母がいきなり「今日からその子妹ね」と連れてきた女の子。どうやら虐めで不登校になってしまった様なので、義理の妹励まして一緒にVR世界でエンジョイします!

第1話

「ただいま〜って返事が返ってくることはないけど」

 夕方となりアルバイトが終わった俺は家に帰ってきた。日本特有の夏のジメジメとした暑さが体にへばりつく。俺、佐倉さくら 悠慈ゆうじは都内のタワーマンションに母と二人で暮らしている。母はという仕事柄上、家に居ることはそう多くない。幼い頃、両親が離婚してから、俺はずっと一人でここまで育ててくれた母に感謝していて。食費だけでも自分で稼ごうと中学校を卒業後すぐにアルバイトを始めた。

 リビングのドアを開けて入るとそこにはリビングに座り込み俯く白のワンピースを着た白髪の美少女が居る。

 そう、人がいるのだ。

「え―――誰?」

 少女が一瞬こちらを向く―――。

 めっちゃ可愛いじゃん。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめん―――」

 少女が泣き出してしまう。

 え、?え?え?俺なんかやばいことした?

 可愛いって思ったのがキモかったかな?やっぱり……。

 ふと、机の上に置いてある可愛らしい花が描かれている紙に目が行く。

 あれは、母さんの手紙だ。

 内容は……。

――――――――――――

 悠慈へ


 美少女が居てびっくりした?

 最近家に帰れていなくてごめんなさい。

 その女の子、今日から貴方の妹よ。

 色々、疑問はあるだろうけど、どうかよろしくね。


 母より

――――――――――――


 母さんは今まで何度も突拍子なことがあったけど過去一ヤバイな今回。

 まぁ、『よろしくね』母さんからのお願いは断れんでしょ。今までのずっと支えてきてもらったもんだし。

「とりあえず、暑いしエアコンONっと」

 テーブルの上が定位置となっているエアコンのリモコンを取って冷房をきかせる。

 さて、この美少女どうしたもんかね?



「君、名前は?」

聖香しのか―――」

 俺が考えた末、打った初手はなまえを聞くことだった。

「これから、よろしくね!」

 なるべく明るく接する。

「よ、よろしく、お、お兄ちゃん」

 オドオドと、最後の『お兄ちゃん』の単語は震えていた。恐らく、怯えと不安。

「おう!」

 ポンポンと頭を撫でてやる。

「あ、あ、ぁ」

 ギュッと聖香が抱きついて泣く。

 俺は彼女の過去に何があったのかはわからないが、間違いなくするべきことは聖香のお兄ちゃんとなること。聖香の支えになることだと確信した。

 俺は、何も言わずに聖香を抱きしめて泣き止むまで待ってあげた。




 しばらくして、聖香は泣き疲れたのか俺の腕の中で眠りに落ちてしまった。

「これ、ベッドとかどうするんだろう……?」

 とりあえず俺のベッド?なんか俺、変態じゃね?まぁ、良いか……。

 そうして、俺は聖香を自室のベッドの上に寝かせて毛布をかけてあげる。

「そろそろ夕ご飯作んなきゃな」

 俺はキッチンへと向かい料理の準備を始める。今日は肉じゃがかな?こういう家庭的な料理がステーキとかなんかよりも傷んだ心には響くんだよ。

 俺は冷蔵庫から豚肉を取り出し電子レンジで解凍を始める。

 じゃがいも、人参、玉ねぎを取り出して水で洗いカットしていく。

 カットした野菜を鍋に放り込み炒めると『ジュージュー』という音共に火が通っていく。

 『チンッ』とお肉の解凍が終わった音がしたので、レンジから取り出してこれも鍋に放り込む。

「ん〜いい匂い!」

 醤油や料理酒、みりんが元の煮汁をinして煮込んでいき―――。




「よしっ!完成〜」

 うん、今回は力作だメインとなる肉じゃがさんだが味見をしてきたところ結構美味しく出来上がった。

 聖香を起こしに行きますかね。

 俺は自室へ歩いてゆく。

「聖香、ご飯できたから食べよーぜ!」

 ベッドから返事が……無い!

 と、いうのは冗談で聖香が顔まで覆い隠すように被っている布団が『モゾモゾ』と動き出した。

「お、おは、よ、お兄ちゃん……?」

「おう!お兄ちゃんだぜ✧」

 どうやら起きたようだ。




「それでは、いただきます!」

「いた、だきます」


―――モグモグタイム―――


「お、兄ちゃん、美味しいよ」

「そうだろ!今回は結構美味しく仕上がったんだ!」

 白米・味噌汁・そして肉じゃが。とても家庭的な今日の夕食は聖香に好感触だった。




――――――――――――

少しでも面白ければフォローと✧星評価✧を!ラブコメ初作品〜。by冬☃

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