第15話 実体として存在する悪魔なんて聞いてない!
帰り道、今日は女神も連も用事があって、いないため、僕は辻に馬にされていた。
こいつ、意外に重い。
「あんた、女子に向かって失礼なこと考えてない?」
「まず、ここ最近、お前のことを女子だとは全然思ってねーよ」
そんな感じの平和なのか平和でないのかよくわからない会話であるが、僕にとってはこれは日常なので、感覚的にはこの状況は平和にあたるのであろう。
しかし、ここで僕は少し察した。「この展開、なんか変な予感がする」と。
日常の中に突如、非日常なことが起こる、これはテンプレラブコメに関わらず、創作の中でのテンプレといえよう。
だから、この展開、何か起きる気がするのだ。
実際のところ、それは起きた。
道の真ん中に黒い禍々しい物体が落ちていた。大きさや形はまるでヨギボーである。
それを見たとき、背筋が凍った。
なんだ?この悪寒は。
いや、しかし、なんとなく察した。
「宗太、この黒いの何?」
僕は辻のその質問に無言で答え、彼女を背中に乗せたまま、その物体から大急ぎで離れた。
「ちょっと?!宗太、どうしたの?!」
「あれは、やばい!!」
「何がやばいのよ!」
「あの風格見てわからんか!めっちゃ禍々しいオーラ出していただろ!」
しかも、少しうねうねと動いていたし!
そう、あのうねうねとした動き、恐らく、何かの生命体だ。
そして、あの暗黒のオーラ。
間違いない、あれは『悪魔』だ。
いつかに辻の中に入り込み、正気を奪い、凶暴性を爆発させたあの憎き悪魔である。
女神は過去に「人に憑いている場合があるから十分用心してね!」と言った。
だから、僕はなるべく用心していた。もう、あんな目にはあいたくないから(まぁ、現在も同じような状態になってはいるのだが)
しかし、僕は馬鹿であった。
彼女が発した文脈から考えると、「人に憑いていなくてそこら中に実体として存在していることもある」ということなのである。
悪魔が実体として存在しているか否かについては定かではなかったが、それも先ほど、同時に判明した。
悪魔は実体として存在する。決して魂だけのような存在ではない。
ひとまず、この状況を女神に連絡だ。一旦、悪魔の物体から離れ、彼女に電話を掛ける。その際も、辻は意味が分からなそうにあわあわと戸惑っていた。しかし、今はそんなのに構っている場合ではない。
女神のLINEわからん!全然連絡しないからだ!一緒にずーっといるから(彼女がついてきてるだけ)LINEのやり取りが極端に少ないのだ。だから、見つからない。
「宗太……。あれ……」
「ん?なに……?」
そう言って、辻が青ざめながら向く方向を向いた。そこには先ほどの悪魔が多少巨大化して、こっちに迫ってくる様子が伺えた。
───あ……。これはやばいぞ……。
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