第5話 うまくいいくるめられた女神
翌朝……。
僕の部屋に朝日が差し込んだ。
あの憎たらしい夢は今日はなかったはずなのに、何だか体が怠い。
何故だろう。
その理由は目を開いたら分かった。
「どうも、宗太さん!拷問の時間ですよ!」
僕の上に辻が馬乗りしていたのだ。
「重い。退け」
「いやですよ。覚悟してください♪」
*****
数分後……。自室を与えられた(もともとからあったことになっているらしい)女神が起きてきて、僕の部屋に入ってきた。
「宗太、おはよー」
「おい!おい!助けろ!女神!」
僕は女神に助けを求めた。
しかし、彼女はそっぽを向いた。
何で?
「宗太さん♪続きですよ」
「や、やめろ!!」
僕はその後、なすすべなく痛めつけられた。
*****
「おい、女神どうなってんだよ」
僕は女神に問い詰めた。
「ん?どしたの?」
「昨日はバリアまで張って、助けてたくせに今日は何故見捨てた?」
朝食時、白米を頬張りながら言った、
ちなみに、いつの間にか、辻は帰宅していたようだ。
「いやぁ……。ちょっと昨日あって……」
そうして、場面は昨日の帰宅後に戻る。
女神はこっそりと辻に近所の公園に来るように告げ口されていたらしいのだ。
「来たのね、神目川さん」
「一体、何のよう?」
この時、天使は「自分も彼と同じように下僕にされてしまうのでは」と恐怖していたようで、一応、臨戦体制をとっていたようだ。
「そんな警戒しなくて大丈夫ですよ。私が快感を感じるのは彼を痛めつけた時だけですので」
「ほんと?」
女神はその言葉をまだ信じることはできずに、疑っていた。
そう警戒していると、辻はやはり鞭を取り出した。
しかし、その鞭を取り出すや否や、彼女はその鞭を向こうに投げ飛ばしてしまった。
「へ?」
「これで信じてくれましたか?」
「は、はあ?」
女神はその様子を理解するのに少し戸惑ったが、じきに警戒を解いた、
「今日は天目川さんにとある話をしたくてお呼びしたんです」
「それは……。一体……」
「私が彼を虐めたらどうなると思う」
「それは……。彼が苦しんで、私の計画が……」
「計画……?」
一旦、時は今に戻る。
「計画?呪いじゃないのか?」
僕がそう訊ねると、彼女は少し困った様子を見せた。
「あ、それはちょっと、言葉を間違えたのよ」
「あ、そう」
*****
「なるほど……。テンプレラブコメを踏ませる……」
女神はすっかり白状した。
「うん……。それで、黒峰さんも一応ヒロイン枠に入っていて」
「メインヒロイン」とは言っていない。
「んじゃ、尚更いいじゃない」
「はい?」
「主人公とヒロインのヒミツの関係、主従関係、結構テンプレついてない?」
「た、確かに!」
「まぁ、私自体、彼に恋愛感情はないんだけどね……。(小声)」
「ん?なんか言った?」
*****
「ていうわけだから、まぁそういうわけで邪魔するのやめたの」
なるほど、つまり彼女は、あの魔性の魔女にうまく言いくるめられたようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます