10

「星のペンダントに願いを込めてみて」と王子様は言った。

「どんなお願い?」

「今、一番叶って欲しいと思っていること」

 私は王子様の言ったとおりにお城にきてからずっと身に着けている星のペンダントに」(ペンダントを握りしめながら)願いを込めてみた。

「お願いしてみた」と私は王子様をみて言った。

「その願いはきっと叶うよ」王子様はそう言った。

 それから少しして、晩餐会は始まった。

 私は王子様と一緒に晩餐会に参加をして、二人で生まれて初めてのダンスを王子様と一緒に踊った。音楽隊の奏でる音楽と一緒に。正装をしたぬいぐるみたちと一緒に。

 それは、まるで演劇の舞台のようだった。

 私は舞台の上で、『お姫様の演技』をしているのだと思った。

 でも、普段の私だって、『私』の演技をしているだけかもしれないと思った。

 暗くなると、私は王子様と一緒にテラスの豪華な椅子に座って夜空に輝く星たちをみた。

「お誕生日おめでとう。お姫様」

 王子様は言った。

「今日は本当にどうもありがとう」

 と泣きながら私は言った。

 本当に本当に素敵なお誕生日プレゼントだと思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る