第一章『邂逅』第三節
第一章『邂逅』第三節
——某日、某座標。
(——"指の飾り"も綺麗なりし。なれど、"戦闘用の
幾つか
(……宛ら塗装に用いた水溶液を、"その流れるままを
内に多く『
以前に件の女神と『喪に服す装い』から転じて『
(——果たして、仕組みを聞いても良いものか……"純心に尋ねる
その待機、暇を潰す理由。
凡そ千年前の先刻で女神テアより『喪服の多様なる形式を自作の図鑑に纏めて持参の次第』と報されては、急ぎ調整した二度目の機会に
(……"
眼前の垂れ幕で揺れようと、音を隠した動き。
相手が由来とする物質界に曰く『花弁の色形や性質に見る"花言葉"なるもの』でも、今日は『"含みを持たせた表現"についてを女神と論じよう』と幾つかの試作も持参し、実物の一つを懐より取り出して見れば。
「…………」
"造花の黄色"を、流し見に。
暗中に姿見も浮かばせ、試着のようにも耳元で宛てがっていた少女の御機嫌は——なれど、"
(……何より、女神テアは博識で在っても、未だ実例に乏しく。興味に聞き知りなだけの好奇心の塊で、
そう——正しく衝突による"
"運ばれるように誘導された
(よりても『
日頃から『巡り合いを難儀』と言えども——身を以って実演することになりしは、"過激な思想との衝突"。
(……そうなのです。『外交』の此れ、決して異なる世での
言い転じても『
("あくまで
————————————————
『——ウォ"ォ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"!! 理不尽に抗え! "
上述の威勢、過去には『神産みの儀』。
当時には『自らの燃える右腕』を再三に打ち鍛えるものとし、その『閉塞を斬り開く期待の切断』によって独立自我を形成したものが謂わば『無敵の大神に傷を付けて』——『
『——"
もう片や、『自由』と『"それ"に縛られる不自由』の『自己矛盾』や『何か小難しく気取った? ——それら一切合切も、ふきとばせ!』と、ひたすらに苛烈。
なれどは大神に『【滅ぼすなかれ】と良心の
『既に【
即ち、『大神を
不自由に悩み、悶える自由の王——『自らの居たたまれなくなった』が故の、『他者に見る理想』を形として。
『例え
よりても、
王の嘆きに
内より輝ける王自身の
『我らは、違う。完全に同じ軸、座標には存在出来ぬ
つまりも、『己から分離させし』は『加速する風』と幾度となく身を撃ち合い、遂には『切断した腕』の鋭利で——神。
また『良心』や『善なる』をはじめ『【自由】と【横暴】の区別し難くも悩まねばならぬ』と、『近似の問責に苛む頭』を叩き割って生まれたものも——神。
『新たな誕生を
降臨は、時空の加速を経ても『忌まわしき諸事の超越』を狙う王で嘆きが作りし
————————————————
その熱量、"そのもの"は。
描く直進の光波——
また、標的が接近へ気付けるだろう距離には、既に身を焼かれても——いや、"気付けぬまま"の直後に。
(全ては、『都合の良く』と進んでもらう——)
唐突、刺突。
貫いたのは、
今この瞬間にも『耳に吊り下げる道具で飾るなら、"穴を開かぬままでも無傷"が【無敵】の表象』——そうと考えていた女神の身で『
————————————————
「——ふぅん。そうして? 熱戦でも『親と子の微笑ましい一幕』は『キャッチボール』のようなもの。謂わば『
よっても鋭く眼光、宇宙を駆けた軌跡。
産み育てた神で、見送る視線に晴々しく。
此処に『戦いに始まり、終わるにしても戦いへ殉ずるべし』・『戦い、戦い、戦い、戦う』・『それこそが』——『
「
"
「……あぁ。
言葉を残して、戦闘の推移を見守らん。
「しても、
————————————————
("私のため"、それだけの————)
生後まもなくより母体の神王と切り結んできた神で、闘争激化の
及び、加速し——遂には先端より膨大に吹き出す光のエネルギー。
重ね重ねの、波状の刃を常に新しく入れ替え続ける
剰え、『目まぐるしく戦況に応じても照射の角度を微細に変える』は"意思を持った武器"のようにも『頭頂での突き立つ
『——G"r"r"r"r"r"……ッ"ッ"!』
刺々しく炎、光で象る鋭利な
生来より纏う
鎧の形相は伝承に名高き『
中心部に一際輝く横長が
『——Gu"u——a"aaa"a"a"a"aaa——ッ"ッ"!!!』
至近に『未知なる暗黒』を感じ取っては、玉体の節々に関節の各所から溢れ出る光炎の奔流を更に研ぎ澄ましても——全身より突き出す
光の圧縮して放つ烈波、重ね掛けの
両の手に
(——————)
その襲撃者は『無を超えて頂上』の、突き上げられる女神に合わせても空間すら拡大を続ける光輝無限の体現者。
だがして、"世界の化身たる暗黒"でも各種の技量は極限の名手に在れば『万が一にも貫かれぬ万全の備え』を『無敵の防御として着込んでいる』だろうに——
"貫かれたのか"——その論理的帰結も、簡単だ。
かつては『無を討ち滅ぼす』という名目に"
つまり、『世界の構造を切り崩すための緻密な計算で練り上げられた神性』が——敵が強大であれば殊更にも『世の転じた大神』ですら、現に『格好の
動作に順を追えば——瞬息の一手で空間を満たしては、全方位に走る光の奔流、『位置が不明の闇』をも吹き飛ばし。
次に『重くも激突の手応え』を以ては『ほぼ同時に繰り出した二手』で、より正確に敵を撃ち続く軌道修正の動きから『屈折した
(——————)
輝いて、晴らす。
闇の防壁ごとに身を貫いた武装は、腕と甲に添えてあっても、
宛ら『獣の爪』のようにも腕の延長線に突出し、煌めく星より放散する光の線を『
即ちも、"足音を置き去りにした接近"に際して、そもの『攻撃された』という認識すら未だ獲物でなく——それこそは『敵に対応の意識を持たせず』の"
「——『——G"u——a"a"a"a"————ッ"ッ"!!!』
しかして、効力を発揮した備えの一つには、女神テアへ宛てた『身の安全を
自身では、無への駆逐で異なる区間を担う『襲撃者』と『標的』で、"端から端への距離"が有れば、少なからずも『異変に気付ける
貫かれし玉体は己が意識に認められずとも、此処に『吹き飛ばされる身』は、"ただ既に起こった事象"として『数えきれないほどの天体が己に
(————")
即ち、『敵から我が身に触れた』のなら——それは同時に『私が敵に触れた』のだとも言える。
よっても、"予測可能な状況"。
"常に疑心暗鬼の大神"にとって、"凡ゆるを想定した狂気"さえ有して当然であり。
敵を『繰り返す八つ裂きの無限にせん』とする激烈の力に晒される中——"遅れ"を取っても"原初の女神"。
「——■『——"!"』
此処に『謎の作用』を及ぼしては、対峙していた急襲の神——電撃的な一撃の後で、"その神の矛が急激に重く"。
相手を貫いた腕の手応えが、緩慢にも『沈み始める不可解』と知り。
さすれば、件の破壊神で『甚大な異変』の違和感を感じ、『一旦に飛び退こう』としても——
「——■■『g——u"、g——ッ"』
宇宙の
既に"
槍の動作は掌握され——よもや、"少女の身の丈より大きな武器"が?
疑わしくも事実として、『正中を狙った必殺の技量』は、未知なる神の纏う圧力によって強引に目標を『肩口へ』と"
「——■■■『——g"、u"——a——』
"熱を奪われる"ようで寒々しく、光に触れる違和感、"
か細き少女の腕で以て、闇が神秘の光を呑んでいる——
"世界の化身たる大神"とは『偽りなく万能』にして『無敵の神』。
なれば、『不意打ち』とはいえ"最たる強豪に触れる"こと——巧者にしての戦略家が『意識外の攻撃に無防備だった』と?
大神とは絶対の力、その重き
その『存在が観測された事実』さえも疑えば——『不可視にして未知なる存在』で、たとえ全天に渡る索敵を掛けられても『
今まで襲撃どころか『目立つ接触も警戒して身を潜めていたのだろう神』が『呑気に逢瀬へ出かける』などとは『単純』に
寧ろ、『女神テアとの交流』を利用して『己が表舞台に出ていく最もな理由を得たのだ』とも言えよう
『——ッ"!!』
なれば即ち、"必然の策士"。
極限の熱波に『己の肉が削られること』にも備えていたのは——然り、此処で『不可視の存在に触れられる』こと自体が『
『——"!?"』
よりての、計略下——猛々しき
暗くも薄布に包まれた玉手で、白き肌の細くは肉感的にも『攻撃を逆算から把握せん』とする指遣い——『光速の正体』を探る動作が
熱を帯びた槍の輪郭を、ただ指の腹で撫で付け、
『
『——ッ"!?"』
『——"くれるなよ"』
"掴む"。
己の手で、槍の二本ごと。
両肩に丸太を背負うようでは、腕に装着された武装ごと——光輝の玉体を確と抱え込んでは身伝いの念話が『手離すことなかれ』の命令。
言い終えては、暗黒自身にとっても未だ熟知せぬ光を身に受けて『それでも倒れられぬ時に』と用意していた一連の動作——表情は嵐に揺れて垣間見える幕の裏に少女の口を歪ませて、ほくそ笑む。
『——ッ、ッ"』
しかして、口語なき話しかけに『斯くも身近に寄れば離さない』、『離れさせない』と伝えれば——此処からは『光と闇の
『ッ"——!?』
未だ奸物の情味を解さぬ
たとえ、自身の未だ知らぬ
己が権能に"脅威を引き寄せる危険"も承知で『
『"————"』
妖艶の視線で言外に語れば——"
『——""!?""』
先までの立ち位置に"
また、何時ぞや宇宙に点在させた不可視たる
"綿密に編んだ呪詛の紋様"、備えた
"愚鈍な己に万全な反応が叶わぬとは百も承知していた"——だから、『反応が能わずとも反撃は可能』とするように。
("————")
"自縄自縛の具現化。
"煮詰まる悪性"は『他者の全てが憎らしい』、『その活動を不利の不自由と腐らすため』では手段を選ばぬ"不滅の怨念"——『容易には消えられない』が故にこそ、"全て呪っても終われぬだろう執念"として、凄まじく。
作り出す『無限にして最弱の無敵』を喩えるなら——"手を振り上げられただけで身がすくむ"ような、"声を張り上げられては萎縮して震え上がるしか出来ぬ"ような。
それら数多の心身に刻まれた悲痛の記憶も噛み締めて、練り上げても、『弱さ』が故の哀しき装甲。
喪服の少女で『他者を信じられぬなら』と常に応戦の武装を用意した『拒絶の構え』で在っても——"その己を否応なしに動かす秘訣"を組み上げ、編み上げては正に『意思なく動く
"自動の糸人形で身を縛る表象"は『連鎖』にも"自己"とは『逃れられぬ怨恨』の
「■『——g、a"a——』■」
"己の意義主張が完全に無意味"と心から納得できるまで、終われない、"納得などしたくもない"。
故に、この程度で我々を倒せるとでも——『倒れてやるものか』と噴き上がる執念、無限の炉に
現にも、過去で何度となく"悲劇"を積み重ねた先にも『禍心を宿す私』という呪詛は晴らせなかったのだから——それこそは"未だ解呪のなき"、"果ての見えずも無限"。
今に呪いの重みで、立ち位置すら容易には変われず。
己を卑しく規定してきた様々な呪詛、"心ない言葉"に"残虐な行為の数々"——それら"記憶"を思い出すたび身の
その一つ一つ、"身を強張らせる恐怖"、"絡みつく萎縮の繊維"で縛っても——今に『非のある者を吊り上げる』ように、"脱出不可の
「■■『——g、u"——』■■」
よって、これより互いに身を打つ衝撃の一段、二段——段階的にも軌道の修正。
及び、その吹き飛ばされて網目に突っ込む度に女神の姿勢が、より力強く、より確固たる——"
"不可視に這い寄る圧力"も光神の印象には『巨大な掌』と感じさせる圧倒的な権利能力——身を近く触れた瞬間に、"
夥しき数の
「■■■『"—g"、—"—』■■■」
此処に張り詰めた
「■■■■『""、—、—""』■■■■」
引き伸ばされた線が——"巻き戻る"。
「■■■■■『——a"——』■■■■■」
一連を見れば、
敵の『貫き通せぬなら捩じ切って壊そう』との意図にも無意識は対応し、槍の暴れる回転にも絶妙の逆回転が威力を相殺、伴った光波の音を掻き消して。
此処までを一瞬に行われた、その攻防の結果は、"暗き少女の
攻めと守りの、入れ替わり。
槍の刺突に飛ばされながら、"道すがらに捨て置いた痕跡"を宛ら『
『g——a"『"『"『"『"『"『"『"『"『"『"『"『————————
鎧姿の頭部では一瞬——
両者を渦の中に引き込んで落ち続ければ、神の中核も振るわす多段が纏めて『相手のみ』に、打ち付け。
(————"?")
——その後。
"速くに過ぎる襲撃"と遭っては、未だ状況が呑み込めず。
(——……"
飛び出した先。
技の威力が減衰しきった果てに両者の着する
薄く緑がかった地盤を砕いて転がれば、それでも自前に開いた
「————」
(……"
次には片方ずつに肘を立てても上体を起こし、終いには膝でも立ち、先んじて身を起こすは喪服の少女。
「————」
(現状を
「——…………"?"」
(……
見回した
眺める先には大鎧で正しく"
担い手の制御から離れた槍は少女が肩口に刺し、奪ったまま。
「…………??」
(……
「……——"!"」
(……ではさて、"
付近で
未だ周囲で『
即ち、『襲撃者の事実』を認めてからも、暗黒で暫しは此処に
「——"
「——"?"」
「此処で『
「……?」
「
以前の邂逅と同様で『後顧の憂いを断つべく』は、目立つ瑕疵なく対応、つまりも『理知の化身』として振る舞おう。
それも相手の意を認め、また尊重し、『あくまで私に責められる謂れもないのだ』と、"外敵にも示す模範"の儀。
「
「……な、ぜ」
対するは、咄嗟に応える意思も薄く。
曰く『破壊』の意識に起こされた神格で、だがして『壊れぬ』と出会えば、"処理に惑う動作"の表出。
「……"
「……
「……」
つまりも『己の内で咀嚼しきれぬもの』を知って、"複雑な思い"。
戦の神で『ならば、それでも』と『難解の強敵を解くための手掛かり』を己でない外部に求め、初めては『質疑の声』として。
此処に学び知った共通言語、"己にも搭載された表意の機能"を明瞭となり行く認識で思い出し、その容易く扱える事実を基に見様見真似で会話を投げ掛ける。
「だのに、"壊れぬ"……"壊せぬ貴方"は、
「……『壊せぬものが在った』——ただ、"それだけ"のこと」
しても、"不具合"、表層にも及んで、"内部的熱暴走を防ぐため"には一時的に
言葉と共に吐き出される熱波に宝石の大地は溶け、女神の身じろぎに連動しても槍状の耳飾りの放つ鋭利な衝撃——爆煙の中にも切り出されし晴れ間。
「……理解、不能」
「……」
「……加えて勝者に『与奪の権』を手にしたなら、"どうして我が身を破棄していない"?」
「……」
「"大神にとって脅威に成り
清く澄み、刹那に垣間見えるは神の一側面。
出でた先に翡翠の地肌は破壊の余熱で融解し、水蒸気に逃れる気化が多分の光景で枯れ果てる地上に在り。
だがして、それら急激な上昇気流の集まりで吹き荒ぶ嵐の只中で、自然災害の一切、熱波や大雨に爆風をも闇の輪郭に触れさせず、息の乱れぬ姿勢に物ともせず。
「『自らで戦うのも
「……"?"」
「しかして何よりは、"一応の同盟"。其れも"勝手代わりに戦う自軍の戦力"——減らしたとて、
その、少女の有り様。
"戦禍に見舞われても確固たる威容"には、グラウで勇み、蹌踉めきながらも踏み出す足に地殻の
衝撃の届く星の中心核とは索敵兵器の炸薬を刺激する熱も十二分に、"地平の歪みも目に見える"ようでは間もなく、星の崩壊は引き起こされるのだろうが。
「更には、"不意に自己を脅かした
「"?"」
「責める
だがの、それでも。
爆ぜる情景の荒れ地に在って"炙られる暗重の気配"——惑星内容物の溶けて地表に溢れ出した塩素の湖においても、その光景に反射せず。
各種流体の気化して噴出する大地にも、光輝の神に投げかけられる視線で物質崩壊も伴う数多の照射を浴びたとて、未だ全容の掴めず——嫌気を差したのかは毒の煙も、顔の前では軽く手振りに一蹴として。
「"??"」
「そも、"初撃は
「……」
「及び実際には『
背景に響く、
それより甚だしくは宇宙の
破砕される岩壁や鏡面の如き翡翠構造体に、飛び散る水面の僅か一部にも、姿の映らぬ原初の神性。
「私は『平穏無事』で、『この場に立てている』のです」
「……"?"」
「故にこそ、その"返す礼"は、謂わばの『
「……」
「今一度、問おう」
己の肩口に向けて翳した掌の、引き離す一振り、二振り——不可視の力は実体に触れずして、己が玉体を穿つ槍の一対を、引いて。
抜き取れば、小さく渦を巻いて整う小玉体に傷口なく、流血の一滴さえなく。
没収した得物も『懇切丁寧に返上してやる』と言わんばかりには光神の前へと突き刺し、捨てながらに毅然とした口で言う。
「神よ。
「……」
「"貴方自身"は——"何を願う"のか」
「……"なに"、を……?」
「
「……」
「"誰に定められる悪"でもなければ」
「……」
「"女神グラウ"。"貴方自身"が選べ——『終わる』のか、『続ける』のか」
「……それ、は」
「……此処は無限の旅路に宛てもなく、止め処なく。
「……」
「しかして強大であろうと、矮小であろうと"
そうして、問われれば。
此処に見えた『未知なる暗黒に不可解』——"未だ解体しきれぬ魅力"を感じた破壊の神で、終焉を選ぶ理もなく。
「……"わた、し"……?」
「……"己が心の頼り"はあるか」
「"わたし"……『
「……」
「——……"知りたい"」
「……
「……?」
「"その進む
「……」
「よっては"無限の悪戦がその身を待つ"——それでも、『己を続けよう』と」
「……はい」
「"世界"を——『知りたいのだ』と……?」
「っ……——"はい"」
「……」
「それでも、私は……『知りたい』と思うのです——」
「……そうか」
光の刃で撫でた印象は小柄の玉体、見るからに可憐で——なれど、今に『凄惨の環境でも変わらず壮健に立ち尽くして見せる勝者』は"底を知れぬ怪物の華美"で、"
「……ならば、その身に刻みんだ
「"——"」
「——背負って生きよ。
決まれば、今や『古い敵』に翳した手では抜け目なく鎧の機能を
同時には、"先刻の反撃に付与した物"とを追加して呪詛の補強、"己を有利とする多少の抑圧機構"にし終えても。
「……そうして、今の私は機嫌がいい。其れも君が『光の秘密』——その一端でも白明の
「——……」
「大神たる私の気が変わらない内には——"
施し終えては——"去れ"、"去れ"。
鈍重の玉声でも一頻りに思考を揺さぶった後で踵を返し、星の崩壊を背に飛び散る破片の影へと紛れ。
(……『報告の全て』へ目を通すにも、
創世初回の『気付けぬまま』・『動けぬまま』に比べては『今回の防備で一定の効力を得たもの』と手応えはあったが。
多少の上手く運べた程度、無邪気に喜んでばかりもいられず。
(『間に合う』か——『間に合わせる』のが、面倒だ)
再三には、『改善せねば』との決意。
危機的要因に対しては『僅か一瞬にも優位』を得て、少なくとも『対等の場』を確保せねば『交渉らしい話にもならぬ』として、開発を担う者の頭の痛く。
(『——"
"新たな手掛かりや技術の発見"に、また『
————————————————
(…………)
故には、"襲撃を受けた後に隠遁の期間が長ければ"、"損害の程を知られる"から。
しても、気丈の振る舞いを変えぬ暗黒で、"敢えて"に『他なる女神との交流会は予定通りに開催してやろう』と再度に指定し直した複数座標の、近辺。
『——……
某所、某時刻、然る惑星に付随した小天体。
小型の衛星を砕く
『気付けば、遠方の目前には"真新しく"、"真っさら"の。既に純白であった世界を"明度の異なる閃光"が裁断して、進み……ただ、"焼き塞がるは裂け目の色"』
天より降り立つ、青の神性。
乳白を背景に負って、比して
『それら【天体の跡形なくも吹き飛んでいた事実】を見ては、当初は事態の分からず——されど、"付近は貴方と約束をした場所"と見て取り、【
身のこなし、柔らかに。
なれど、着地しては低くした身で迅速かつ鋭い眼光の
装甲や権能の有する警戒の度合いを鋭敏に、一頻りは『
「……問題はない。"修練からの流れた槍"が『身近を掠めただけ』のこと」
「……しかし、『早くは来たるべからず。
続き、着地と共に"膝を折った低頭の姿勢"が略式の礼も済まし、視線を相手に定めて立ちつつ、口語の発話。
「"憂慮"……?」
「はい。僭越ながら、心配りを」
「……よもや、伝承に"一方的な権威の恐るべき"——『不可逆的な機能停止』を意味する『
「
「まさか。"末永く無限"もある今に、
「……」
「"苦痛や損耗に定める限度らしき"も所詮——"無知ゆえに外部からは観測し難い待機"の、謂わば『
語り始めの話中には『死没』という"太古の概念"に対しても『大神で含蓄のある素振り』を見せられ、何を言えずとも僅かに
「因りて、"真に容易く完全な終わりを迎えられるなら"——」
「……」
「——誰も、苦悩などはせず」
されどのテアで、"
今は『己が興味』より、『相手への配慮』を優先。
「しかして、事故の相手とも和解は済み……残る、『生存の報告』。それのみでは貴君に不足であったか?」
「……
「
「其れも、"大神"なれば、常時に先を読む
「
「故からに——"只の一報"を信用とするには、"
「しかして、"現に神は此処にいる"。それも『極限の神との衝突にあって原初の女神は健在』・『無傷なら、敵うべくもない』と、"触れ回るべき威容"の在り——」
一方の、アデス。
"自己の存在を誇示して見せる"に手で悠然と払う白の長髪が『見目にも気を払う余裕のあり』と、態とらしい所作に『無事』の意味を為したのであろう。
「だがして、それでも——『更なる開示は必要』と?」
「
「ふむ……?」
「私自身、己の由来となった原初に抱くを掴みかね、『その正体を知りたい』とも言って久しく」
「……」
「よりて『損失とされる』のも惜しまれては、多く確信に迫る情報を求めん」
「……」
「総じてやはり、『貴方の無事を知って安堵を得たいから』、
「……」
「有事を危惧し、準備を携え——"気にかけ"に」
(それも関心を持ち、好奇の心を抱いて、剰え"脅威の計り知れぬ他者を慮る"とは……本当にお節介な奴よ)
しからば、テアの口に明かされる要約も『単に厚意』や『善意』と呼ぶべきものか?
指で己の毛先を弄ぶ様にも、しばらく。
瞬刻に膨大な処理を行う思考の最中にも、暗黒は何度目かに捉える目前の相手を未だ内心に扱いかねる。
(どころか、『表に乗り出す理由"』として体よく利したのは私の方だというのに……ともすれば、"
「その一つでは、こうした物など」
「……(斯様な私に、心を配る
すると、懐から取り出される、何か。
女神の手から水を振り掛けて起動せしは"
「身を案じる今日に向けては、我が身で『医療の神性』を重点的に獲得してきたのです」
「これは?」
「そうして、我らの技術の幾つか。何が未知に適用できるか分からずとも、曰く『
「……」
「色々を、持ってきたのです」
地面へ投げた回転物。
素早く回るうちに周囲の岩や砂やの物質を巻き込んで、それらを素体に作り出される
「それも我が世界、最高峰の設備で以て貴方の身を案じるために——」
「使わん」
「お使いに——"ならない"?」
「"治療に向けた診察"で、"
なれど、素気なくと
治療に備えて何か白衣を被ったり、可動性の追求や物に引っかかる邪魔の少なくは洗練された
「それは……」
「……」
「……そうです」
「……けれど、我が身の未知なる神性へは、果たして如何な治療を想定していたのか——"興味は"あり」
「……しては、如何な治療法が最適かと考案し……"時に原初の御姿で重要な
「臓器。持っていないやも」
「……
「そもの表皮。切り込める
「……」
対する暗い少女のアデスで、『それでも断る空気を悪くはしまい』と軽妙の受け応え。
己から見て『異界に由来する技術の程度』には興味のある心が話に乗ってやりつつ、ややに含む
「それに、例え『内へ乗り込む』としても『恐らく規格外の私』では、"優に
「……凄まじいのですね」
「何よりは政治的や戦略的の観点からも、我が身を預けるに能わず」
やんわりの、固辞。
あくまで相手の想う気持ち自体は否定せず、事の理を説く。
「要ない」
「……過ぎた真似でありました」
「気に病むなかれ。元より
「……では本当に、"無傷"で?」
「損害も僅かなら、回復についてまで貴方が心を配ることでもない」
「……はっ」
「何より大神ともなれば、その手の保養処置にも自前で無数に用意はあり」
「……」
「よっては自己の修復にも余念なく。残るは"
斯くして、示された救助や支援の必要性の薄い事実。
説かれては、『蒼輝の鎧』が粛々と医療従事者の表層を張り替える女神で『戦時』を思わせる姿に舞い戻り。
「されどの厚意、無碍に扱う非礼を詫びよう」
「いえ。大事のなければ、重畳で、この上なく」
此処に未だ良く知らぬ相手の苦境を知って案じ、それでも悉くを『無用』と退けられた身は——だとして『他者の無事であること』に落着とした笑みさえ見せる。
「……私では、思いだけを受領する」
「"……"」
しては、それら『安否確認の配慮』や『協力の申し出』に『信用を得て付け入ろうとする意図』の有無は兎角——"やはりは、誰にも事なしで悪などは成立し得ない"。
今に示された『他者の平穏無事を喜べる者』に"微かな希望"を思うのは——『大神』すなわち凡ゆる究極に通じ、"真に理想の王道も追い求める者"で『民の健やかに善良な様』を喜ばしく思わざるも得ずに。
然りも、"暗黒世界の踏み終えた経験"で、たとえいつかは"幸福の確約ない悲惨な現実"に、"
「"……"」
「……(……にこやかだ)」
今に、"誰もが
"青い希望"を抱くことすら、多面には偽りのない心情。
「"……"」
「……(よっても、斯様に『信用を売り買いさせる手合い』が、義に厚くもある策略家の大神にとって——"
つまり、"無慈悲にして冷酷でもある筈の大神"でも——"少なからず情に訴えられて感じるものはある"のだから。
相対する女神から『貴方のことが心配なのです』・『失われることに耐えられないのです』と快くさせる台詞を吐いたかと思えば、『見返りを受け取るようなことは、まだ』と損得勘定を狂わせてくる難敵へ。
(時として"真に有効な諜報"とは、正に『
言い換えても『敵に回すと厄介な者』へは、その対処方法が大きく分けて、二つ。
一つとして『潜在的脅威である内に始末をつける』か——若しくは『
(なればもやはり、後に己で改める真偽は兎角で、『自ずから情報を明かしてくれる』のだ……"追い放つ理由もない")
合理に基づいた、帰結。
現に、実態として"多少なりとも利を提供してくれる
「……君はたとえ打算の含まれても、"
「……私が、"
「誰に報酬の約束をされずとも献身的。判断に技量も、優秀」
「なんでしょう、お褒めに与り大変に有り難いのですが、やたらと急に」
「"……"」
「いえ、我が太祖で覚えがあります——参照できる過去の記録が膨大な大神にとっては、事あるごとに印象的な記憶を呼び起こし……"何か孤独な物思い"、外部からは脈絡の読めぬ詠嘆の様」
「しては、共に類似の形式を取るなら勝手知ったるもあって都合のよく」
「……つまり?」
「つまり、"私にとって有用な手駒"と示せるなら……『新たな世を行く秀逸の水先案内』として
「つまり、"買われている"……『
「今後の貴方次第だ。"真に私へ利を
「……さすれば、『望むところ』と言って——」
その意味するも、"
疑い深き暗黒世界の神は、未だ捨てきれぬ敵意と警戒を持っても——『
「——事実、我が太祖に『手土産に贈る
「……ほう。君でも、そのように読むか」
「
さりとて、未だ陰謀の渦巻く世界にも、『信じたい』と思わせる者はいて。
「また何より、外交特使として『勢力間の不和に繋がる動き』は許容できかねるもの。如何に我が太祖とて、"外圧を受けたのだろう状況"を鑑みても許せないのです」
「?」
「融和な外交を図る最中にも
「事をそこまで細かに明かしていいのですか? 剰え、"楯突く"ように」
「アデス様に関することで裁量は多く私に任されていますので、問題はありません。また抗議のあれば、以後に『過ぎた真似』を強く牽制し——そういった観点からは、『太祖よりもアデス様へ心を配るという事実』は一定の信用を頂けるものかと」
「"
「しても、行動で示し続けます」
その地道な歩みで、向かう先とは。
「例には今より考える『抗議文』、アデス様にも一度『監修』を願って頃よくは、"貴方にも利用可能な申請手順"なども含め、『確認』や『補足』でお助けできますので」
「しても、諸事は『内部で行う自作自演』の可能性が捨てきれないのですが……」
「そうして、もし、"私が抗議をした上で仮にも二度目を踏んだなら"——神は『内憂』にして『外患を誘致した』として『
「可能なのか?」
「やはり、アデス様に関することで決定権は、"大神に比肩するもの"ですから」
「"取り押さえる実力"として、どうなのだ」
「"
「……ふふっ。何やら物騒にも『私と貴方で大神を捕縛する』など、夢のような話です」
「それこそ、『夢』とは謂わば『理想』を——『それらを現実に起こせる選択肢』を保持するためにも、やはり『排除を考えぬ友好こそ』は『凡ゆる可能性を手にするにあたっての一番の近道』でしょうから」
「……ふん。それもたとえ、いくら我が身の立場を気に掛けても——"未だ私から貴方へは見返りの約束もない"のですよ?」
「——構いません」
理想に向けた実践を続けるテアでは、端正な面輪を崩さず。
冷静には一度の瞑目を挟んで伝える、"己が行動の意義"。
「勿論、多くを知らんとする私で、貴方の口からも各種、未知なる情報についてをお教え頂ければ大変に喜ばしいことなのですが——」
そうして、暗中に神を震わすは。
これまでに敵意も悪意も、おろか意識も無い脅威を駆逐する変わり映えしない緩慢な日々に——『新たな兵』としての神性を知って、出会い。
その高揚なく、無と戦うばかりの日常にあって『後に続く世代』の意図を訝しみ、その一つは戦の神との衝突で『やはり他者とは相容れぬか』と敵の害した負傷に思えども——同時には『重き身を慮るテア』に思い起こす、"忘れ去った筈の善良"。
「——何よりは、"他者の充足も願って友好の道"に、私のみでなく、"相手がより多く有望の可能性を掴めるようにも"」
しての再考としては『本来は斯くあるべき』と、『悪が前提にある』など余りに悲しく老神で。
自身とて『"未だ初々しく邪悪にも染まらぬ後進"に、新たな学びを得られれば』と、『暫しは見守ってやってもいいか』とすれば——とうに他者を呪い尽くして滅んだ胸中に、清澄の声は響き。
「今と、その先に"
揺り動かされても、隠された表情に
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