わりなのか』と"胸に危うい好奇心"すら抱いて。


「う、ぐ——ぉ"ぉ"ぉ"ぉぉぉぉぉ……っっ"……!!」


 不可視に迫る暗黒の引力——『深淵に誘う手ぐすね』の如く見え出しても。


「お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉぉぉぉぉぉぉぉ————!」


 けたゝましく、即応光勢そくおうこうせい

 今に『のめり込んだ過去の失明しったい』も踏まえ、『ちょっぴり怖いもの見たさの心』に声の波で震わす。


「「お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉぉぉぉぉ————!!」」


 大喝だいかつの、二度。

 捕えられた己ごと部分的に壊し、より一層と巡らす攻防一体の力。


「「「————お"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"————"!"」」」


 三度には、漸く。

 全方位へ震わす直ちの発気で『離脱』を果たせれば。


「——"!"——」


 その地点に入れ替わりが、音もなく——闇に茶会の一式セットは隠されて。


『"————"』


 なれば、爪を踏み落とした暗重の獣。

 "飛散した杯の内容物"に『毒々しき光輝』を浴びせられ、身を焼かれながらに苦しげと首を振る様には『踏み潰した対象が敵の本丸でない』と気付けども——。


『"————"』

「……だが、"その熱源ねつげん"——」


 揺らめくは——光輝の再生。

 散逸から取り戻す——再びの威容。

 未だ暗色の認識外に健在は、飛散する茶の煌めきに照らされても、煌々と浮かび上がる者は『暗き獣』の背後——『明媚の王』が陰影の映える画角にて。


「——"茶会セットティーパーティーおとり"だぜ」


 溢れんばかりの光輝を纏い、白銀の神が現れ出でる。


「"——"」


 間を置かず。

 認知を欺く熱に気を取られ、側面の空いた獣へと攻め入れば——掌より溢れ、輝ける熱流、光の放射に敵を撃ち。


『——""』

おとり

『——"』

「囮だ」

『——、』

「——それも、囮」

『——"""』

「それも——」

『——』

「あれも——」

『——』

「——古き神で、寄る年波としなみすら幻想に」


 撃たれては射線の源に振り返ろうとする動きを——撃ち続け。


「——果たして、我が中核に声は」

『"—、—』

「——決意に抱いた権能、及ぶものか」

『——、—""』

「——心胆しんたんさむからしめるものか」


 暗黒では押される勢いに後退しつつも、撃たれる度に踏み留まり——されど、『駆け出し反撃に移らん』と身を揺らす動作の起こりにも、絶え間なく激流。


「"安易に飛ばぬ泥炭でいたん"は、見事」

『——、、』

「だが——残像ざんぞう——残影ざんえい——"分かりきった過去への追従"」

『——"』

「——"残照アフターグロウを追って何になる"?」


 次いで、獣の後ろ蹴り。

 振り回す直線上は輝ける柱に翳りが見えても——それとて『実体のなき光学模型で取らせる背後』から、次にも光は、回り込んだ更なる背後で撃ち。


「"移ろい変わる吾が本体じゆう"——『真なる光はとどまらぬ』と知れ」


 重く裏拳に、厚き鉤爪の薙ぎ払い、繰り返され。

 さりとて王は、『捕捉の余地』も『反撃の暇』も与えず。


「だがして"せまる"には、『速度を殺すような幻術』か、単に『凄腕の放つ狂圧』なのか」

『"——"』

「"易くお前が吾の真実に追い付ける筈もなくば"——ぬんっ"……!!」


 しかして、『この広大な宇宙で今や遥か彼方の舞台へ押さえつけん』とする狂気的なまでの圧を一声の発揮が押し返す。


「——原理それも! 兎角……!」

『"——"』

「——よくも、まぁ……! "近付ちかづいてこられる"!」

『"——"』

無限大これだけ宙域膨張インフレーション』——"膨大熱量の|雨嵐《あめあらしに呑まれながら"!」


 弾き、飛ばせば。

 如何に『忍び寄る暗黒』が解呪に手を焼く極限の御業だとして、『如何な影響も干渉不可能な領域へと瞬時に吹き飛ばせてこそ』は膨張宇宙の荒ぶる化身。


「だがして、それも——!」

『——""』

「——"囮"だぜ!!」


 その背後に闇が回り込んでも——直ちに触れた光の残滓が爆ぜる『機雷』は、"位置を予測された反撃"としても。

 "攻守を兼ねた無敵の装甲"は、時に身から鉄砲水のように分離させる急流としても、"待ち受ける強襲"。


「——"欺瞞ダミー"!」

『"——"』

「——"見せかけ"!」

『"——"』

「——"案山子あんざんし"!」


 背後、恐らくの女神が迎撃されて爆発——爆発——爆ぜる火花。


『"——"』

「囮——だのに続き、"地雷原にも猪突猛進"は、"お前とて狂っておろう"!」


 暗黒で真なる光への狙いを誤り、踏み潰される擬似餌の数々。

 さりとて、重みへの反応に熱の象りが『急成長する花』のように開いても——"間もなく闇に呑まれる事実"として暗き装甲にさえ権能の維持に問題はなく。


「ッ"——"どれだけ己の頑健に自信がある"のか」

『"——"』

「——お前へは、拡散する波動。何処にも届く、光の輝力パワー

『"——"』

「——干渉を望めば凡ゆる座標に逃げ場なく、ひまのなく」


 未だ激しき攻性光の最中。

 爆心地より進み出る、"何か"。


「『反応できずは当たらざるを得ない』、『無防備にたざるを得ない』のが——"絶対先攻の優位点アドバンテージ"だと言うのに……!」


 "重苦しい靄"に、"狙う意図"とは——『指向性を持った不可視の圧殺自在』を感じ取れば、王で素早さ極まる次元の跳躍が己の眼下に地雷原の誘爆を眺める。


「よもや、"宇宙の膨張を多少の硬直ノックバックに抑える"だとは——」

『——""』

「"体が重い"——"重過ぎる"……!!」


 その後も闇の追手を回避しつつの光勢が右へ、左へ。

 揺らめく光の流麗が闘牛士のように躱しつつ、"睨み付け"の膨張インフレで、敵の後ずさる重みによって威力を低減されつつも距離を開かせ、吹き飛ばし。


「——ぬん"……ッ"!!」

『——""』


 対し何やら、"衝撃を利用して引き戻る"ような"獣からの踏み付け"には——常に暗く読み切れぬ軌道にも、"上方からの圧"を知っては瞬時に熱脚が蹴り上げ、撃退。


「でもって、凄い——"厚化粧あつげしょう"……!」


 そのようでは、幾度にも。

 輝ける宇宙での暗色に対して、光は軌跡を描く即応を繰り返し、徐々に実感を増す『超的質量』の手応え。


「今さえ、"優に五千兆を蹴り出した"のに——」

『——"』

「——『顔すら割れぬ』は"何事"か……!」


 一撃で光線の主を粉砕せんとする膝蹴り——『既に不在』と避けた王で、残された像に背負う光輝も割れる鏡面のように打ち壊され。

 でもって、"その破片すらも兵器"として斥力爆破の衝撃で乱れ飛ぶ『対神地雷』の指向性——『厚化粧』との評は『纏う闇』に向かっても、触れた途端は更なる微細へ分解、破砕、威力を潰され、無力化の。


重圧これには吾とて、気安く足も着けられず」


 左右に激しく逃れても、その暗き圧力は光の輪郭に寒々しく迫り、輝ける軌跡に対照と浮かび上がる『暴威の嵐』が起点に立つ女神を軸に『台風』の如き加工を経ても、周囲に引き込まんとする神秘の随行——"追い来る螺旋らせん"が『刺突』の如く。


「羽根を休めても——いられないか……!」


 対し、羽ばたかせる一対の翼。

 彼方へ飛翔する光は『鳥』のようにも宇宙を翔け、飛ぶ姿の後方に『落とす火種』は撹乱兵器フレアを兼ねた波状の光輝——また先に置かれた重力源の数々も斥力操作であいだはずんで避け、連続にして超速に描くたるの如き回転機動は『舞い落とす羽根』を神槍ボムとしても、敵の持ち出す渦中に引き込ませ、相殺。


「むん"! ——セイハーッ!」


 そのまま、かっ飛ぶ正面。

 隠されていた大型の落とし穴ホールには即断から縦軸に回る聖剣じみた鳥の姿——真二つに引き裂いた引力の残滓を左右に張る鶴翼で吹き飛ばす鳥神バードマン


「ふっ! ハッ! ——ならば、ならば!」


 僅かに足を止めても、抜かりなく。

 接近していた魔の手の圧も、目にも止まらず拳に纏わせた光の力が右往と左往、後背部に拍子木ヌンチャクを振り回すような動作で余さず全てを弾けば。


「"顔が見えずも神秘的ミステリアス"」

『"——"』

「誘われるまま、踊ろうか——」


 前面よりの大開口。

 暗き牙の咀嚼すら——するりと抜け出す飴玉変化あめだまへんげ


『——いいや』


 そのままの戦闘、小ぶりにして侮れぬ球体。

 障壁バリアー越しの引き摺りこまれぬ程度に大斥量を載せた体当たりは、恐らくの顎下へと突き上げ。

 次いで、獣に晒させた腹部へと無数の光線を投げ撃っては、深追いのせず、離脱。


『少なくとも今は——断ろう」


 現状の観測しうる安全な位置に、再び変化する姿で立ち戻っても——耳飾りを揺らす、気障な美男。


「"強圧のお前"に、"手なども引かれたくない"ので——"な"!」


 鋭く、斥力を欠かさぬ脚技、鉄鞭てつべんの如くもしない、時空へ刻み付ける光跡が燃える爪痕のわだちが如く。


「——ふッ! ——はっ!」


 続き脚捌きの神速にて、容赦なく、振り出す槍の束ねが赤方熱線。

 今や『無数に置かれた光の囮を追って正面に追い込まれた獲物』へと、迷うことなく直線に向かい。


「——ッハッハッハッ!」


 振り回せば、燃える嵐の如き大回転——攻撃の最中にも侵食の手は迫り、なれどの"極まった処置"として。

 蹴りを放射した脚部付近の結界が腐り落ちるような呪詛に対すれば、敵の圧力に触れかけて自身の暗く黒ずんで脆くなった各所を己が展開せし暴風に削り、分解、瞬きの間もなく壮健な輝きへと再構築。


「——"常時に迫る冷却波動"。動いていないとこごえてしまう!」


 よっても、『攻撃』と『状態の刷新』を常に繰り返す。

 超的な速度に休みなく、声に動きで圧を払い、致命の呪詛が蓄積する間もないように。


「吾で常に陽気で歌い、踊り狂ってもいなければ——」


 戦い、歌い、踊りながら、再生医療の施術もしながら。


「——心は恐れ、体は冷えて動けなくなる……!!」


 しては、超速の光で対処に忙しなくも。

 只管と『闇にも追われる戦事の時』は——なにやら、『楽しく』さえ。


「——ッハッハッハッ……!!」


 幾度に吹き飛ばしても宛ら『逆再生』、未知なる力で引き戻る重い装甲に『口先だけでない固辞』の姿勢。

 先に『相応しき君主の振る舞い』を語った者は"真面まともらしい事"を言うようで、その実と今や行いは"宇宙を弾き飛ばす猛攻にも砕けず"の、『狂気を思わせる気迫』に相違なく。


余神よじんに"斯様な体験"——できるだろうか」


 よりても息巻きながら、正に『吐き出す気炎』は先の飴菓子の残りを光の線で熱して、気化させ、繊細な糸を巻くように光脚乱舞。

 鋭利なる超高速を撃ち出し、纏い続け、背後へ寄せ来る敵を『ビシッ』と蹴り、『バシッ』と弾いて、幾重にも巻いた『大蛇のとぐろ』が回りに回り、揚々と。


「いいや! "今この瞬間"、"一時いっとき"は——"われに向かう敵意あじわい"なら……!」


 次の眼前には、何処よりとも繰り出され、無数に浮かぶ不可視の渦穴。

 それら、射線に捻って呑んで光撃を阻害し、また引き寄せつつ敵に向かう超重の絶技だとして——その無音なる殺伐を身近にも思っても眼光で切り刻み、鋭く持ち直す銀の眼差しに『一瞬たりとて失策を許されぬ』とは"待望とした極限の現状"に燃える。


「いいだろうて——受けて立つ!」

『"——"』

「いや、"真っ向には受けない"、"受けられない"——"受けたくないから避ける"けど……!」

『"——"』

「一撃だって驚嘆に値する。何か避けた先に時空が『グニャッ』と!」

『"——"』

「——吾は滅茶苦茶に目が良いから、『音もなく忍び寄る重圧で宇宙が潰れた』と見えるけど……!」

『"——"』

「"けれど"、正常な磁場も奪い去られ、戦うどころか立ち向かうにも常時と力場を創り出さねば——"だけれども"」

『"——"』

「その"苦しく"、"儘ならぬ"は『不自由ふじゆう』」

『"——"』

「即ち、"不自由おまえを打ち倒せば"——"僅かにも真へ迫れるもの"か!!」


 跳んで、舞い、蹴り、踊り。

 重圧を押し除け、歌い上げるは高らかに『己の余裕を見せ付けん』として自発的な鼓舞の振る舞い、また『暗澹の化身を戯画化せん』とも士気を高めて立ち向かえば。


「はっ——"次なる"は如何な御業か!」


 対する暗愚とて、傑物。

 "ただ無闇に最速を追うだけでも脳がない"と判断してか、一時的に間合いを変えて『潜む』ような拍子の静謐は『泥炭の沼に沈み込んだ』ように音もなく時空の裏へ隠れても。


「"押して駄目なら何とやら"——"ただ時空断絶に隠れた所"で!」


 己を中心として発揮するインフレーションに迎え打つ王とて、ただ未知に驚くだけでなく。

 囮を追わせる敵に撃って応じるだけでも埒のなければ——"先に撃破"し、"勝利"を。


「世界を照らす——"光波反響定位サイファーエコーロケーション"」


 潜む正体を探るは『上回って倒す』ため、"未知なる敵の権能"や"弱点"を穿鑿せんさくせし分析は、改めて全天に伸ばす微細な線の連なり。

 たとえ、"暗黒の化身に明確な姿形を見出し難い"のたとして——以て『暗くて見えぬ』という情報から逆説的に位置を特定する。


「どれ」


 つまりも、"送る波を用いた反響定位"は『進む先に光なし』の情報を——即ち『闇に呑まれる消失ロスト』という事実で"不帰に答え"、探知し難きを探知。


「信号——"途絶"」


 そうして、"信号を返さずとなった時と場所"にこそ、"その座標"にこそ『問題があるのだ』と報せし光波。


「即ちが——"光を届かせぬ神の居場所"」


 "直進する光の消失点"に『未明が在る』とし、流流には次の手。

 先行させた探査の線よりも太く厚く、送り出す光球ビットが、"陰る少女の所在"へ向かって送られ——『近辺で静止させられた』なら、その『僅かにも揺らいで圧壊する一度』で影響範囲を見極め。


「——"そう単純なものでもない"、か」


 しては、"敵の重圧に触れるか・触れぬか"の直前に、遠方のディオスで光球を押し出す拳の動作。

 危険な敵には触れず、"間接的に衝撃のみを伝える慎み深い攻撃"なれど——"呪詛に食いちぎられる光輝の右腕"。


「『一度で見切った』とすれば、"浅薄"に——"闇で付け込む多段の罠"」


 だがして目前に潰れるものが囮なら、痛くも痒くもなく。


「宛ら、『常に形を変え続ける暗号キー』のように——"奴の纏う反撃で明確な形を示してはいない"?」


 使い捨てる囮も既に完了した『爆弾蜥蜴ボムトカゲの尻尾切り』——"食らわせて爆ぜ飛ぶかすみ"を眺め、洞察の王で難なく。


「"重力領域は分かり易く『少女』や『真円』の形をしていない"——"絶えず揺れている"? ——剰え、"波打つ不自然"の」


「ふっ! はッ——!」

『"——"』

「ふっはッ——!」


「……よっては此方も"更に慎重かつ大胆"、"荒々しく精密"に」


『"——"』

「——ふッハッハッ……ッ"!!」


「——捉え所のなく偽装フェイクも混ぜ、"惑乱の波"を打たねば」


 腕を組んだ考察にも、『囮に追従する敵』を眺め、語りながら声と振り乱す髪で光の粒子を散らせば。


「攻め込むとすれば、忍び寄る気配が微かに——ている、るな——よっても先置く、攻撃」


 瞬時に広がる粒は『泡』となり、その形式に己を含んでも弾け、何処ぞへと姿を吹き飛ばす。

 つまりも『重圧に呑まれようとした世界からの退却』では、追手より速く『新造した次元の移動』を繰り返し、常に一定以上の距離を確保しながら戦い。


「だがして吾も『必殺』のつもりで『小刻みジャブを放っている』のだが?」


 新たな白銀世界に飛び出ては、空間の色を掬うように次元へ刻む指捌き、足捌き。

 宛ら、『輝きの湖面から顔料を掬った筆捌き』の一つ一つに流れるまま『龍の印象』が飛翔しては——間もなく、次元の壁の圧壊と同時に顔を覗かせた暗重の獣へと光龍軍隊が飛び付いても、爆散。


「突き進む貴様。"本体にはさしてダメージが届いていない"——『ひとつを回復する間に五千兆を削ろう』と思えども、実態として其処までは」

『——』

「よもや、『事象の地平にのみ実体を表す女神』なら、"幾重にも膜構造ブレーンを纏って少女しょうじょ"——『低次ていじ』に敢えて光輝絶大パワーを『単に熱』として処理も易くするのか、どうか」


 細かく攻勢の飛び出す様は『群れなすちょう』の如くも——闇に触れては『更に』と溢れ、爆発の大波おおなみ


「さしてもダメージ、決定打に遠く」

『——""』

「推し量るに——"何やら重いものを着ていて"」


 熱き激流の連続に繰り返し女神の気配を打って——そうして『平穏無事に立つ』ならば、"敵も無敵に近しきもの"。


「"お前も持っていた"か。"触れれば撃砕"にして、"認識困難に襲う神の極地"」

『——』

「其は『不可視インビジブル』にして『無敵インビンシブル』——『えざる無敵むてき』が『おう』を……!」


 即ち、"互いに無の脅威すら超えて今や全土に届かせる力"。

 より正確には『捉え切れぬ迅速』と、『流路圧壊によって光を反射せぬ』が故の『不可視』を敷き合っては相殺し——『必殺』と『必殺』の"殺し合う連鎖"は、"先に手を緩めた神で呆気なくも押し切られる"だろう。


「——言い喩えて『必殺を殺す必殺』なら、"未だ食らっても無問題の真相"!」

『"——"』

「"さきさき"に対して、"あとさき"!」


 しても、光で敵を推し量れば——『後手でも動く』は"反応装甲の発展系"?

 ——"よもや垂直の被弾にも応じて"?

 ——"波状の闇で常に『三十の角度』を取れる"ようなものか?

 未だ詳細な絡繰からくりに仕掛けは未明なれど、そうして差し迫る実態に『飛散する瘴気の破片も全て危うい呪詛』にあれば、『攻撃を加えた同時に間一髪での回避』をも抜け目なく求められ。


「『後手ごてでもまるで問題なし』とは——」

『——"』

「——"迫る攻撃が如何に速く多くとも"、"咫尺しせきに至れば押し潰す様が怪力無双"……!」


 さりとて、"一時退却に過ぎれば"——"その間にも万全と闇の色を塗り直す永久機関の装甲"が、厄介。

 しては、『やはり接近の危険リスクを冒しても究極の連打で貫徹を狙わねばならぬ』のか——超速の錐揉み回転で宙を返る蹴り技に、龍を巻き立てる旋風は、心に底冷えしたとて『前に、前に』で攻め立てる。


「其も恐らく。"引き絞るだけで体現する武道の極意"は"強圧を伴う誘引"で——『当たるから当たるのだ』と"因果収束の拳能けんのう"!」

『——"』

「——確かに、"最たる重量これは当たる"。"世界で最も重い相手"に『引き合い』で勝負しても仕方なしなのだ」

『——""』

「因りても、"先んじて当てる"。、当たったわれが使い切りの、一部は切り捨て飛ばす衝撃波ショックウェーブで因果を騙し——よっ、ほっ、はっ!」

『——"、——"、——""』

「少しずつも逸らす気で君の態勢を崩し、めちゃ危険領域より脱し」

『——』

「殴る飛び道具を重ね、"安全圏より続ければ"——!」


 それら隙を見せぬ攻防に付随しては、互いが有する『不老の論理ロジック』も垣間見えるだろう。

 片や閃光、『老いるより速く』の新造再生——もう片や沈黙では『老いという変化さえ進む余地を与えぬ程に重く』、両者、酸化に風化は劣化の波すら寄せ付けぬ極限の色調。

 老成しても"老化を拒む不敵"なら、"老いも付けぬ永遠の若さ"で衰え知らずの気勢。


「——しかして! いと迅速なりて圧倒的火力のパワー! 何を成すにも先を行って、極北に立つ王の光を見よ!」

『——"』

「いくら潜み、企もうと、陰謀の糸に絡まる余地なし!」

『——""』

「"まだまだ上がる"ぜ——吾が大宇宙速度だいうちゅうそくど……!」


 背後より迫る質量。

 対し、ディオスとて己が身に負う宇宙そのものなら、背筋より吹き出す炎を翼の形に展開、迎撃の刃で敵を呑み。


「"諦めよ"」

『"——"』

「幾ら分厚かろうが、インフレーションを与え続ければ終わるだろう」

『"——"』

「ただ暗黒のお前が生を得てから今日に至るまでの備え、"その幾星霜に作り上げた防壁すべてを貫けば良い"のだから——無限に対し、防戦だけでも耐えられず」


 加速、撥ね飛ばした勢いのまま、更なる加速。

 煌めきに鱗粉を纏いし、美丈夫によって捉え難き速度に間延びする時間、忽ちに奥行きを見せて広がりし空間。

 即ち、新たに無数の泡沫バースを生み出す力でも、拡大インフレーションの真骨頂を担いて振り返りの際に眼力で撃つ多段の一蹴——飛沫を上げ、"吹き飛んだ先に暗澹たる動作は静止する"。


「……まったく。"多数の宇宙が一目に吹き飛ぶ"を受けて、『ごくごく僅かでしかかたむかん』とは」


 さしては、"緩慢に過ぎる老婆"を眺め、『速き者の退屈』が再び。


「"秒の細部に至るまで五千兆のような激の連続が必要"とならば……はい、はい、やってやれないこともなく」


 超的な気質での乱高下らんこうげは熱し易く、飽きるにも速ければ、残る『相手を撃ち続くだけの単調な作業』を思っても嘆息たんそくは混じり。


「『どの次元に逃げても程なく肩口に薄ら寒い重みを感じる』までは良く……"病的な気配"に、"執念の御業"、奴の"何処までも届く相互作用"とは、果たして真に限りなく?」


 全ての玉指に巻き付く指輪や、摩耗し続けた光輪の耳飾りを暇にも磨き、仕立て直して、『眼下に見える武舞台を目指すよう』と苛烈の雨を撃ち続ける。


「……"抱けた興味"は闇の中。真相は兎角、原初の神を打ち倒し、『ばらしてみぬ』には如何とも」


 光の降りしきる間も、激する音は置き去りに。


「……それまで、『遅きに過ぎる老婆に待って』、『撃って』、『再び結果を待つだけ』の、作業」


 ただ広がりし、静寂。


「……やはりも、『どんなフリフリメイド服、着こなしてやろう』どうのと。気を盛らねば、楽しみがない」


 孤独な王だけの世界。


「正に一度は『しのぎを削る』か如く、"勝負らしい勝負"も果たしてみたかったものだが——憧れは、遠く」


 敵は止まり。


「斯くして、吾が"超速飛光ちょうそくひこう"も、のろいお前へ"様子見に合わせていたもの"を一層に念入りとすれば……"こんなもの"」


 落とす肩に合わせ、振り落とす粒子も全て槍に。


「宛ら、『静止した時の空間に己だけ不正ずるをするよう』で本当に虚しく」


 欠伸けんしんは、その暇を持て余す間にも『更に更に』と高速に分身を残しながら。


「『他なる存在』を知ったときには期待したものだが……お前も、"同じ時を過ごしてはくれぬ"のか」


 "予定調和の翻弄"に、"好敵手ともを置き去る哀愁"は、最速に生じて何度目か。


「ゲラスも消えて、グラウは腑抜け。記録係きろくがかりで後追いの様がい子らも眠りに付けば——……誰か、いないのか?」


 数えるにも飽きた失望の気は、自省すれど、しつこく。


「"直ぐに吾の声を聞けるもの"は——吾に、"吾の光を超えられる者"は……!」


 い、ねがい、嘆かずにもいられなくば——。


「……さしては、『絶対の壁』であろうと、"完璧でなければ"——"崩壊はあるもの"と」


 "いな"——間もなく、そのような余裕がなくなる。


「今よりは、"情熱の燃ゆる意地と信念の競り合い"でなく、『その身が全知全能でないことの証明』、『分かりきった不完全性の実証』に感情を挟む余地もない『実直無比な記録者』として臨も————」


 かねてから備えていた警戒態勢では、宛ら『侵入者に犬が吠え立てる』よう——『安全地帯を脅かす変数の感知』に"聞こえ出す警告"で音が鳴り。


「「「「——うぉ"……"!!?"」」」」


 囮でも一様に驚き。


「——"これ"は」


 笑んで。


「——静止した時を行く掘削攻性ドリルライナー


 "未知なる隆盛"に、身構え。

 重圧で、急激に、より多く光の擬似餌が潰され始めれば——反射的にも見え出す。


「"限りないのは未知の力"——"暗黒ダークネス"!」


 "侵食する闇"が、光との間に境界を生み出し続ければ——その形、"づる深淵しんえんけもの"。


「"おどろしい"ぜ……!」


 敵を下方へ押し付けんとした勢いをけ——いや、"食い散らして地平を登る"は『牙』か、『線を引き裂く糸切り』は"獣が成し得た反撃"なのか。


「平たくは『追従ついじゅう』。如何に相手が速く動こうと『其処に熱量や質量の変化はある』のだとして——"吾の光を追う"ように、"紐付けてくれたな"!!」


 真相は未だ明らかでなくば、『岩盤を削る』如くも多大な時空振動を伴って鈍行どんこう——しては、"孤独の壁を突き出た波状"に声が鳴る、高鳴たかなる。


「ふ、はっ! なんだ、それは——"気持ちの悪い動き"だッ!」


 動作の様は、気体や液体の如く。

 即ち『流体めいた暗色』が折れ曲がりながら、流路にして先の王が見せた錐揉み回転の軌跡を追うように——"未知なる神で時を振り払うほどに重圧が増している"。


「軽快に避けて見せた後にも『ガック、ガク』と方向転換、追ってくるは——より、"近くに"……!?」


 よりても、"失意への着火"を果たせては、歪む口元の吐息にも隠し難い気炎は載って、王で火を吹く様。


「フッ——超光ここまで、"せまれる"のか……!?」


 再び声を張り、飛ばす確認攻勢——暗き重みの吹き飛んでも、"忽ちに跳ねて返しの刃"が『応酬』の意を示さん。


「"聞こえている"のか?」

『——』

「——その暴れ調子だと、"聞こえてない"な?」

『——』

「ふ——フ……ッ!」


 それも、『光で全天を照らしていなければ色に認識すら困難の暗黒』で、『宇宙を潰せる不可視の拳?』か『蹴り?』が凡ゆる方向から底冷えの圧で以て襲い——身の震えれば、『迫られている』のに、いや『なればこそ』の光でも更に激しく、煌々と。


「——"なんだってい"か……!」


 より暗くと対峙して、表情も権勢も、より眩く。

 照らす先とて更にも登り、"乳海の裏より現れ出でる者"が——宛ら『輝界を行く砕光船さいこうせん』。


「『速力の劣る身で動作は間に合わず不能』でも——"事前に取った攻撃の姿勢"に、"重過ぎる玉体からだ"!」


 光耀に満ちたるを侵食し、熱の権勢を食い破らんとするは、静止したはずの時を掘り進む。

 此処にたとえ、『光を超えた速度の展開する時空りょういき』が『鈍重な己には認識できぬほどに速く』とも——"接触の際に鎬を削る以上は干渉しあって然るべし"。

 それも、『触れた』なら『付着』の隙はあるはずと、何やら『覚えた匂い』を嗅ぎ付けて?

 委細は誰も知らんが、事実、不可視の重玉体に『光に向かって急激な加速をした』と思えば、唐突に『停止からの狂った姿勢の方向転換』も織りまぜ——尋常ならざる『引き』と『止め』のあっては、やはり動物の成し得る『滑空』や『飛行』と言うにも不気味の極まる動作が"古代よりの神秘"で。


「"落ち続けることは出来る"のか」

『"——"』

「"落下"。それも——"在るのみで時空を破る凄烈せいれつ"は!」


 "深海より浮上する"も、巨大な影——"這い寄る恐怖"を喩えるなら、"深く青々と濃縮された水面下にもうごめき"。

 足下を『得体を知れぬ魚影』が通りがかったようにも、神の実在は支配的な圧を伴い——背鰭せひれの一振りに、ひしゃげる空間。


「——『こう』に『いん』すら"矢の如し"」

『——』

「我が権能、"全ては眠りの一瞬に済ます御業"なれば——"その対処にも能う女神"で、"眠りながらに覚醒している"」

『——』

「はっ! よもや"凍れる時空の中でも動作に限りのない"——"イカれた磁性じせい磁鉄鉱じてっこう"?』


 観測者の座する角度によっては、"常に放つ不安定の波形"が『棘皮の蜥蜴ウニトカゲ』の如くも、『鋭利な装甲を全身に備えた不可視の獣』——王を目掛けた胸鰭むなびれの振りに、空間を引き裂きながら。

 諸々のとげし折る光の波を圧縮し、触れた時空を伝って捻れる重圧の連鎖は——"差し迫る暴威"が光景へ見え出した時では既に、喉元へと。


「それも宛ら、『不凍液』。"血流に混ぜる糖"の、"不純の利"?」

『——』

「若しくは、"落下の速度に際限なく"、"超常の重量"?」

『——』

「よもやは、"鋭く尖った粒子ごとに触れ立てて騒げる音の集い"?」


 激震——輝ける囮では複数の首を同時にさばかれ。


「恐らく、"己の流路すべてに常時稼働の未知なる引力を混ぜ込めば"——」


 それら本体にとっては『幾らでも作り出せる分身程度』など、一体も、二体も、何百何千とれてやって、弾ける。


「"時の止まる最中にも決してこおらぬ暗黒物質"——とは」


 弾ければ、爆発ごと輝界に睨み、眼力の押し返す先にも——『未だ染めきらぬ闇』が在り。


「貴様とて創世神格なら『時空どうこうできよう』と推し量っていたが」

『——』

「其れも、我が『速度』のよう『置き去り』にするでなく——『重み』で以ての『縫い止め』?」


 激しく光の熱的振動を加えられては、散らす呪詛が活火山より溢れし岩漿がんしょう

 融解した神で冷めやらず、固まりきらずのまま、『生ける溶岩流』の如くも押し進む——未だ計り知れぬ『暗黒の質量』とは。


「無を超えて届く、無限の作用」

『——"』

「空間に無数微細の穴を開け、"その僅かな隙間により速く落ちる"のは、重き者」

『——"』

「"引き込まれても谷間たにあいに風が通る"よう、"余裕のある空間に重さが雪崩なだれ込む様"も——決断的な動作の秘密?」

『——""』


 さすれば、推測する最中にも。

 再び引き戻る獣の気配へ——撃ち込んだ右の正拳突き、肘の先から右腕を捻じ切られ。

 だとして傷口より漏れる噴出を『刃に仕立てる連撃』とし、迫る怪物の見えざる玉手と切り結べば——爆ぜる勢いで脱するまま、繰り出す右の回転蹴りも捻じ切られたとて同様に抜刀、左脚も同じく、左腕の同じく。


「"自らを吸い込み"、『動かさせて』も大質量」

『——』

「そうを思えば、"適宜に隙間へ蓋を"して——『立ち止まる動き』の"荒々しくも理性的"なれば」


 一時には王で『手足に刃物』が刺々とげとげしく、四肢をがれた様子が多分に猟奇と思えども——揺らめく炎の輪郭で速やかに整えられしも五体。

 神察の推理に息吹くまま、声や身振りに流れ出た威流に光を拡散させ、再三に宇宙を満ちる針の山が逃げ場なく獲物を炙り出す場にあっても——未だ。


「"狙いを定めし暴虐"とは——」

『——』

「——"王殺しの魔法"」

『——』

「其れこそ、"暗黒おまえで名乗る"『大いなる獣ト・メガ・セリオン』」


 未知なる質量の、健在。

 未だ大いなる光神の技に推理も、"闇に秘された核心"を貫かず。


「——"吾が傑作むすめとの接敵で何を掴んだ"?」


 照らされて見える闇の印象は、またも変幻——細かく神出と鬼没の位置を変えるは、野山に跳ねるうさぎの如く。

 跳梁跋扈ちょうりょうばっこの色味を得ても、『意図して外すかせ』の式——よもや『見境なく全て討ち滅ぼしてしまう暴虐』を、今に『敵しか存在し得ぬ場』で適切に引き出す服装規則ドレスコードにも。


「——"何をどうして獣の女神から"、"学べた"?」


 どれだけの波に打たれようと『不屈』、『止まらぬ不壊』として、凡ゆる負の情動すべてが此処に一つの化身と相成った者では、たとえ宇宙の灼熱業火を受けても終わらない——やはり、『終われない』のだろう。

 其れ、『あくまで少女の身を堅固にしばる秘法』とは。

 多くを口外しない当事者で想像には難く、どれだけ熱く、苦しく、痛もうとも——"偽りもないだろう真実"としては、『様々な苦楽に悲痛の多種も知り尽くす』のが大神。


「"己の都合に乱す時空"——」


 凡ゆるを有して漠然にも、『動き出す理論』として、かつては『咄嗟に身の動く反射的な動作』を『被虐児の身に刻まれた恐怖』という形で説明したが、"攻めようとする今"においては『加害者の目線』からも解こう。

 それも、喩えるなら——"無意識の悪意なく"も、『感情的になって他者へ直ぐに手が出てしまう』ような。

 例が頻出する場合として、時に『親から子』へは、"日常として刻まれた悪癖"。

 即ち、"被害者が加害者にも養育される"『再生産の構造』すら——今は『戦術に利用』して。

 親から子へ身に教え込まれた『子殺し』の"消えぬ痛みの記憶"は、同時には『いずれ親の資格を得る者』に『保護者として失格の烙印』を押した『親殺し』の。

 しても、『苛まれた子』の果ては、『成り果てた親』として。

 世界の化身は『何方でもある』なら、暗黒の大神という彼女自身も前身たる世界から産み落とされてしまい、否応なく影響を受けた者であり——いや、今に述べた痛ましき理屈なども『分からず』なら、それでもよく。


「——"破滅を齎す鬼神きしんさま"……!」


 現に眼前、『打ち倒すべき巨悪』を見据えて。

 つまりも、『創世の大いなる神』にして『世界の父母たる化身』を前には——『悲しきさが』と『戦士の極地』を織り交ぜ。

 蓄積した過去より凡ゆるを統べる大神では、『身に刻まれた呪詛の疼き』を『反射的に飛び出す自動の迎撃』としても——『神殺しの力』と編み上げる。


「正に『荒れ狂う女神』は"愛娘グラウのよう"で——!」


 此処に、ねたみ、ねたまれ、その終極たる化身は『忌むべき全てを呪わん』と。

 謂わば、『形に縛られる呪い』が『自縄自縛の錆び固まった装甲』と利用しても『易々と砕け散ることが許されない』——静止した時空の中にも『己が形式を脅かすもの』へと呪が反応し、『他者がいぶへ責め立てる敵を求める』は浅ましき執念の獣。


「——無言に猛々しきは、何らかの『複写』を行ったな!」

『"——"』

「『精巧な影を写す』ように! "一瞥いちべつに中まで概算できよう己が究極"によって……!」


 過ぎたる重みは、今や再び己が暗領アビスより、陥没ふじょう

 見えては『深海より這い出る』とも、闇の獣で重厚に過ぎる鱗を纏い、通る道の歪曲は時空連続体にすら強制作用とする超重。

 未知なる権能の行使に際し、女神を中心に『左に』、『右に』と、"不規則に力場を巻き取る陰影"——触手を蠢動しゅんどうさせる怪物で鱗の裏にも超的な渦を抱え、"己が進路に敵の身柄を引き寄せる"。


「"気勢を折る"に、『巡り巡って敵を自刃させる悪辣な呪法』だ!」

『——""』

「『大神を殺すための傑作けっさく』も、出来よく真似れば『真に迫る』と……!」


 しても、未来の予測に先立ち、輝きの王で躍動する龍脈は、身の深奥より続く赤き流線形の刺青いれずみから。

 息吹かす手先が俊速多段の『創世拳ビックバンナックル』——自らの置いたきらいごとを散り散りに、暗重のしゃちほこを彼方へ。

 連鎖する爆発は、攻性へ編まれた乳白の色で『血の気の赤』も帯びて、塗り替える世界に敵を払い——しかしも、吹き飛んだ直ぐさま果てより迫る、陰気。


「そこまでの眼力を有すれば、状況そのものを複写して、数ある敗北パターンを蹴って、戻り——『己の勝利し得る未来を虱潰しらみつぶしに探す』のだろうが……」


 撃たれて飛散した己の重量も間もなく引き戻す様が、"触手を携える獣装甲"。

 光の攻勢に押されて後ろに向かう瘴気の印象が『尾』のようにも、禍々しく伸びて。

 周囲で夥しく『磁力線の歪み』にさえ『たわむ流線の形』が見えれば、——『開くつぼみ』の如くも、鎧を模る各一筋が『花弁』じみた輪郭に。


「しかし——しかして」


 其れ、対峙する王にとっては『呪詛で編まれた花』の如くも——奥底おくそこに女神のすだろう渦を中心に、外へ伸び行く放射状の罅割れ。

 けれどの事実として『光輝世界に侵出する魔の手』を、見遣る認識に『警戒すべき印象』としては、たとえ『艶美』に『怪しく』、『濃厚な毒気』を『色鮮やかなりて紫毒』と見ようと——幾重にも花弁を撃ち、飛ばし。

 "撃たれる度にも彩色の異なる濃淡"は——『未知の花』に学者の魂が騒ごうと、無防備に寄ってなどいけず。


「荒々しきは、"けもの"。機械的には"自律機動工学ロボティクス"」

『——"』

「いいや、敢えて平易に言い換えても『ケモ』に『メカ』で、重く鋭き爪牙そうがの『魔剣使まけんつかい』」

『——""』

「何より、それら——"万能これを成し得る"が『少女しょうじょ』では」


 だとして、『見えるもの』は何だ。

 観測する立場によって、その時、その場所に、『最も魅力的な印象』を思わせる『未知への期待』でかぐわしく。


「『極まる理想』の様態——そうだ、"まさしくの多知万能"」


 闇を撃ち続く閃光の破城槌はじょうつい——対し、四方八方に引力の渦で姿勢を制御し、『弓を引き絞る動作』のようにも宙を行き交う超的質量。

 しても、速く、重く、互いに見えずでも、"衝撃の瞬間に浮かび上がる闇の印象"が悉く違っても楽しければ——『女神アデスとは何か』、"結論を何処どこに置こう"?

 また『己にも何を見せる』、『どの未来で楽しむか』——神察なる王の算術は瞬時に膨大多数の結果を流し見て、決し、意識は今に立ち返って笑う。


「ふっはっは。斯くもれば、"全性ぜんせいそれらしく"も——そうだ、そうとも、然りだ、『同類とも』よ!」


 己とて、燃える王に。

 指で弾く、恒久の光——時に『恒星の放つ一秒の煌めき』が、『並の惑星生態系では百億の経年でも消費しきれぬほど』であり。

 しても、"逆説"、『百億年に渡る生命活動も一瞬に込められる』。

 また『熱の力を操れば膨大な歴史を秒の間に圧縮できる』のだとして——当然、光の王で放つ『一瞬』が、"長大の歴史的成果を圧縮した極まる神の絶技"であって。


「そうさ、それこそ——『世界を統べる者』とは……!」


 けれどは、その、"互いに凝縮されし玉体"。

 一ミリより更に僅少の単位にも『扱うに危険な力を安定させている』。

 よっても即ち、『どれだけ膨大なエネルギーを一つの体に巧く収められたのか』が、"外交も兼ねて小さくした見目に技量が結実して表れる"なら——『ディオス』と『かつて垣間見えたアデスの印象』で、"その差"、"恐らく背丈の数十センチ"。

 その、"僅かな差"は、"僅かゆえ"にこそ、『徹底的に詰められた深淵の御業』に『狂気的なまでの執念』が窺える——窺えてしまえば。

 また、『攻撃に晒される表面積を極限にまで狭めた境地』において『敵の方が小柄に極まっている』と知って——仮に『前身となった宇宙の膨大量』を『己』という『一身に収める』まで『何を』と。

 たとえ、仮にも共通して『少女』のテーマで形を成そうと、『あれだけ小さきままに全権能を永続して運用するは難しく』——だがもし、『相手には完璧と出来ている』のだとして『危惧』の念も抱かざるを得ず。


「『万民を解放に至らしめる者』とは……!」


 つまりも此処に『完成度は、更に』の『未知なる存在』が恐ろしくも——果てに王たる神は『真に強敵』と、"相手を認める"が故に。


「我ら——『王の中の王』とは」


 己が優勢を盤石とするため——"新しき手を打たん"。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る